早く生まれてこないかと待ちわびる日々
さらに月日は流れ、お腹がパンパンに大きくなった。出産予定日も近い。大聖堂は私の出産というビッグイベントで慌ただしい。
「イザベル、具合はどうだ?」
「はい、だいぶいいです」
「本当か?無理はするなよ」
最近では大きなお腹で散歩は難しいので、ちょっとベランダで日の光を浴びるくらいであとはベッドの上で安静にしている。
毎日のお散歩デートは結構楽しかったのでちょっと残念だ。
「あ、蹴った」
「え?」
「この子が今、お腹を蹴りました」
「おお、やんちゃだな」
「ふふ、やんちゃですね」
子供はどうやら男の子らしい。助産師さんが魔法で性別を確かめてくれた。でも、正直性別はどちらでもいい。私とユルリッシュ様との子が無事に産まれてくれるなら、それだけでいい。
「名前もそろそろ決めないとな」
「それなのですが…ユベール、という名はどうでしょうか?」
「ユベール…良い名前だな」
「ユルリッシュ様はどんなお名前にしたいですか?」
「イレール、なんて名前も良いと思うんだが」
ユベールか、イレールか。どちらも良い名前だと思うのだけれど。
「でも、今回はユベールにしよう」
「よろしいのですか?」
「ああ。次に生まれる子には俺が名前をつけよう。今回はイザベルの考えた名前を優先したい」
「ふふ、もう。気が早いです」
「はは、そうだな。たしかにそうだな」
出産も間近。少し緊張するけれど、ユルリッシュ様がついていてくれるから大丈夫。




