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第40話 約束を確かめる一瞬は… 




 自分だって、誰かに自慢できるような状況かと問われれば、自信をもって答えることなどできない。由実に自信をもってアピールできるようなところなんてない。


 もう、それは「好きな彼女が佐藤由実だから」としかいうことができない。


「私ね、初めてだけは誰でもよくなかった。私と一緒に歩いてくれる人が決まったとき、その人に渡そうって決めてた」


「堅実だったんだな」


「他の人にはそう取られたと思うよ。でも、きっと祐樹君のことしか私の中には最初から無かったんだと思う」


「俺が来なかったら、一生結婚出来なかったんじゃないか?」


 冗談のつもりで言ってみたけれど、由実はこくんと肯いてしまう。


「そうだったかもしれない。きっとある程度になったら、お見合いでもさせられたかもしれない。その前に祐樹君が私を見つけだしてくれた。だからね、私も同じ。10年前の気持ちを信じたいの。祐樹君が私と一緒に未来を歩いてくれるって。一昨日、祐樹君が私を選んでくれた……。だから、私も渡そうって決めた」


「由実……本当にいいのか?」


「傷物になっちゃうから、祐樹君都合の返品きかないからね。女の子が、一生に1回だけ、たった一人の男の子に付けてもらう思い出なんだから」


 目を閉じて、恥ずかしそうに座った由実にキスをする。


「痛かったらごめんな。俺も正直わかんねぇ」


「うん、頑張る。優しくしてね」


 考えてみれば残酷なものだ。由実も俺もこれまでの人生で、いろんな怪我をしてきた。刃物で皮膚を切った事故だってある。


 でも、相手の異物で無理矢理引傷つけられてしまうということなんてそうそうあるもんじゃない。



 ……どのくらいの時間が経ったのか。


「私、祐樹君のものになれた?」


「当たり前だろ」


「でもごめん。由実を傷つけた……」


「いいんだよ。祐樹君に付けてもらったことが一番大事。ありがとうだよ。祐樹君に怪我はない?」


 今日の一番の役目を終えた俺の一部分は、すでにおとなしくしている。


「明日から、歩くとき変だったらごめんね」


「やっぱ痛いよな」


「ううん。幸せなロストバージンだった」


 もう一度、二人でシャワーを浴びてパジャマに着替える。


 今日は由実の傷を考えて、ツインのベッドをフル活用させてもらうことにした。痛みで体勢を変えたいときにその方がいい。


「明日から、楽しみだね」


「俺も来てないからなぁ。のんびり回ろう。おやすみ」


 先に由実を寝かせて、キスをした。明かりを消して俺もベッドに入る。


「祐樹君、本当にありがとう。これからもいっぱい抱いてね」


「お互いに無理がないようにな?」


「うん」


 由実が目を閉じるのを見届けて、俺も暗がりに身を任せた。

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