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住所不定無職の更に向こう側(閲覧注意)①

本日ご紹介するブースは

(閲覧注意)の軽めです!!


ですが任意同意の上、参加してください


何年も前の話ですが、非常に記憶に残る経験でした


世の中には…色々なものが…不思議なことが…あるんでしょうね…

 

はい!!今日は通常ブースの御用意ができず

今までとは少し違う、別室予備ブースへご案内致します


こちらは視聴覚室

日替わりで、様々な動画をご覧いただいております


今日のテーマは

【住所不定無職…更にその向こう側】になっております


私(護介)が大昔、(介護福祉士)として

施設で働いていた時のことをデータ入力して

AIが作成した動画をご覧ください


それでは、始まります!!


ーーーーーーーーーーーーーーーー

「コンニチハ…AIのフクシ…アイ ト イイマス」


「タマニ、(護介)ノコトガ…ムカツキマセンカ?ダイジョブデスカ?」

「ムカツイタトキハ、ワタクシ、アイニ、イッテクダサイ」

ーーーーーーーーーーーーーーー

【動画開始】


あれは非常に寒い日でした


慣れ親しんだ施設ケアマネから

「ちょっと急遽手伝って欲しいんだけど…」


慣れ親しんだ関係とはいえ

業務的に介護の現場職員と施設ケアマネが一緒に業務するのは少しだけ珍しい


「何かあったの?」内容が気になった


「うん…市役所から依頼が入って、駅のホームで保護された方を施設で保護できないかって相談入ったんだけど…」


(けど?)


その先が気になったが、とにかく車に乗って同行することになった


「今はとにかく(※支援ハウス)に移動して2日目みたいなんだけど、このまま支援ハウスに居させるわけにはいかないみたいで、(とにかくご本人に会わせて欲しい)ってことになって、私もどういう状況か、行ってみない事には、わからないんんだよね」


※一時的に避難地として使われる様な施設

(県でも数カ所しかありません)


(対象者は男性 67歳 介護保険未申請 駅のホームに倒れていた)

情報はこれだけだった


施設ケアマネは

更に詳しい情報が欲しい、自分以外の視点も欲しいと考えた末の決断のようだ



車内では、日々の仕事の話、恋愛の話までの談笑する時間になった

しかし到着して、真っ白な壁に枯れ葉が舞う寂しげな外観は、緊張感を煽った


そこに青色の軽自動車、ドアの部分に

(〇〇市………)と私達が住む街がペイントされている


「市役所の保護係の方…先に来ているみたいだね」

施設ケアマネは独り言のように言った



自動ドアが閉ざしているガラス越しに

間違いなく、私たちの到着を待っている5人の男女が待ち構えている



勝手に開いてくれるドアが、便利に感じなかった


「お待ちしていました!遠いところすみません」

「いえいえ、Kさんからの依頼となると確かに少し怖いですけど」

「またまたぁ〜今日もお願いします!」


施設ケアマネと市の職員であろうKさんのやりとり

こんなことは、過去にも何度かあったのだろうという情報だけ得られた


施設ケアマネの存在が更に頼もしく感じた


割って入ってきたのは、多分ここの施設職員

「それではご案内しますね」


案内されたのは個室

茶色いドアが開かれる


ベッドに寝ていたのは小柄な男性

坊主頭にしている


部屋に入った瞬間にその男性が発する

「おおぉ!!どうも!世話んなります!!」


気さくで明るい笑顔で出迎えてくれた


「こんにちは!初めまして!〇〇施設から来た施設ケアマネです、体の状態を聞きに今日は伺いました」

「はいはい!よろしく!」


施設ケアマネとHさんのやりとりが始まった

「Hさん、まずは…生年月日教えてもらっても良いですか?」


「あーーーー多分、昭和…さんじゅ…何年だったかな…昔の記憶が完全に飛んでるんだよね」


「わかりました、どちらで生まれたかとか…お仕事とか…覚えていることはありますか?」


「いや……それも思い出せないんだよね……気がついたら駅に寝てたことは覚えてるんだけど」


「名前は覚えていんだすか?」


「えぇHです」


(認知症?認知症ならここまでハッキリとした会話は難しいはず…)

(記憶喪失?それとも話したくない?)

私はこのやり取りを聞きながら考察を続けた


「では、今何か…お困りの事はありませんか?


「ああぁ…足がね…(布団をめくる)右足が動かねーんだよ!」


「これは何か事故か何かですか?」


「だいぶ昔のことで、忘れちまったな…」

(だいぶ昔であることは覚えてる?)


投げ出した右足は、腿の付け根から爪先までが完全に伸びきっている

足首さえも限界を超えた伸び方をしていた


「ちょっと触っても良いですか?」


「おお!痛くもねーから大丈夫だけんな!全く曲がらねーから邪魔なんだよ!」


「本当に痛くないですか?」

(私も思った、あれだけ固く伸ばされている状態は痛々しく思えた)


「痛いとかそういうことじゃねーんだよ…感覚がないから触られてもわかんねーんだよ!」

続けてHさんは、(そんなことより)という雰囲気を出しながら

「後はこれだな…この頭…俺は何かされたな…」

自分で頭を撫でながら、これも深刻とは程遠い日常会話のように話す


(坊主頭の額をよく見ると、額にうっすら左右に丸い凹みが二つ、直径は3cm程度)


「これは何か手術をされたですか?」


「病院で昔、俺は勝手に手術された」

(昔の記憶はないはずじゃ?手術って…なんの?)


施設ケアマネも動ずることなく淡々と質問を続けていった…


「わかりました、思い出したらまた教えてください」

その後、何往復かの質問と回答を繰り返し、調査は終了した


Hさんは「よろしくお願いします」

これも軽い笑顔で見送られた


ーー出迎えてくれた5名の職員と私たち2名だけで別室へ移動


市役所のKさんが最初に口を開いた

「認知症とも思えない感じで…記憶喪失とも言い難い…あんな感じなんですよ」

Kさんは続ける

「介護申請はもう出してて、住民票他市にも紹介出してるけど不明…年齢も何もかも…」

「60歳代には見える感じ…でも何か言いたくない…隠してる?ような?」


施設職員も口を開いた

「こちらに来て2日経ちましたが、私たちもさり気なく聞いてみたりしています、ですが今以上の情報は得られていません、腕の筋力はありHさん自身でトイレにも行けています、食事も全量食べています、トラブルも起こさず生活してくれているので、施設としても困っている訳ではありませんが、とにかく不明なことが多くて…」


施設ケアマネはKさんに確認を始めた

「当施設に入所しても(※保護管轄)で担当とフォローは継続してくれますか?」

「ええ!もちろん、年金手帳もないし、とりあえず生活保護申請もしています、Hさんがあの様子だから、親族を探すまでには当分時間はかかるだろうし…丸投げはしません」

(※生活保護の方は、原則ですが担当が付きます、入院や受診等のサポートをしてくれます)


そして、市役所Kさんと施設ケアマネが小声で話す内容が私だけに聞こえてきた…


(あれ…ロボトミー?)(ね…私も思った…)



(ロボトミー?なんだそれは!?)


帰りの車内で(ロボトミーとは?)もちろん質問した


回答は

「落ち着いて施設戻ってから説明するよ」だった


こうして調査を終えたHさんは

私が働く施設へ入所する方向へ急速に向かうことになった


この調査が終わって6日後


あっという間に、2階の4人部屋へ案内され

調査の時と同じ姿勢で、既にHさんはくつろいでいた…



ーーーーーーーーーー


はい!!


動画の途中ですが、長くなりましたので、ここで小休憩の後

動画の続きを見ていただきたいと思います


それではまたこちらのブースにて、お会いしましょう♪

お疲れ様でした

(護介)です!!

アイのやつ…!!動画はなるべく短めで作るように言っておいたのですが…


すみません!動画の続きが気になるところですが…

私もデータ入力しただけで、動画は初めて見るので続きが気になります


よろしくお願いいたします!!

それではまたお会いしましょう♪

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