表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
叶えない恋  作者: kzm
3/9

(3)

僕の心はまさに「冷静と情熱の間」だった。ただ単純に愛さんとの時間を望むようになったと思う。逆に愛さんもよく「誘い」の連絡をもらっていた。素直に嬉しかった。しかしながら、僕は僕の感情に反発した。ただそれは決して「否定」ではなかった。

愛さんは僕の3つ年上。僕は愛さんの右腕のような仕事をバイト時にはしていた。だから僕にとっては尊敬できる人であり、育ててくれた人でもある。それなりに愛さんのことは理解しているつもりでいる。もちろん僕の知らないことは多いし、結局「彼氏」ではないのは決定的だった。それでも「うち亮といるときは楽だわ。頼りにしてると思う。基本的に亮みたいな奴好きやし」と言われたことが僕には誇りだった。

社会に出て「新人」と呼ばれ、正直嫌になったりもしていたが、それでも愛さんに言われたことや、相談に乗ってもらったことが支えだった。

 そんな中僕が感じてしまったのが自分の「感情」であり、「愛さんとの将来」だった。僕は「愛さんとなら一緒にいてもいいかな」と想ってしまったのである。「不覚」と言えばそうだが、決して嫌でなかった。むしろ、それは微かな願いに似たものでもあった。そして同時に僕は気付た。お互いが望んだとしても、その裏にある多くの傷を大切な人達に負わせてしまうことと、その重さに。そして僕はわかった。僕は「好き」になっていることと「この恋は叶えない恋」ということを・・・。きっと他の多くの人から見ればおかしな話かもしれない。それでも僕はそう感じてしまった。逃げているといわれればそうかもしれないし、否定はできない。ただ、将来よりも「現在」を選んだ。同時にその先にある「最初に描いていた未来」を守りたかった。ただ、愛さんがどう思っているかなんて僕は知る由もなかったし、そんな術を持っていてもきっと使えない。そんな風に感じたのは初めてだった。それも僕の「戸惑い」を生んでいた。「素直」になれたら楽かもしれないし、「叶える」ことに挑めば悪くはない。むしろ僕がそんな相談を受けたら「可能性に促す」方だったと思う。後悔しない方を選べたら良いと言ってくれるなら、僕のしたチョイスがその答えであることにかわりはないだろう。現在を守りたいというのが僕の「今」の後悔の無いチョイスなのだと思う。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ