表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍発売中・コミカライズ連載開始】捨てられた第四王女は母国には戻らない WEB版  作者: 風見ゆうみ
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/114

40 幸せの終わり(ジーノス視点)

読んでいただきありがとうございます!

このお話はジーノス視点になります。

 お金に苦労しなくて済むと安心できたのは、ほんの束の間だった。ゼカヨダ病の薬はすでにいきわたっている上に、コニファーという薬師と組んだジャルヌ辺境伯家が薬を格安で売り始めたせいで、エノウ伯爵家から薬を買ってくれなかったからだ。

 薬の転売は違法だということはわかっていたが、それを本当に欲している人間は、そんなことなど気にせずに買うものだ。だから、不足しているだけでなく、良い薬であれば、必ず高値で売れると思っていたのに計画が狂ってしまった。


 ジャルヌ辺境伯家が裏で手をまわして、エノウ伯爵家をはめたんだわ! こんなことに引っかかるエノウ伯爵家も本当に馬鹿ね。そして、それは私も同じだわ。そんなに簡単に上手くいくものではないと警戒しておくべきだった。

 大きなため息を吐いた時、ノンクードが私の部屋にやって来た。

 笑みを浮かべていたノンクードだったが、私の浮かない顔を見て心配そうな顔になる。


「ママ、どうかしたんですか。とても辛そうな顔されているので心配です」

「ああ、ノンクード。心配してくれてありがとう。でも、大丈夫よ。あなたの顔を見たらかなり落ち着いたわ」


 微笑んで言うと、ノンクードは安堵したように笑みを浮かべて頷いた。

 この笑顔を見ると、本当に安心できる。ノンクードはハリーにそっくりだ。この子を生んで本当に良かった。

 公爵家から追い出されたショックで、今はまだ元気がないことは確かだが、シエッタ殿下と結婚できるようになれば、また元気になるはず。贅沢な暮らしを取り戻すためにも、私がこの子のために頑張らなくちゃならないわ。


「そうだ、ママ。手紙が届いたので持ってきました」


 ノンクードはそう言って、持っていた白い封筒を私に差し出した。受け取って確認してみると、フラル王国の王家の紋章の封蝋が押されていることがわかった。


 やったわ。やっと返事がきたのね! これで、私たちは幸せになれる!


 ノンクードを抱きしめようとした時、ハリーがやって来たので、私は彼に笑顔を向けて話しかける。


「ハリー! どうかしたの?」

「……話があるんだけど」

「何かしら」


 ハリーは少し躊躇ったあと、重い口を開く。


「ジーノス、悪いけど僕と別れてくれないか」

「……え?」


 一瞬にして頭が真っ白になり、私は手に持っていた手紙を床に落とした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ