プロローグ
シイちゃんが帰ってきた日、家族だけでなく、使用人や騎士たちも一緒になって喜んでくれた。
急遽、パーティーが開かれ、シイちゃんは動きはしないものの、みんなの前でキラキラと光って再会を喜んでいた。
その日の夜、二つ並べた柔らかな枕の一つにシイちゃんをのせて、私は隣に寝転んで話しかけた。
「シイちゃん、戻ってきてくれてありがとう」
お礼を言うと、シイちゃんはキラリと光った。
シイちゃんが近くにいるだけで安心できるのは、やっぱり、私に王家の血が流れているからなんだろうか。
昔の私は元家族の不幸を全て引き受ける形になり、それが病弱という形になっていた。今回の王家には第四王女はいない。
それなのに、シイちゃんが動けるのはどうしてなんだろう。もしくは、いつも動けるのだけど、動かないふりをしていたのかしら。
それに、ずっと気になっていたことがある。
「元両親はどうして私をシイちゃんの力で助けようとしなかったのかしら」
独り言のつもりだったが、シイちゃんは反応して飛び跳ねると、机の上に広げたままだった、文字が書かれた紙の上に移動した。
「シイちゃん?」
起き上がって机に近づくと、シイちゃんはコロコロと転がる。
『ダイヨンオウジョハ、シイノカワリ』
「……シイちゃんの代わり? ということは、私にシイちゃんを近づけても意味がないってこと?」
『ソウ。ジブンニジブンヲチカヅケルヨウナモノ。アト、ダイヨンオウジョガイナイトキハ、シイハネタフリ』
「じゃあ、今のシイちゃんはどういう扱いになるの?」
尋ねると、シイちゃんは文字で答えるのではなく、その場でモジモジするように動いただけだった。
「どうかしたの?」
首を傾げると、シイちゃんは動き出す。
『ミリルガイッショウヲオエルマデハ、ネタフリシナクテイイヨッテ、カミサマガイッテクレタ』
「そうだったんだ。神様は優しいのね」
あとから思えば、神様は新しい王家で問題が起きることを予想していた。
だから、新しい王家を牽制するためにシイちゃんを自由にしたのだと、この時の私は考えもしていなかった。
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