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転生悪役令息ロードは、仮の婚約者から愛されたい  作者: 夏祭えま(旧:ケイ)
第1章 アス国

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05 初ダンジョン

貴族になる:3年後、ゲーム開始:5年後、ゲーム終了:8年後、の計8年に変更しました

「頭、痛いな…」


 情報の荒波に飲まれて頭がおかしくなりそうだ。カルルはいなくなっている。

 自分の罪を思い出しちゃった、と諦めたような声を伝えて、カルルはいなくなってしまった。


「………忌み子、か」


 ──ゲームで忌み子というのはあまり触れられなかった存在で、カルルの伝えてきた内容も全く知らない物が多かった。



 忌み子の怒りを買ったオルテル家。

 ロード・オルテルの横暴をオルテル家が許すしかなくなっていたのは、10年経とうと誰も目覚めなかったからだ。


 そのため、ロード・オルテルとの完全敵対(2年生時)ルートでは、忌み子と交渉してオルテル家の人々を起こし、ロードを追放することができる。できるというか、しないと詰みになる。

 完全敵対するには、ロード・オルテルの左目を抉り出す必要がある。本当に乙女ゲームかと言いたくなるな。──本当に乙女ゲームだったか、あれは…?そもそも、俺はそんなゲームで遊ぶような人間だったか?


 まあとにかく、ロードに追いかけられている状態だと、『捨てられた土地』に入ることができ、忌み子と話すことになる。


 ──オルテル家から追放されたぐらいで、ロード・オルテルは諦める人間だろうか?という疑問は残っているが。



 ちなみに、見目美しい人間と来れば全員攻略対象にする勢いだったあのゲームで、攻略対象にならなかったのはロード・オルテルと忌み子だけだった。父、従兄弟に始まり、奴隷から隣国の王女まで幅広かったのにな。



 話が脱線してしまったな。

 忌み子に関わってはならない、あなたは特に、と主人公は──何度もあらゆる所であらゆる人に忠告を受ける。

 その忠告回数で、交渉の難易度は変わるようになっている。多いほど難しくなる。


 交渉に失敗すれば、『どうしてこんなことをしなければならないんだろう……そもそも、聖女になったのは間違いだった?』と呟き、そのまま主人公は失踪、ゲームオーバーになる。

 交渉が成功も失敗もしなければ、『人生ってそんなものですよ』と忌み子に言われ、気が付いたら戦争が始まっている。主人公だけは生き残る。

 交渉が成功すれば──何て、言っていただろうか。忘れてしまった。ロード・オルテルは追放され、ああ悩みの種はいなくなった、誰を選ぼうか?ですぐにハッピーエンドだ。




 ロード・オルテルとの完全敵対ルートでは、他にも殺害や心中があったが……忌み子が関わってくるのはそれぐらいだ。

 あれだけ何度も忠告しておきながら、2年生時での完全敵対以外では派生しないルートで、何だったのかと不思議に思ったな。


 完全に攻略出来た訳では無いから、取りこぼしがあるかもしれないが。



「非常に優秀な加護だと思うんだがな。……使い方を誤ってしまったことが、怖いのか」


 知恵の神の加護。

 忌み子に定められる破滅的運命が無い上に、実際に話していることから考えていることまで、あらゆる言葉を聞けるというのは、正直に言うならば。


「……俺自身が欲しいぐらいだが」


 ──羨ましい。

 使い方を色々と考え込んでしまうくらいには羨ましい。

 とはいえ、加護とは望んでいる人の所には与えられず、望まない人にこそ与えられるものだ。



 カルルにとって恐ろしいのは、その強大な力に呑まれて、意図しない災厄を引き起こしてしまうことなんだろう。

 自分の力が恐ろしい。()()なりたくないから、その未来を辿らせそうな原因から離れようとする。


 ──俺と、同じか。

 執着によって膨大となる加虐性と共に、破滅の中心となるその未来を辿るくらいなら、嫌われた方がマシだと思った。嫌ってくれと思った。

 曝け出した自分を拒絶されたらと考えたら。──今思えば、あれは、恐怖だったのか。



 ……婚約を解消するのが、お互いにとって、一番良いんだろう。



 あれほど心の底から震えて、怯え、人を殺したのは自分だと責め続け──それでも、知りたいと思うことから逃れられず、訳も分からない高揚感に包まれる。

 常時あのような状態でいるなど、正気とは思えない。数分でも頭がおかしくなりそうだ。



 ……それに。恐怖など、今まで感じたことがなかった。

 忌み子と対峙した時には緊張はしたが、恐怖は無い。


 そもそも、ロード・オルテルには恐怖という感情が欠如していたのだろう。目を抉られても、四肢を欠損しようと、恨まれながら死んでも、火に焼かれても、怒りと執着しか抱いていないような人間だった。


 カルルの恐怖を体験したことで、自分が別の名前をつけて見ないようにしていたそれが、恐怖だと分かってしまった。



「……」


 ──今からどうするべきか。

 夜が明けるまでずっと気絶していたらしく、もう朝になっている。


「…俺自身の強化はどちらにせよ必要だな。ソロ攻略に切り替えるか」


 カルルを追うかで少し迷ったが、スキルを掛けられたのは昨日の夕方。既に町に戻ったか、あるいは別の場所にいるのか。


 追いかけっことなれば、圧倒的にカルルが有利だ。


 俺自身の声は完全に聞こえないようだが、他の人間の声は聞ける。町にいる人間全員に気付かれずカルルを探すことなど不可能だ。

 伝えられた内容を思うに、常時発動距離は約200mぐらいか。感情が強いか、知り合いのものはある程度遠くても拾えるらしい。


「……」


 ──婚約を解消した方がいい。両方とも、婚約を続けていくことに関して恐怖を持っている。

 …はずなのに、そう呼び掛けることが出来ない。違うことを考えて、事を先送りにしようとしている。



 俺は、カルルに何を望んでいるんだ?


 自分について分からないことなど無いと自負してきたが、そんなのはまやかしでしか無かったらしい。


 …カルルのことを考えると、渡された記憶に染み付いていた高揚感が戻ってきて、背骨あたりがぞわりとする。

 新しいことに対しての執着が重い。知りたいと思うだけでドーパミンがどばどば出ているのか。



 ──そんな人間が、ダンジョンを目の前にして帰ることができるのか?抗えるのか?



 案外近くにいるのではないか?俺の話を聞こうとしているんじゃないか?


 ……俺は、どうしてこんなにもカルルのことを考えてしまうんだ?不思議でならない。



 息を吐いて別のことに意識を移そうとした。


 ダンジョンといえば、スキルが手に入る場所だ。

 今の俺が持っているスキルは、『看破オクルス』と『深淵アビスドレイン』の2つ。


 『看破オクルス』は文字通り看破できるスキルだ。自分より格下相手ならステータスを見ることができ、強者でも身体接触があればステータスを見ることができる。…カルルには使えない。

 他にも、罠があるかどうかや、アイテムの真価を見ることが出来る。潜伏している人間を探すのは、看破には含まれない。

 ほぼ完全に生まれつきでしか手に入らないスキルだ。後天的に入手するにはかなり困難。


 『深淵アビスドレイン』は闇を操るというものだ。

 俺自身の魔力が上がると使える能力が増えるらしい。ロード・オルテルは貴族になってから、スパルタ教育と人格否定のおかげで魔力が歪み、増え、このスキルを開花させた。

 どうにか開花させたいがな…強いストレス下じゃないと開花しないのなら面倒だ。

 現時点では闇に実体を持たせてタコ殴りにするしか使えない。接触で追加ダメージを与えるのか、かなり強いが…貴族相手にはインパクトが足りないな。殴っているだけだからな。


 ドレインと名付けられているが…吸収系の能力は、ロード・オルテルも持っていなかったはずだ。何らかの条件を満たす必要があるのか?

 ロード・オルテルは一度も仲間にならないし、ステータスを見ることも出来なかったから分からないな。



 ……一通り考え終わると、やはりと言うべきか、浮かんでしまうのはカルルのことだ。


 もはや、もう手遅れなんだろうか。俺の執着の相手がカルルになってしまったのか?


「カルル。婚約の話は一切しないから、ダンジョンには潜らないか?契約石に誓った内容にお前の強化が含まれている」


 思わず呼びかけていた。



 少し待ってみたが、カルルが現れる気配はしなかった。

 悲しいのか、あるいはほっとしたのか分からないまま、ダンジョンへの階段を下りていく。

 聞き耳を立てているのなら、独り言を言い続ければ会えるだろうか。心の声は聞こえないが、実際に発音した声は聞き取れるようだからな。



 カルルは。……カルルは、前世の記憶を取り戻す前までは気にも止めなかった存在で、取り戻してすぐは、何が望みかは分からないが利用しようとしているんだろうと思うだけだった。

 契約後は、何も理由は無く傍にいることを選んだのかと動揺し、スキル判明後は笑顔でいてほしいとどうしてか思った。

 それだけと言えばそれだけだ。たった数日、関わっただけ。



 ……ここに、連れて来なければ良かっただろうか。

 忌み子との接触によって、加護への親和性が上昇、記憶を思い出したんだろう。そして、貴族──いや、自分自身への恐怖から逃げ出してしまった。



 あちらこちらへカルルへの印象が変わっていく。関係性もがらりと変わる。あまりにも急すぎるだろう。もう少しくらい段階を置いてから変わって欲しかったものだが。

 ……実在する人間に対して、そう思っても叶うことは無いか。



 説得して、それでも拒絶されるのが怖かった。それならばいっそこちらから拒絶してしまえと思った。

 そのくせ、カルルが離れていけば動揺し、何のつもりか呼び戻そうとしている。自分でも自分が分からない。


「カルル、聞いているかは分からないが…対話を諦めて、契約を押し付けて、悪かった。だが婚約を破棄する気は無いからな。…ここでまたスキルを掛けようとは思わないでくれよ?危ないのは分かるよな」


 返事は無い。人の気配もしない。


 言葉にして初めて、自分の望みがゆっくりと顔を出す。……俺は、カルルと婚約を続けたいと思っているのか。

 何故だ?このまま進めば、主人公とカルルがすげかわっただけの末路を迎えるだけだ。

 分かっているのに、抗うことが出来ない。しようともしていないんだろう。


「せめてものお詫びだ。このダンジョンで強くなる方法を喋るから、聞きたいなら聞け。いつでもいい、姿を現してくれるなら俺がカルルを強くする。契約だからな」


 何も無い空間に向かって一人で喋りながら階段を降りていく。

 既に花開いてしまった執着を、どうすればいいのか分からないまま。



 ーーーーー


 ダンジョンとは複数の階層(約50層ぐらいが多いな)で構成されている、地下に広がる大空間だ。

 魔物、罠、宝箱などが配置されており、抜け道や特殊部屋も存在する。

 本来その場にあったものを呑み込んで、ある日突然出現するのがダンジョンだ。運が悪いと形成途中のダンジョンに巻き込まれ、最下層まで落ちてしまう。落下で即死だろうが。


 難易度はダンジョンによって様々だ。

 ここは最終層を除いて比較的簡単であり、タコ殴りと魔力に物を言わせて魔法を使うぐらいしか戦う方法が無い俺でも攻略可能だ。


「1層目についた。と同時に引き返すと、階段の途中の壁にピンクの猫の模様が現れる。そこに魔力を注ぐ」


 そして、この『捨てられた土地』前ダンジョンには隠し要素のギミックが沢山ある。

 うっすらと浮かび上がってきた猫の模様に思わず笑みを浮かべた。ちゃんとゲームと同じ仕様になっているな。

 …問題は、アイテムには個数制限があるため、第3王女が来ていた場合減っているということだ。


 横ばいになって小さな空間を通る。少し進むと、ぽっかりと空間が空いている。中央には台がぽつんと置かれている。

 判別不可能な文字がびっしり書かれた台の上に、指輪が5つ置かれている。銀色の指輪にも同じような文字がびっしりと書き込まれていて、ぼんやりと光を放っている。


「…第3王女は来ていないみたいだな。全部回収しておこう。指輪は1つしか着用出来ないからな、俺が持っているから欲しいのなら言え」


 1人1つまでしか着用出来ない(しようと思えば出来るが、効果は1つのみ)とはいっても、次にここに来た人のために残してあげるほど優しくはない。全て確保させてもらう。


 左手の人差し指に嵌めて、『看破オクルス』を自分自身に使う。



 ロード、歳7、魔力100

 スキル『看破オクルス』『深淵アビスドレイン』『インベントリ(極小)』

 称号【異世界人】

 状態異常 『婚約─カルル』『異世界人』



 ちゃんと『インベントリ(極小)』というスキルが増えていることを確認して、頷いた。


 …それはそうと、状態異常が非常に気になるな。

 まず、なぜ婚約が状態異常なんだ?女神の神殿で契約したからか?

 そういえば、女神の愛し子に気をつけろと忌み子が警告していたような。

 王家でも覆せない強い契約であり、破れば痛いしっぺ返しがくるというのは、状態異常と銘打っていてもおかしくはない、のか?


 それと、異世界人が状態異常?この世界に対しての知識が増えたぐらいしか影響が無いが……何らかの制限が掛かっている可能性があるのか?



「この指輪のスキルは『インベントリ(極小)』、大体…そうだな、限界まで詰めたリュック3つ分くらいと同じ量を収納可能だ。このスキルを利用して収納しておけば重量は無くなる」


 ここまで持ってきていた寝袋やテント、着替え、食料を限界まで詰め込んだリュックから物を取り出しながら、インベントリ、と念じながら仕舞う。声に出さなくても使える。

 リュックのまま仕舞うと、リュックをそのまま出すことしか出来ないため、中身を全て出す必要があるが。


 インベントリと念じれば、ぼんやり何をしまったか思い出すことができる。取り出すのも簡単だ。


 魔力で身体強化のようなことをしてはいたが、やはりあるのと無いのでは大違いだ。体が軽い。


「指輪を一番最初に着用した者にスキルが付与される。使用後の指輪はただの飾りでしか無くなる。スキルは使えば使うほど、あるいは魔力を増やせば増やすほど強くなると言うが……すまない、俺にも詳細は分からない」


 魔力をいくら持っていようと、このスキルの場合皆同じ容量から始まるため、最初の魔力から増えた量に比例するのではないかと思っているが。

 ゲームでも、気づいたらスキルの力が上がっていた。どういう条件でそうなるのかは良く分からなかったな。攻略を見たが、書いていなかったはずだ。



 小さな空間から階段へと戻り、また1層へと来た。


「そこで、もう一度引き返す。今度はピンクの猫の反対側に黒色の犬の模様が現れる」


 知っていなければこのような行動を取る人間はいないだろう。しかも、2層以下まで移動した後に引き返しても模様は出てこない。

 ダンジョンとはこのような仕掛けが度々あるものだ。ヒントも何も無かったから、攻略を見て理不尽だろうと思った記憶がある。


「先程手に入れた指輪を当てると空間が出来る。この先にも台があり、同様に指輪が置いてある」


 こちらもちゃんと5つ残っていた。1つ以外は回収してインベントリに放り込んでおく。

 左手の中指に指輪をはめた。サイズは勝手に調整されるのが楽で良いな。


「この指輪のスキルは『炎(極小)』、現時点では火の玉くらいの炎を魔力の消費無しで出すことが出来る。このダンジョンのみだがあらゆる魔物に特効で、いくつか当てれば必ず倒すことが出来る」


 連続して出すことは出来ないがな。3秒ほど時間を置けばまた使用可能だ。


「ひたすら魔法とスキルを使って魔物を倒す。魔力は使えば使うほど増える。レベルや経験値といった分かりやすい要素があれば良かったんだがな…」



 魔力は平民なら普通10くらい、貴族なら100くらいだな。S級冒険者も大体それくらいになっている。俺は100あるが、年齢と素行によってB級止まりだ。主人公の初期値は200。

 50、100、150、200…というような値で魔力は止まりがちで、そこから増やすのには沢山の量の魔物を倒さないといけない。

 レベルのような概念があれば分かりやすいんだが…あまり法則が良く分かっていないんだよな。


 乙女ゲームではダンジョンに潜るにつれて魔力が上がっていき、それによってルート分岐がある。

 ゲーム的には好感度の方が重要視されていたが、ダンジョンやスキルといった沼が案外深く、レベルを上げるのに──あれ……結局レベルはあったんだったか?

 ……よく分からなくなってきたな……ダンジョンのギミックは結構覚えているし、物語の内容も覚えているはずだが……どこか記憶が曖昧で、思い出そうとすると頭が痛む。



「ここからはひたすら魔物を倒しながら、階層を進める。大体20層まで潜れば炎は極小から小になるはずだ。そうなれば同時に出せる火の玉が3個、大きさも少しだけ大きくできる。その頃には魔力もきちんと増えている」


 火の玉を出して倒すだけで魔力は上がり、魔法は使えるようになる。初心者育成には相応しい場所だ。


「魔力の回復を待つ必要は無い。ダンジョンには安全地帯が存在し、その場所に書かれている文字に触れれば魔力が回復する」


 魔力の回復を待ちつつ進むため、1日で進めても3層が限界、という冒険者が多い。

 俺も以前まではそうしていた。


 ダンジョンの壁からはたまに植物が生えており、その階層の魔物の血を3種類ほど与えることで、安全地帯へと転移する。

 誰が気づくんだと言いたくなるギミックだろう?


 安全地帯で魔力を回復し、すぐに元の場所へと戻り、魔物狩りを続けた。



 その日は15層まで進んだ。

 魔力は120に上がっていた。魔力100の壁をしばらく越えられていなかったから喜ばしいな。


「カルル、ダンジョンに潜りたいなら、ここまで戻ってきてくれたなら、『強欲アヴァリティア』で伝えてくれ。いつでも迎えに行く。…危ないから、一人で潜ろうとはするなよ」



 返事はなかった。

 それを残念だと思ってしまった時点で、俺はもう、引き返せないんだろうな。


 どうしたいんだろうか俺は。

 婚約を続けたところで、当たり前だが心を得られる訳ではない。それどころか、近くにいるのになんとも思っていない笑顔を向けられる方が苦しいだろう。そもそも、カルルは婚約の継続は願っていない。


 ──しばらく待っていたが、その日は諦めて安全地帯で寝ることにした。ぼそぼそとした携帯食を食べ、眠りについた。


 ーーーーー


「ようやく20層だ。…ここで、10層まで5時間以内に引き返す」


 魔物は出来る限り避けるようにして、最短ルートで戻っていく。階段を上ったり広いダンジョン内を走ったりで大変だが、失敗して2回目なんてしたくないからな。

 スキルを利用しまくって魔物を倒しつつ、急いで戻っていく。…体力をもっと付けた方が良さそうだな。魔力頼りで体は鍛えていなかったからな。



 無事3時間で戻ることが出来た。10層壁沿いに生える植物に血を3種類垂らし、安全地帯へと入る。

 入口と同じ台が置いてあり、ブレスレットが5つある。判別不可能な光る文字は同じだ。


「これのスキルは『水(極小)』。コップ1杯ほどの水を瞬間的に出せる。洗濯用には足りないが…20層まで降りるうちに小に変わるだろう。そうすればバケツくらいの水が出せる。魔力は消費しない」


 これまでと同じように、ブレスレットは全てインベントリに仕舞い、一つだけを身につける。


「カルル、今なら迎えに行きやすい。来るなら来てくれ」



 ──返事は無かった。

次回はカルル目線です。

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