ヌヴェル20 滑稽
掲載日:2026/09/05
彼は彼女に惹かれていた。
愛らしく明るく、仕事も卒なくこなし、驕ることのない彼女に惹かれていた。
彼は彼女と同じチームで仕事をするようになった。
彼と彼女は、仕事を通じて親しくなっていった。
しだいに、彼は彼女が、自分のことを好いてくれているのではないかと思うようになった。
ある日、彼は彼女に、自分もあなたのことを好いていると告げた。
彼女は驚き、そして笑い出すと大丈夫ですかと憐れむような眼差しを彼に投げかけた。
彼は、「御免、御免。冗談、冗談」と言って、彼女と一緒に笑った。
それからしばらくして
彼は仕事帰りに、彼女が見知らぬ男性と待ち合わせ、手をつないで楽しそうに夜の街に溶け込んで行く姿を見た。
彼は彼女の後ろ姿を見えなくなるまで見ていた。
やがて雨が降ってきた。
彼は濡れながら夜の街を彷徨い歩いた。
そして考えた。
今日の夕食は何にしようか・・・。




