女騎士
廃都で魔族共が何かを企んでいると言う情報が入ったのは3日前だ。半年前から近くを行き来する行商人や旅人、冒険者の失踪が頻繁に報告された。
また廃都からの情報が一切無くなった。そして調査に向かった地方騎士団が伝令を残して帰って来なかった。伝令曰く、廃都は異様な雰囲気になっていたらしい。
そこで我々は廃都へ直接赴いて原因究明を行うことにした。これは国王の命令でもある。
一番近い冒険者ギルドにも有力な冒険者を出すよう協力を頼んだ。
ギルド長はかの有名なドラゴンキラーの称号を持つ魔女、ドミトリー伯の娘、マリア・ドミトリーだから寄越す冒険者も選りすぐりだろう。
まぁ、腕の立つ冒険者とは大体癖の多い奴ばかりだ。口を開けば酒だ女だ報酬だと騒がしく、我々が依頼を出して金を払う立場なのに命令するなと作戦や指示を無視する。
そこを御せるかどうかが腕の見せ所でもある。そう、私の腕の見せ所だ。
「貴女が今回の指揮官かしら?」
冒険者ギルドのホールにて待っているとオッドアイの魔女が話しかけてきた。
彼女がドミトリー氏か?
「ドミトリー氏か?ギルド長の」
「ええ、そうよ。
マリア・ドミトリーよ。うちが出せる最高の冒険者達を待たせてるわ。奥にどうぞ」
ドミトリー伯の後に続いて案内された部屋に向かう。何かの会議に使う部屋なのだろうそこそこな大きさだ。
中に入ると複数人の冒険者が座っており、私たちの入室に合わせて全員が此方を見る。
「その女騎士が俺等のボスかギルド長」
「そうよ。
特に貴女は彼女の指示をよく聞きなさい。何かやるなら彼女に一言言って許可を貰いなさい」
中々に破廉恥な格好をした女が私の前に立つとジロジロと顔を見てくる。
「せんせートイレ行っても良いっすかぁ?」
女は私にそう言うと大笑いしながらエルフのシスターとぱっとしない男の肩をバシバシ叩きながら戻って行った。
「何だあいつは」
「彼奴は私が個人的に一番信頼している冒険者よ。
腕は本物だけど、扱い辛さはピカイチ。直ぐに指示の抜け穴を探して好き勝手やるから注意して」
そんな奴を呼んで大丈夫なのか?
「貴女の目の届く範囲に居させるのが良いわ。パーティー自体のレベルも正直この任務には適任とは言えないし、あのシスターのエルフはこの前冒険者になったばかり。はっきり言うと足手纏い」
「なら何故この任務を!」
「それが彼女の要望だから。
大丈夫、彼女はそんなハンデがあっても無事に帰れるわ。魔族がいるんでしょ?」
本当に大丈夫か?あんな格好だし。
今年最後と言ったな……あれは嘘だ。




