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僕の大学時代は精一杯遊んだ。未だにつるんでる仲間も多い。中でも尚は特別だ。尚って名前を聞くと女の子かと思われるが、尚は男で、一緒にバカやれる最高の仲間だ。そしてもう1人・・・僕には大切な仲間がいる。尚のような大学の仲間ではないが、僕の人生の先輩であり、憧れである修司さんだ。修司さんは僕に多くを教えてくれた。
僕はしょっちゅう修司さんとつるんでいた。もしかしたら彼女より過ごしている時間があった気がする。何より僕はこの修司さんに夢をもらった。
修司さんは僕の恋愛事情はよく知っている。それは僕も同じことだが、間違いなく「相棒」だ。年は4つ違うが、あまり意識はしていない。ただ互いに「親しき仲にも礼儀あり」は守っていると思う。
僕らは大半話し込む時は「ORION」というバーに行く。ORIONには沢山の仲間がいる。尚はもちろん、そこの店長やスタッフ、そこでの飲み仲間、バイトや大学の仲間・・・知り合いとばったりなんてよくある。今日も修司さんとORION集合。内容は「僕の落ちた不覚の恋」だった。
僕と修司さんは似ているよく言われる。考え方が似ているらしい。そして、僕が悩む問題や経験が修司さんがこれまでにしてきたことに似ているらしい。
「亮は最近どうなんよ?」
「いや〜やばいっすね」
「彼女とうまくいってないの?」
「う〜ん・・・彼女とはうまくいってるんっすけど、ちょっと出逢っちゃって」
「マジ?いいじゃん」
「それが俺の元バイト先の店長なんっすよ」
「マジ?愛さんだっけ?」
「はい。最近、この人となら一緒になってもいいんだろうな・・・って感じちゃって」
「それは恋ですな」
「ですかねぇ」
「間違いねぇよ。これは認めるしかないことだ」
「ですよねぇ」
「どうしたいの?」
「正直わからないっす」
「伝えてみればいいんじゃん?」
「それは辞めておこうって考えてるんですよ」
「なんで?」
「叶えない恋って名付けてますから」
「あはは〜なんじゃそりゃ。らしくねぇなぁ」
「あっちには彼氏がいて、俺にも彼女いますからねぇ・・・」
「そりゃ言い訳だろ。どうしたいかだろ」
「正直彼女は大好きだし、きっとそれは愛さんも同じだと思うんですよね。」
「相変わらず厄介な悩みもつよなぁ」
「お互い様っすよ。修司さんもなんかあったんですよね?」
「元カノのナツいるじゃん?あいつ帰ってくるんだよ。また一緒に暮らすんだけど」
「えっ、じゃ、今の彼女は?」
「問題はそこなんだよ。あいつには何回か別れ話したけど聞かなくてさぁ。このままでもあいつの為にもなんねぇと思ってるし」
「じゃ、今年の夏もお互いやばくなりそうっすね」
「だなぁ」
僕らにとって夏は特別だ。大好きな季節。なのに何故か夏に毎年問題が起きる。また今年もややこしい夏になりそうな予感がするのは僕らの習慣なのかもしれない。