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現実を知って、もう少し深く想像しましょう!

前回ブースより、他の人と話せなくとも

少し、(自分の最期)を想像できましたでしょうか?


それでは本日は実際にあった私(護介)の体験談を交えて

もっと、ご自身と向き合っていただければ幸いです!!

私の中で、この(エンディングノート)

このワードを聞くだけで思い出す経験が御座います!


それでは当時の私の回想を映像化してお届けいたします!


       ◇◆◇◆{隠された日記}◆◇◆◇


あれは私が相談員になって3年目・・・

右と左が少しだけわかるようになり、御家族のお気持ちも察するまで、余裕が生まれた頃だった。


回復期医療病棟(リハビリ病院)から電話が入った


(お世話になっております)と体裁の定番から始まった電話


「ご相談したいケースがあるのですが、宜しいでしょうか?」

一方通行のお願いが先ず始まる、これもこの業界の定番だ


「58歳女性、2回目の脳梗塞発症で摂食障害があり胃瘻を造設いたしました、ADLは自立歩行が可能なレベルなんですが、高次脳機能障害が重度で指示は全く入らず、奇声を発して他の入院患者様から苦情が出ている状況です、また本日、歩行が可能という事もあって院外へ出て行ってしまいました・・実は院外に出てしまったのは、今回で3回目なんです・・当院はリハビリ病院ですので、リハビリの対象にはならないと医師が判断致しました、貴施設での対応は可能でしょうか?」


※脳梗塞の後遺症で(摂食障害)が合併することがあります

(飲み込むという機能が失われる症状です)

※胃瘻とは、腹部から胃に直接チューブを通して栄養剤を流し込む処置

※高次脳機能障害とは、記憶障害、注意障害、考えること事態、感情コントロール、言語障害等

 多くの障害が脳の損傷部によって様々な障害がおきる事

(重度)と言われた、この対象者は全ての障害が合併し

 全ての障害がおこり、全ての障害が重度でした。


施設でお断りする理由は

(満床であること)

(医療的に対応が不可であること)

断る理由はない


「わかりました、先ずは、当施設へ御家族が相談に来て頂き、入所申し込みをして頂いてからになりますが宜しいでしょうか?ちなみにご家族は?」


「はい、いらっしゃいます・・長男さんと長女さんが市内にいらっしゃいますので、ご連絡してみます、その後ご家族様から護介さんに電話を入れて頂くようお願いしておきますので、対応お願い致します」


≪この電話を受けた翌日に長女から電話が入った≫

「本当に…相談にのって頂けるんですか?」

…相談をするというだけの事に何かに怯えているような口ぶりに最初から疑問が生まれた


「えぇ…もちろんですけど…なにかありました?」


「はい…今、入院している病院が、色々な施設に声をかけてくれたんですけど・・全て断られてしまいました・・なので、受け入れしてくれる施設はもうないかと思っていました・・」

……………… 

「まだ、この段階では…正式に入所ができると言いきれませんが、とにかくお話しを聞かせて下さい」

(話の内容から予防線を張ってしまった)


私の不安よりも娘としての不安が優先されることは言うまでもなく

この日の翌日10時に、施設で相談する約束を交わす

********************


そして翌日の9時40分頃

「少し早いですけど…昨日、護介さんと約束したSです」

予定通り、事務所窓口に娘さんは1人で現れた


********************

「こんにちは、護介です!それでは相談室へどうぞ」


白を基調にした相談室

病院よりも少しだけ、温かみのある雰囲気を模しているが、それでも冷たい

******


初回相談(インテーク)は先ず介護保険証の確認

〜〜〜〜〜

そして私の質問から始まった****


「今、入院されている病院には、いつから入院されているんですか?」


「もう少しで2か月になります・・自宅で倒れている所を兄が仕事から帰ってきた時に発見して・・・倒れてからどれくらいの時間が経っていたのかはわかりません……兄から電話をもらって……とにかく救急車を呼びました・・・そして○○○病院へ搬送されました・・・5日間くらい意識がなかったんですけど・・意識が戻り始めたら、奇声をあげながら歩き始めるようになってしまい・・個室に移されました、ベッドにベルトで固定されて・・入院期間は2週間程で、今の病院へ転院になりました・・」


「そうでしたか・・わかりました、他には・・持病とか・・かかりつけ医に通っていたとか・・何か他のご病気はありましたか?」


「持病はなかったと思います…ですけど…実は脳梗塞は今回が2回目で・・・」

明るい話をしていた訳ではないが、さらに雲行きが悪くなったような空気になった


「一度目は何歳頃に?」

「母が55歳だったはずなので……今から3年くらい前のことだと思います……」


「その時は後遺症とか?なにか症状はありましたか?」


「私から見て、なかったと言えば、なかったんですけど・・入院も1週間くらいで…自宅に帰ってからも普段通りに歩けて…会話も普通にできて、でもずっと自営をしていたんですけど、その病気をきっかけに(店を閉める)って言って・・・本当に閉めてしまって・・母にしかわからないナニカがあったのかな?とは思いました」


「後遺症がなかったことは幸いでしたけど・・2回目・・また脳梗塞が発症してしまったという事だったんですね・・」


「そうなんです・・・そして私・・とんでもないことをしてしまいました・・」


長女の娘さんが懺悔のように絞り出した言葉は…雲行きを一気に暗くして

………雷雨の様に泣き出した・・・


「私が…あれから…母と……もっと…話を…し…て…いれば…」


右と左しかわからない私は、無言でボックスティッシュを差し出し、小降りになるのを待つ事にした…


しかし娘さんは

まだ小降りではない状況で話し始める

「聞い…ていただ…けますか?」という問いに

聞くことを断る選択のない相談員


「はい…ゆっくりで大丈夫ですよ…」

娘さんに言ったのか?自分自身に言ったのか?わからなくなるような言葉が出た


私は頼りになる姿勢を急いで作り直した


                                                つづく

次回 (隠された日記)第二話になります


またお会いしましょう。

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