(4)
僕のオススメスポットに着く頃にはすっかり日付が変わっていた。
「もう1時だね。亮仕事後なのに大丈夫?」
「うん!むしろ元気になった!めちゃ落ちてたから…愛さんのおかげだよ。」
「よかった。普段絶対にピンチだなんて言わないからさぁ…冗談っぽく言ってたけど、冗談で言うようなタイプじゃないしね。本当によかった」
「ありがとう」
「うん」
何か嬉しい沈黙…こんな沈黙なら好きだ。
「あっ、愛さん、ここから少し歩きずらいから、気をつけて」
「うん…キャッ!」
そう少し声をあげ愛さんはバランスを崩した。僕は愛さんね半歩前だった。思わず僕に掴まった。偶然の女神は僕に微笑んだ。
僕らはそこから手をとって歩いた。
「亮ごめんね」
「全然!むしろ気をつけて。ゆっくり歩こう?」
「うん、ありがとう」
「そろそろだから」
「そうなん?」
「うん、段々空気が澄んでない?」
「そういえば…あっ!めちゃいい空気!」
「でしょ?」
「うん!気持ちいい」
「よかった」
「あっ、亮見て!あれ!星がキレイ」
「本当だ!ちょっとあのベンチに寝転んでみよ?」
「いいよ」
「あっ、誘導するから目を閉じて?」
「めちゃ怖いし」
「大丈夫!信じて」
「うん…」
そして静かな沈黙と静寂の中2人寝転んだ。
「目を開けていいよ!」
「うん…わぁ!キレイやぁ!」
「でしょ?星と木しか見えないし、木がフレームみたいになってるんだぁ」
「すごいねぇ!」
「これは俺の秘密の楽しみ方」
「なるほど!」
「こうしてると全部自分の世界みたいでさぁ」
「あはは!亮らしいわ」
「ありがとう」
「亮は楽しみを沢山持ってるよね」
「そうかな?」
「うん!あっ、今度昼間海いこう?それにホタルも見に行きたい」
「あはは!いいねぇ!いっちゃおうか」
「うん!亮ありがとう」
「どうせならサークル作らない?」
「サークル?」
「うん、色々なことするんだ」
「いいねぇ」
「じゃ、絆ってのはどう?」
「う〜ん…」
「あっ!いいの思いついた!天体観測は!?」
「それいいっ!うちらで作ろう!」
「だね」
「メンバーは?」
「まずはナリでしょ!あとは麻美ちゃんに…シンなんかは?」
「いいねぇ!」
「じゃ、今日がその一回目だったわけだ」
「だねっ!」
「ノートでも作ろうか?やりたいこととか書けるように」
「うん!さすが亮や」
「ありがとう!ノートも思い出も一緒に作っていこう」
「楽しみや」
こうして僕らの『天体観測』が生まれた。
僕らにとっての新たな一歩。
そういえば何かの歌の歌詞にあった
「何でも無い日を記念日にしよう」
「地図にも無い場所へ君の大切な犬も連れて」と。僕の好きな歌だ。なんとなくそれが流れた。
好きになってはいけないハズなのだが…