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魔女候補生の光乃緋音です。


 私の産まれ育った日本という国。世界的に見ても異質な歴史を持つ島国。そんな山と海の幸が豊かな国のど田舎で育ち、今や人間国宝よりも少なくなった系譜、魔女の家系に産まれた私。


 中世に入るまでは時代の寵児…ほぼ最強だった魔女だったが、科学の発達と共に廃れ、狩られ(いつの世でも迫害対象だったけど…)、絶滅したとされていた。

 しかし、魔女は滅んではいなかった。細々と一般人に紛し、現代まで生き残り続けていた。

 だからといって、世間は魔女を認知していないし、おとぎ話の世界のアレ程度の認識でいるのが現代である。


 そんな魔女も魔法も廃れ、それでも生きる現代の魔女(候補生)が私、光乃(こうの)緋音(あかね)である。



−−−−−−−−−−−−−−−−−



「人ん数が凄か…」

 実家から最寄りの駅まで箒で1時間。そこから列車に乗り県庁所在地の駅に着くまで1時間半。そこから新幹線に乗れる駅に出るのに県を跨いで2時間ちょっと。博多駅発の新幹線にようやく乗れる。早朝に実家を出たにも拘らず、品川駅にたどり着いた頃には、夕暮れ時、半日以上掛けた長旅なのに、実は旅は始まったばかり。

「どがんいけばよかとやろ?」

 大都会という未知のダンジョン。巨大なビル群は今現在、私がどこにいるのか分からなくさせるオブジェクト、どれも一緒に見え、私は日が沈み、真っ黒になった街をぐるぐると彷徨い…

「泣かなくて大丈夫だからね。」

 迷子になり泣きながら交番に駆込み、警察に保護されていた。


 親切な警官に道案内して貰い、私は目的地に辿り着く。


 大都会。少し寂れた一画の小さなマンション。

 故郷を離れ、魔女の生き方、魔女として生きる。

 そんな僅かな望みを叶える為に私はここに来た。

 大きく深呼吸をし、母から送られたメッセージに記された部屋番号を押し、呼び出しボタンを押した。

 呼び出し音が数秒流れ、

「入りな。」

 ぶっきらぼうな声がスピーカー越しに聞こえ、自動ドアが開いた。


 魔女候補生、光乃緋音16歳。

 魔女として、現代で生きる為に上京しました。



−−−−−−−−−−−−−−−−−



 部屋の前に立つ。

 インターホンを鳴らすと数秒後、勝手に玄関の扉が開いた。

 入っていいということなのだろう。

「お邪魔します…」

 これから始まる魔女候補生、つまり弟子としての生活への期待と夢を抱きながら、不安も抱え、恐る恐る扉を潜った。


「なんねこれ…汚か…」

 玄関を抜けるとそこはゴミ屋敷でした。









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