第3章
あたいの名前はモカ。あたいは知っている。あたいが愛さんのとこに飼われてから半年・・・たまにくる亮はあたいのお母さんが好きみたい。前にお母さんがいないときに亮はああいを抱きかかえて話していた。
「俺・・・お前の飼い主のこと好きになっちゃったかも」
そう言った亮の顔は暖かいけどちょっと迷っていた気がする。
お母さんは亮が来た時はとても楽しそう。ただ、たまに来る男の人の時は嬉しそう。
あたいが来てしばらくして亮も犬を連れてきた。名前はチョコと言うらしい。小さい。お母さんはチョコをとても可愛がる。だからチョコがあまり好きじゃない。
「どうしてモカはチョコと仲良くできないの?」
ある日お母さんに言われた。困った顔・・・ちょっとショックだった。あたいは単に不器用なだけ。
亮が来るのはあたいは楽しみ。それはお母さんも同じだと思う。最近は亮が来たときも嬉しそう。あたいには2人の関係はわからない。でも、仲良しなのだと思う。でも何故だろう・・・たまに来る男の人とお母さんは手をつなぐ。くっつく。たまにあたいを家に入れてからベッドに向かい、裸で変な鳴き声を漏らしている。何をしているかわからないけど、嫌そうじゃない。でもそれがあった日に亮が来た。最初はいつも通りだったのに、床に落ちているゴミを見てから急に辛そうな顔をして、体調が悪いと言って帰った。お母さんは心配して「休んでいったら?」と言っていたが帰った。亮はケーキを買ってきていた。たった2つ。あたいの分では無かったらしい。それを見たお母さんは寂しそうに食べていた。
「どうしてお母さんは寂しそうなの?」
・・・あたいの言葉はなかなか届かないことが多い。
お母さんにとって亮はなんなんだろう・・・あの男の人は誰だろう・・・。
あたいにはわからない。でもお母さんも亮も辛そうな顔をしないでいて欲しい。笑ってて欲しい。
そしてお母さんはつぶやいた
「モカ・・・亮大丈夫かな?難しいよね」
困った顔だ。