第4章 第5シーン「風を追う者たち」
場所:王都郊外・風丘の上/夕暮れ。
金色の風が草原を揺らし、遠くの風車がゆっくりと回っている。
空では子どもたちが凧を上げ、笑い声が風に溶けていく。
ルシエナたちは丘の上に立っていた。
戦も涙も超えた仲間たち――
ノエル、ミリア、ユリウス、そしてライネル。
ノエルが、夕陽を背に微笑む。
ノエル:「見てみろよ、ルシエナ。
君の物語はもう風だ。
誰も止められないし、もう君一人のものじゃない。」
風に乗って舞う紙片。
そこには子どもたちが描いた小さな漫画が映っている。
絵は拙くても、笑顔があった。
ルシエナは静かに答える。
ルシエナ:「……それでいいの。
物語が誰かの夢になるなら――
私は、その“始まり”でいい。」
ミリアは涙ぐみながら凧を見上げる。
ミリア:「風が……笑ってるみたいですね。」
ユリウスは記録帳を閉じ、感情の波を測る魔道具を見つめる。
針は揺れ、止まらない。
ユリウス:「この数値、どの魔法よりも強い。
“希望”が、世界を動かしてる……。」
ライネルは腕を組み、穏やかな笑みを浮かべた。
ライネル:「戦の代わりに風を追うとはな。
悪くない生き方だ。」
風が強くなり、ノエルのマントがはためく。
彼は遠くの空を指差す。
ノエル:「風は海を越える。
きっと、まだ見ぬ国でも誰かが“描いて”いるはずさ。」
ルシエナ:「なら、私たちも追わなきゃね――
その風の続きを。」
ルシエナはノートを開き、
ゆっくりとペンを走らせた。
ページの一番上に、
新しい物語のタイトルが浮かぶ。
『風を越えて、星へ』
その瞬間、丘の上の風が弾けた。
積み重ねた原稿や漫画の切れ端が舞い上がり、
光のように空を覆う。
子どもたちの凧と交わり、
紙片は星のきらめきのように散っていく。
ナレーション:
“文化は嵐となり、風は星へと届く。
それは誰のものでもない――
けれど、誰かの夢であり続ける。”
風の中で、ルシエナが微笑んだ。
その笑顔は、まるで新しい時代の夜明けを照らしていた。
✨第4章 完
『風を追う少年たちと、文化の嵐』
――夢は風に乗り、希望を運ぶ。




