弟子入りする奴等と弟子入りされる奴
朝飯を食った後はとりあえずギルドに向かう。
依頼を見ると大したものは残ってない。当たり前だ。依頼が張り出されてから大体1時間ほど過ぎた。残ってるのはゴブリンの始末だの山賊の討伐だのと言った苦労の割に報酬の低い物ばかりだ。
故に残る。
「ポールは体力と筋力付ける事、もう一度基本基礎の徹底だな。訓練所の上級コース行けよ。そこで人脈とかも広げてこい」
「そうですね」
ポールも今のままじゃダメなんだろうなーと薄々感じていただろうからそうアドバイスしてやる。
「お前は知識も技能もある。あとはそれらに見合った体力と筋力を付けろ。そこから始めろ。そうすりゃお前は箱舟で言うところの後方統括にもなれる」
後方統括は後方担当の取り締まりみたいなポジションだった。バフデバフと言った直接戦闘に関わらないが前線に出る連中、ポーターや会計などの兵站業務を一括で指揮してるポジションだ。
箱舟だと一応、あのクソ生意気な魔術師が任命されていたが殆ど指図とかしねーからバフデバフは俺が指図して兵站系はポールに全部投げていた。魔術師は直接火力支援担当故に戦闘時は普通には普通に俺等まで手が回っていなかったのも魔術師の能力の限界だったろう。
まぁ、それは良い。その為に俺はバフデバフ、兵站はポールが担って居たんだから。しかも、俺は魔術が使えねぇからバフ要員とデバフ要員に適時適切な状況判断して報告してから技出せと言うやっぱり全部丸投げ戦法を俺は取って居た。
責任だけは取ってやるから失敗を恐れずにやれとは言って一応のフォローはしたし何度か前線組が文句言ってきたことあったが文句あるならテメェ等も事前になんか言ってこいと怒鳴り返してやった。
テレパシーなんて使えねーからな!
「僕達はどうしますか?」
「そうだなー」
どーすっかなぁー暫くはのんびりしたことしてーなー
「ポールもお勉強してるしジブもお勉強すっか。
昨日会ったウィル覚えてるか?」
ジブラルタルがはいと頷く。
「マクミランさんのお師匠様ですよね?」
「そう。
久しぶりアイツに稽古つけてもらいがてらお前も斥候や偵察のスキル取るか」
「はい!」
それで良いだろ?とポールに聞くとポールも全然問題ないですと頷く。
「じゃあそれで行こうか。
ウィルん所に修行いくから半年くらいは会えねーと思うけど上級コースも半年くらい色々とやるはずだからまぁ、頑張れや。
辛くなったら辞めたくなっても自分の為だと我慢しろ。たった半年だからな」
「はい!」
ポールのやる気の満ちた死んだ魚の目を見てから受付に送り出す。ウィルに関しては多分ここで一日中居れば昼か夜のタイミングで会うだろう。
「ウィルはここに一日居れば会える。夜になって会えなきゃ昨日の娼館行くから」
「は、はい」
ジブラルタルは少し顔を赤くして頷いた。
「暇ならギルドの資料室行って魔物の本とか植物の本読んどけ。知識は力だぞ」
「資料室ですか?」
「おう。
ギルドカードと銀貨一枚渡して資料室に入室しますって言え。案内して貰える。俺が呼びに来るまで本読んでろ」
「分かりました!」
ジブラルタルは頷いて受付に向かう。
俺は暇なので壁に残ってたギルドホールの用心棒任務を受ける。受付嬢は非常に嫌な顔をして居たが早く受けろと天板をバンバン叩くと渋々許可してくれた。
「さっさと受理しろ。
テメェ等!今日一日は俺が見張ってっからな!問題起こしたら酷い目に遭わせるからな!」
残って昼間から酒飲んでる奴等に宣言し、ホールの隅にある用心棒席を陣取る。
暫くするとギルドホールで屯ってる奴等は居なくなった。暇なので銃の清掃と分解結合をして午前中を潰す。昼になりウィルがやって来た。
「おーい、ウィル!」
入って来たウィルに声を掛けるとウィルが少し驚いた顔をしてこっちにやってくる。
「ギルドホールが静か過ぎると思ったらお前か……」
「おう。
昨日会ったジブラルタルって覚えてるか?」
「ああ、あのエルフのシスターの」
「そうそう。
アレをアンタの下に弟子入りさせたいんだ」
告げるとウィルは少し顔を顰めた。
「構わないが、二週間ばかし遠征を入れてしまったんだ」
「まじか。
んー……まぁ、良い。終わってから頼めるか?」
「ああ、お前達が良ければ俺は構わない」
「助かる。
俺も一緒に行くからよ」
久しぶりにアンタと狩をしてぇと告げるとウィルヘルムはフッと笑う。
「嬉しいこと言ってくれるじゃないか。
俺に弟子入りして再び俺と狩りに行きたいと言う奴はお前ぐらいしか居ない」
ウィルが楽しそうに頷きまた二週間後と去っていった。
俺は受付に向かう。受付嬢は顔を真っ青にしてギルド長と叫び奥に走って行った。失礼な奴め。




