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宇宙戦闘における基本的な戦力の機動

宇宙戦闘での機動は軌道マニューバに始まり軌道マニューバに終わります。

適切なマニューバの選択や天体が最も軌道遷移に都合が良くなる位置になる時を待つのも重要ですが、それ以前に重要なのがΔVの総量です。


艦艇や編隊の総ΔV量が宇宙戦闘時の軌道遷移において最も重要であるため、タンカーを艦隊に入れるのは機動力を上げるための基本的な策になります。

また、日数がかかっても別の軌道に遷移しやすい高軌道に位置する事、艦艇に追加の推進剤タンクを付ける事なども取るべき策になるでしょう。


目次

宇宙戦闘と軌道戦闘

軌道戦闘でのマニューバの種類

・ホーマン遷移軌道

・準ホーマン遷移軌道

・双楕円マニューバ

・逆軌道

低重力下でのマニューバ

高重力下でのマニューバ




宇宙戦闘と軌道戦闘


全ての天体は重力を持ち、その衛星は主星の軌道を回ります。

それは人工衛星や宇宙戦艦であっても同じで、全ての宇宙機は軌道を回らなければ宇宙空間に留まれません。

そのため宇宙戦闘においても多くの場合は戦闘の目標を達成するためにどのような軌道遷移を行うか決断せねばならず、どれほどのΔVを持っているとしても敵より効率的な軌道マニューバを取らなければあっという間にΔVが尽きてあなたの自慢の宇宙戦艦は虚空を漂うデブリとなります。


軌道マニューバの重要性をご理解いただけたでしょうか?

この文章では宇宙戦闘を軌道戦闘と呼称します。




軌道戦闘でのマニューバの種類


軌道マニューバといっても様々なものがあり、三次元空間上で平面の軌道を遷移させ敵艦隊にピンポイントにインターセプトするには適切なマニューバを取る必要があります。

今回はその中の一部の例をご紹介します。


・ホーマン遷移軌道


学術用語が出たからと怖がらないでください。簡単です。

ググれば図が出てきますが、その図の通り同じ平面の中で自分の軌道を楕円状に変形して、目標と自分の軌道の遠点で接するようにすれば完成です。ね、簡単でしょう?

KSPのような軌道シミュレーション宇宙開発ゲームを遊んでいる人にはなじみ深い軌道マニューバで、多くの場合最も効率がいいためによく使われる軌道マニューバです。


ですが軌道戦闘においてはホーマン遷移軌道を取るためにタイミングを待つのは時間的ロスであり、完璧なホーマン遷移軌道を軌道戦闘で見ることは少ないでしょう。

そこで使われるのが準ホーマン遷移軌道です。


・準ホーマン遷移軌道


ググっても適当な図が出てきません!どうすればいいでしょう?

準とついただけで基本的にはホーマン遷移軌道と変わりません。目標の軌道と自分の軌道を交差させて、交点に目標と自分が通るタイミングが同じになるように強引に調整すれば準ホーマン遷移軌道です。

軌道戦闘でのインターセプトマニューバは大抵の場合コレです。


・双楕円マニューバ


同じ軌道平面状でのマニューバしかないじゃないか?!


多少の軌道傾斜角の違いは強引に調整すればどうにでもなります。しかし、90度近く付いている場合は?

このような目標の軌道の軌道傾斜角が自分の軌道と極端に異なる場合は、双楕円マニューバの出番です。


ググっても英語版のwikipediaしか出てきません!


そこまで難しい軌道マニューバではありません。まず軌道速度を加速して楕円状の軌道を作ります。

遠点に来たら軌道傾斜角を変えます、この時軌道傾斜角を変えるのに必要なΔVは低軌道で軌道傾斜角を変えるよりはるかに少ないです!

その後近点で軌道遷移する分を入れても低軌道で軌道傾斜角を変えるより少ないΔVです。

高軌道では軌道傾斜角を変えるために必要なΔVが少ないので、わざわざΔVと時間を消費してまで遠点に言った後軌道傾斜角を変えます。


ΔVの1m/s血の一滴!ΔVの節約は軌道戦闘の宿命なのです!


・逆軌道

双楕円マニューバを使えば目標の軌道に対して逆に周回する、つまり逆軌道を取ることも可能になります。

逆軌道の最大の利点にして欠点は目標と自分の相対速度が稼げることで、これは敵艦隊の対空砲火をかいくぐってミサイルやドローンが攻撃を仕掛けるときに敵対空兵器の攻撃可能な時間を短くします。

これは両艦隊がフライバイし、敵対空砲火が終わる時のミサイルやドローンの生存数を上げ、敵の損害を増やします。


一方でこれは敵艦隊と自艦隊が交戦し艦隊決戦を行う時に両艦隊が退却することをほとんど不可能にするとともに、接近とフライバイまでの時間を極端に短くするので両艦隊の火力と装甲に桁違いの差が無い限りは艦隊決戦の勝負が付きにくくなります。


逆軌道を上手く使えばあなたは素晴らしい勝利を手にしますが、下手な逆軌道はあなたの艦隊を簡単にデブリにするので慣れないうちは使わない方がいいでしょう。


ドローンやミサイルを主要装備にした機動艦隊なら使ってもいいかも?




低重力下でのマニューバ


小惑星などの低重力下では折角あなたが今学んだ軌道マニューバはほとんど役に立ちません。

低重力下では一般的によくイメージされる宇宙戦闘のような、小惑星を基準としたときに直線的な軌道が時間と消費ΔVを比べた時に優れた軌道になり、下手にノロノロと軌道マニューバを取っているとあっという間にあなたの宇宙戦艦はミサイルとドローンに蜂の巣にされます。


低重力下では軌道マニューバなんてせずに直線的な軌道を取ってください。





高重力下での軌道マニューバ


反対に地球のような高重力下では慎重に軌道マニューバを取らないとあっという間にデブリになります。

高重力下では軌道マニューバは非常に役に立ちます。上手いマニューバを取って敵艦隊を戦わずしてデブリにしてやりましょう。

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