星の涙と光る丘
青々とした丘の上には、キラキラと光る小さな宝石がありました。朝日を浴びると虹色に輝き、夜になると星空のような小さな星々を宿しています。
ある春の日、好奇心旺盛な少女アリアは祖母から聞かされていました。
「あの光る丘には『星の涙』という不思議な宝石があるんだよ。でもね、決して手に入れようとしてはいけないよ」
アリアは好奇心に勝てず、森を抜け、小川を渡り、丘に辿り着きました。そこで出会ったのは……森の妖精です。
「こんにちは、星の涙を見に来たの?」
妖精は翼を広げて飛び回りました。
「こんにちは!どうしてこれが星の涙なの?」
アリアは目を丸くしました。
「昔々、空から降ってきた星のかけらが、大地に触れてこの宝石になったのよ。でも触れすぎると……」
妖精の声は途切れました。
突然、黒い雲が広がり、雷鳴と共に怖ろしい声が響きます。
「それを渡せ!」
現れたのは闇の魔女でした。
「その宝石は私のものだ!闇の力で世界を暗く塗りつぶすための鍵になるのだ」
魔女は紫色の炎を操り、丘を包み始めました。
「逃げるわよ!」
妖精が叫びましたが、アリアは立ち止まります。
「私、この宝石の本当の力を知りたいの」
アリアが宝石に手を伸ばすと、不思議なことが起きました。宝石から優しい光が溢れ出し、辺り一面を照らしたのです。魔女は悲鳴を上げて後退しました。
「なんてこと……」
魔女は恐れおののきます。
「光の魔法なんて……」
その時、森中の生き物たちが集まってきました。リス、ウサギ、フクロウ、鳥たち……皆アリアを守るように立ちはだかります。
「みんな、ありがとう」
アリアは感謝の涙を流しました。その一滴が宝石に落ちた瞬間、宝石が眩い光を放ち、七つの色の光線となって天に向かって伸びていきました。
「これは……まさか」
魔女が震える声で言います。
「星の涙は、人々の愛や勇気に応えて、もっと大きな力を生むのよ」
魔女の体が徐々に透明になり始めました。
「私が求めていたのは闇ではなく……」
その姿は消え去りました。
光が収まると、空に七色の橋がかかっていました。そこから一人の老人が降り立ちました。
「よくぞ真実を理解してくれたね、アリア」
老人の瞳は宝石のように輝いています。
「私はかつて、この星の涙を作り出した星の使者だよ」
「真実?どういうことですか?」
老人は微笑みました。
「大切なのは、宝石自体ではない。あなたの心の中にあった優しさと勇気。それがこの宝石を目覚めさせたんだよ」
それからというもの、光る丘は「希望の丘」と呼ばれるようになりました。毎年夏至の日には、七色の光が空にかかる奇跡を見るために、多くの旅人が訪れます。
アリアは毎朝、丘の上で歌を歌っています。すると小さな妖精たちが寄ってきて、共に踊ります。
「ねえ、アリア」
妖精が尋ねました。
「また新しい冒険に出かけるの?」
アリアは笑顔で答えました。
「もちろんよ!だって世界にはまだ知らない奇跡がたくさん待ってるもの」
彼女の髪には、小さくなった星の涙が花冠のように飾られていました。それは誰のものでもなく、すべての人々の心の中で輝いているのです。




