表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
WAR DOLL  作者: 零煉
5/8

立ちはだかる脅威の壁~後篇~

今回は結構長々と・・・

上手ではないのにズラズラと失礼致します(_ _)

 立ちはだかる脅威の壁~後篇~



 殺戮兵器が放つ銃弾は(とど)まることなく連射される。

 鴉煉アレンは逆手に携えた禍々しく紅い大鎌をギュン、と一度空で回転させ、片足を軸に急転換した。

 眼前に捉えるは罪深き兵器と音速を超えた速さで放たれる銃弾、少年は迫り来るそれを大鎌で振るうのみで全て弾き返し、装甲兵器との間合いを一気に詰めた。

 

 スィィンッッ!!


 身体を捻り、大鎌を横に振るう。

 風を斬る察過音が全身を過ぎ去っていく。

 

 ガアアァァァンッッ!!


 大鎌に迎え討たれたのは片腕に装着された凶刃。

 直ぐ様手首を器用に捻り大鎌を方向転換させて、別方向から再度一撃を入れる。

 と、それと同時に装甲兵器の背後に迫った少女が二尺の刀を大上段に振り上げていた。

 

 振るわれる二つの凶器は、今眼前のモノを狩り取らんと殺気立つ。

 血で構築された大鎌の一撃は再び凶刃に阻まれ。

 研ぎ澄まされた刀は装甲兵器の脳天に見事直撃した。


 「―――――――スピードは私の方が上よ?……鴉煉よりもねっ」


 「―――――――俺じゃ勝てないのは分かってるよ、言われなくてもねッ(・・・・・・・・・)!」


 大鎌を空で回転させて、

 脳天に突き刺した刀を引き抜いて、

 二人は口の端を少しだけ上げて装甲兵器から一定の距離をとる。

 それを一歩の低空跳躍で遂げた鴉煉は、その間に大鎌を装甲兵器へ投げ放った。

 真っ直ぐに低空滑翔する大鎌は、だが突如として光が屈折するように進行方向を変えた。

 まるで遠隔操作されているが如く。

 否、比喩でもなんでもない、事実だ。

 少年の指に巻き付けられた、その双眸と同じ(あか)く細い糸が、大鎌にも巻かれていた。

 これにより、自身の意思を大鎌に伝え自由自在に動かすことが出来る。

 そして大鎌と少年は痛みこそ伝わらないが、以心同体であり、自身の動きと連動する為、意思と行動の時間差は無い。

 更に言うならば、その赫く細い糸は千切れず、


 あらゆるモノを透過し、視認されない。


 大鎌はその後滑らかに空を移動し、標的へと襲い掛かった。

 「(本当はこの手で仕留めたかったけど、今はそれは無理みたいだ)」

 大鎌を幾度か振るい、その度に凶刃で遮られて気づいたのだ。

 あの鈍い音、当たった感触、そして何よりも――――――――――――

 「(スピードが速い……)」

 あの新型のスピードは、これまでの装甲兵器のものではない、全く比ではないのだ。

 どれだけ相手の死角に入ろうとも、今の(・・)自分では適わない。

 逆に自分を返り討ちにすることも大いに可能なのに、幸いなのか怪しいところだが、それぐらいにスピードの差がある。

 

 「(スピードはアレをすればそれ以上にはなるけど……)」


 ――――――――――あまり、やりたくは無い。出来れば避けたい。


 禍々しい大鎌はギュウン、と横に振るわれ、方向転換し、牙を剥く。

 そこに、鴉煉が此の世に顕現させた凶器が雨の如く広範囲で連射された。

 形もタイプも多種多様な凶器と大鎌が装甲兵器を徐々に、確実に追いやっている。


 ザリッッ………!


 装甲兵器は辛うじて両腕の凶刃と金剛不壊の身体で“中”を守っているものの、鴉煉の凶器の勢いに圧され、後ずさった。

 そのときだ。

 自身を攻撃し続ける少年に気を取られていたのか、後方にいる筈の少女の行動を察知出来ていなかった。

 

 ――――――――――やっぱり能無し機械だ。


 「――――我携える無垢なる刀身 さや放たれるこの日を待ち望んでいよう 

 さあ 疾風の如くその身で舞えッ!!<土崩瓦解>ッッ!!」


 背後に音速を優に超越した刀使い、駈が純真な波動を(まと)わせ、覚醒した刀と共に牙を剥いた。

 その速さには新型も目で追うことすら出来ずに。

 刀はその空いた脳天から斬りこみ、一刀両断、そして硝子(ガラス)(ひび)が入っていくかのように全身が割れ、砕け散った。

 唯一砕けずに残ったのは、親指三つ分の核。

 純真の波動が霧散し、消え去っていく。

 「わぁぁ…こんなに動いたの久しぶりかなぁ?」

 刀を懐に閉まえない筈が閉まってしまい、駈はにこやかに言った。

 「うーん……俺にはちょっとレベルが上だったかも」

 鴉煉も大鎌は既に霧散させて、集まった。

 「だから駈がいて助かったよ……俺的に居なかったらかなりヤバかったと思う…」

 「そう?ありがとうっ。でも鴉煉の作戦無かったら新型(コレ)の能力とか分かんなかった。だから、二人でやるといい感じになるってことだね♪」

 二人は頷きあい、鴉煉はそっと微笑み、駈は朗らかに笑った。

 本当に息がピッタリなのだ、彼らは。

 「じゃあ核は駈のものでいいよ、今日は凄い活躍だったしさ」

 「えーー?ここは均等に半分ずつ割って」

 「そんな簡単に割れないから」

 「む………ならば受け取りなさいッ後輩よッ!」

 「いや、おんなじ年頃でしょ。いいから俺は駈がもらっ」

 「もーーーッどうするのよ~~」

 「………俺にいい提案があるよ?それは駈の来年の誕生日プレゼントということでさ」

 「それは―――――ってあれ?居なッ…まぁた逃げたの?すばしっこいんだからぁ…!」

 だが駈の相貌は言葉とは裏腹に、見た者を安堵させるような微笑を浮かべていた。

今回も読んでくださりありがとうございました!!

感謝で一杯です(>v<)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ