56 フラル王国の第二王子への処罰 ③
レイティン殿下が人を使ってシイちゃんを盗ませようとしたことは、エイブランも気づいていたらしく、先にフラル王国の国王陛下に知らされていた。
シイちゃんから話を聞いたところ、レイティン殿下が国王陛下にシイちゃんの偽物を見せるとすぐに、石から砂に変わってしまったらしい。
エイブランは前回の私の元家族の時のことを覚えていたから、石が砂に変わっても、前回と同じだと考えそこまでの衝撃はなかったし、その話は国王陛下にも伝えられていた。
私は私で、フラル王国の国王陛下に手紙を送っていたし、シイちゃんが砂になったと本気で思っているのは、事情を知らないレイティン殿下だけだった。
国王陛下はレイティン殿下に真実を話すようにと言ったそうだが、彼は話さなかった。そんなこともあり、レイティン殿下は無期限の謹慎処分を受けた。
自分の部屋から出ることはできず、学園に通うこともできなくなった。学園で勉強できない分は、専属の教師を雇って彼の部屋に通ってもらうそうだ。
「いつか、彼が外に出られる日が来るのかしら」
『ワカラナイ・ドウセイツカハ、イマノオウタイシガコクオウニナル。ソノトキニ、ジョセキスルンジャナイカナ。ソウナッタラ、ダサザルヲエナイヨネ』
「そう言われればそうね」
頷いて、レイティン殿下の責任を改めて考える。
「主犯格はエレスティーナ様かもしれないけれど、レイティン殿下のしたことは許されないことだわ。しかも、私利私欲のために自国や他国の兵士に無駄な怪我をさせたんだもの」
『レイティンハ、コッピドクオコラレテ、ズットナイテバカリイルケド、ジゴウジトクダヨネ』
「これで少しは懲りてくれるといいんだけど、ちゃんと反省してくれるかしら」
『コレデハンセイシナカッタラ、スクイヨウガナイヨ。イマノバツハアマイカラ、モットキビシイモノニシテ、ジブンノシタコトガドンナニダメナコトカ、ワカラセナクチャ』
「それもそうね」
ハピパル王国の国王陛下が割って入ってくださったことで、今回のもめ事については解決しそうだ。でも、原因は追究していくはず。そうなると、エレスティーナ様が関与していたこともわかってくる。
「エレスティーナ様への対応はどうするつもしかしら」
『ソレハ、オウサマドウシデ、ハナシアウトオモウケド、ナニカイヤナヨカンガスル』
シイちゃんにもそんな感情があるのかと思って口に出そうとした時、お父様が家に戻ってきたという連絡が入り、私はシイちゃんと一緒に出迎えに向かった。




