自然の摂理と先入観 その3
皆様、お疲れ様です…
ご想像…できましたでしょうか…?
イメージ…することで実感…危機感に繋がりますから…
どうか…そのイメージ…抱えたまま…
始まります…
あの日は忘れもしない…
介護業界には関係のない盆休み…
もうそんな雰囲気に慣れた私は、迷わず裏道を使って出勤した。
曜日まで覚えている…火曜日だった…
出勤して8時45分頃から鳴り始める始業の合図かのような電話…
これはいつも通りの職場の風景
病院や他事業所、ご家族…様々な問い合わせに囲まれる
施設が求められている実感は、忙しくも嬉しくもある感覚だ。
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9時50分を回った頃、
施設内に今までとは違う、ざわつきを感じた。
事務所前で通所職員とケアマネ、他数名の職員が玄関の外を気にしながら、緊急会議のような立ち話をし始めていた…
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「護介さん!いつものW夫婦さんが来ないのよ…いつもは9時00分には来るのに…」
「道が混んでるとか…たまには遅くなることもあるんじゃないの?」
「いえ…Kケアマネが自宅に電話しても出なかったんで…途中で事故でもおこしていないか?って心配してて…」
「Wさんの自宅からだと…かかっても30分だよね…」
「そうなんです…10時になっても来なかったら自宅に向かってみようと思っているんですが、一緒に来てもらえますか?」
「あ…ぁ…あぁ…いいけど、いつもHさんが来る道順はわかってる?行き違いにならないかな?」
「大丈夫です、遅れる時は必ず奥さんは事前に連絡してくれていたので、寄り道はしていないと思うんですよね、そんなに複雑な道順ではないので、こちらから逆に道を辿れば良いかなって思って」
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担当ケアマネと通所職員、そして私の3名で車に乗り込んだ
施設の敷地を出ると、直ぐに県道に入る。
その道に入った瞬間から、対向車線を間違い探しかのような凝視が始まった…
聞いてきた車種と色…全く同じ車種と色に3回遭遇した…
車の速度を落とし、運転手を確認する…
その度に、緊張と期待と落胆を繰り返しながら自宅まで向かう…
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ケアマネの誘導で、細い路地に入った。
「あっそこ右折で…」
右折した瞬間に、あれほど求めていた車種が目の前に飛び込んできた…
嫌な予感は奥の方にあった…だがこの瞬間に、あえて口に出していなかった不安…
その不安が一気に奥から前に押し退けてきた。
「車ある!」
勢いのあるこのケアマネの発言は、発したケアマネ自身を先頭に、3人共、その先の言葉を詰まらせた。
急いでいる私達を阻むかのように、重たくゆっくり流れる時間と静寂…玄関のチャイムが大きく鳴り響く…
つづく
玄関は開かれるのか?
それとも?
そしてどのような結末なのか?
次回、玄関のその先…
それでは
またお会いしましょう…




