怒らせる奴と怒る奴。
さて、パーティーは誰も手を出さない内に終わった。黒猫亭に戻り、ジブラルタルが新しいメンバーだからヨロシクと亭主に告げる。また、依頼も成功したことも伝えてその日は寝た。
まぁ、俺は寝てないがな。
眠気はなくとも気疲れとかあるから目を閉じてベッドに横になるだけでも心地よい。
そんな感じで夜を過ごし、朝は鳥の声を元に目を覚ます前に下の階で怒鳴り声。拳銃を引き抜いて扉に近づこうとしたら扉が吹き飛ばん勢いで開く。
「何処に行ってたの!
3日後に行くって言ってたわよね!?」
犯人はギルド長。
「ンだよ、お前か。
朝から騒がしい奴だな。お淑やかに行こうぜ?女ってのはそうあるべきだって言ったよな?」
拳銃を仕舞い、ベッドに腰掛ける。
「約束破って依頼を受けるんじゃないわよ!」
「あー?別に約束してねーだろ。
お前は3日後に行くって言っただけで、俺は予定が合えばいるって答えたはずだ。
つまり、予定が合わ無かったんだ」
「貴女、私がどれ程の地位にあるのかわかってるのかしら?」
ギルド長はこめかみに血管を浮立たせ、笑顔で尋ねた。
「あー?ギルド長だろ?」
「違います!
ギルド長よりも上の方面管区長!しかも!魔術師協会の副会長も兼任してるのよ!!」
知らねー
「自慢すんな糞おっぱいが」
詰め寄ってきたのでその豊満な胸を引っ叩いてやった。そんな事をやっていると恐る恐るという感じでポールとジブラルタルが大丈夫ですか?と覗いてきた。
「大したことねーよ。
朝飯いこーぜ」
朝飯食ったのか?とギルド長の肩に手を回し、そのまま一階に。
席について朝飯と告げると亭主がギルド長を見た。
「ギルド長はいるのか?」
「せっかくなら貰おうかしら」
「あ、ギルド長とは別会計で」
朝飯を食った後はミーティング。
「んで、どーする?」
「まずはギルド長の問題を解決する方が先では?」
ポールがしっかり俺の隣に座って帰らないギルド長を見やる。
「おい見るなよ。
折角忘れてたのに」
「誰も忘れてないわよ!」
忘れてなかったらしい。
「で、お前何しに来たの?こんな朝っぱらから。暇なの?」
「ぶん殴るわよ?
貴女が勝手にパーティーを辞めた事で方舟も混乱してるわ」
「だから、辞めるって言って誰も止めなかったから辞めたんだって。
それに、方舟の方針は最前線でがんばろうだろ?俺、別にそこまで意識高くねーし」
なぁ?とポールとジブラルタルを見る。2人は困ったように笑うだけだった。
「でも、貴女の力なら方舟どころかもっと上までいけるわ」
「当たりめーだ。
でも、俺が好きなのは程々の雑魚を圧倒的な力で薙ぎ倒すのが好きなの。
ゴブリン、オーク等へんが最高に良い。殺しても誰も文句は言わないし寧ろ褒められて金貰える。
最高だろ?」
なぁ?とポールとジブラルタルを見る。やはり2人は困った様に笑うだけだった。
「兎に角、もう一度方舟に再加入の「それはノーだ」
ギルド長の口に指を突っ込んで黙らせる。
「俺は箱舟には戻らねぇ。
何度も言わせるな。方向性の違いだ。ゴブリンやらオークやらを片っ端から撃ち殺してる方が楽しいんだ」
分かったら飯食って帰れと告げ、指を抜く。
「兎に角!箱舟の連中と話し合って!」
ギルド長はそれだけ言うとお代を払い出て行った。
「あ、あの、マクミランさんは本当に箱舟を抜けてよかったのですか?」
ポールが自分の前に出された皿を見詰めながら聞いて来る。
「当たり前だ。
俺は圧倒的にツエー立場から雑魚を一方的に殺すのが好きなんだ。だからゴブリンだのオークだのを狩ってるのが好きだ。最初の方もそう言う約束だったろ?」
ポールに言うと確かに頷いた。
「前哨までは引き受けるし、本隊の取り巻きも片付けてやる。でも、本丸攻撃に際しては俺は参加しなくて良いって約束なのに気が付いたら本丸攻撃にも俺が頭数に入れられてる。
話とちげーだろ」
「え、そうだったんですか?」
「そーだよ。
抜ける前に参加した依頼2回連続俺が囮だった」
次の依頼でも囮だったら普通に抜けてたわ、と告げるとポールはそうだったんですねと驚きを隠せない様子だった。
「マクミランさんはボス攻略が嫌なんですか?」
ジブが信じられないものを見たと言う顔をしている。
「正確に言うとちまちま攻撃して逃げて隙を作るっていう地味な作業が嫌いだ。そもそもそれは俺の仕事じゃねぇ」
俺は俺が嫌な事やしたくねぇ事はしねぇと宣言するとポールやジブは真っ直ぐな目を俺に向けていた。
「名誉よりも、ですか?」
「当たり前だろ。
俺は他人の為に自分犠牲にしてまで英雄として崇められたいとは思わん」
絶対に嫌だね、と中指を立ててやった。
「だから、お前らも嫌な事は言えよ。
基本的に俺等はパーティーを組んでるが、目標なんて大それたもんはねぇ。ジブラルタルももっと上目指したいなら実力がついたと思ったら抜けて良いぞ。
俺は止めねぇからよ」
好きにしろ、それが方針だ。




