ショタジジイと真剣なお話
三時のお茶の時間も過ぎて、二人でまた手を繋いで資料室に戻り翻訳の続き。終わった頃にはお夕飯の時間になっていた。
「お疲れ様、イザベル」
「ありがとうございます、ユルリッシュ様。ユルリッシュ様もお疲れ様です」
「まあ、俺にかかればこのくらいなんでもないからな。イザベルも手伝ってくれたおかげで二馬力で出来たし」
そう言って微笑んでくれるユルリッシュ様のなんと可愛らしいことか。
「今日はよく頑張ったからな。一緒に夕飯を食べて、休もう」
「はい、ユルリッシュ様」
ユルリッシュ様と手を繋いで食堂に行く。夕食を二人で食べて、その後はもちろん別々にだけどお風呂にも入って、そして夫婦の寝室へ。
「…イザベル」
「ユルリッシュ様、お待たせしました」
先に寝室に戻っていたユルリッシュ様の元へ行く。ユルリッシュ様は、何故か少し不安そうな表情を見せている。
「…ユルリッシュ様?どうしました?」
ユルリッシュ様はいつも自信満々なイメージだったから、その表情になにかあったのかと心配になる。
そんな私と目を合わせることもなく、ユルリッシュ様は続けた。
「イザベル。少し俺の昔話をしてもいいだろうか」
「昔話、ですか?もちろん聞きますけど…」
ユルリッシュ様は、ぎゅっと目をつぶって言った。
「俺は…実の母から、疎まれていたんだ」




