救世主対魔王
これは異世界に転生し、世界を救った救世主が救われる話である。
「何故だ魔王!もう俺達が戦う理由は無いはずだ!」
俺は力の限り叫び、目の前の魔王に訴えた。
「何故だと俺が魔王でお前が救世主だからだ。初めてお前と出会った時からこうなることは分かっていた事だ」
目の前の魔王は当然の事だと言わんばかりに答えた。
「あんたは人間との共存を考えているじゃないか!ならこの戦いに意味は無いと分かるだろう!!」
再度俺は魔王に訴えた。
「意味ならある。人も魔族も一度出した矛を収めるにはきっかけが必要だ。救世主お前も分かっているはずだ」
魔王から言われた事に対して俺は黙り込むしかなかった。
「俺かお前が決着を付けなければ人間も魔族もどちらかが滅びるまで戦うだろう。どちらかが生き残たとしてもその後に待つのは破滅だけだ」
「俺は…この世界の人間じゃない。だから!」
俺はこの世界の人間じゃない。
この世界とは別の世界から召喚された存在だ。
元の世界でオタクだった俺は最初は能天気に異世界転生を喜びワクワクしていた。
だが、現実は甘くなく俺にはよくある異世界転生の特典のようなものは何もなかった。
一緒に転生してきたと思われる学生たちには強力な魔法やスキルが確認され、果てには勇者の力を持つものまで居た。
結果無能力者の烙印を押された俺は色々あり国外追放にされた。
「そうだな、お前は人間に身勝手にこの世界に呼ばれた。だがこの世界でお前は自分の生き方を見つけ自分で歩んできたはずだ」
「その結果俺とあんたが戦うことはないはずだ!それにこの世界にあんたは必要なはずだろう!」
「そうかもしれんな。しかし、お前もまたこの世界に必要な救世主だ。ならば後は重要度の問題だ。」
「勝った方が重要だっていうのかよ!」
必要とか重要とかそんな理由で俺達は命を懸けるのかよ。
「今はこのやり方しかない。だがお前がわざと俺に討たれるなど許さん。たとえ望まぬ戦いであっても俺達の誇りまでないがしろにするつもりはない!」
魔王は俺に大声で宣言する。
そうだ、この男はどんな時でもどんな相手でも真っ直ぐ己の誇りを懸けて戦ってきた。
そんな男相手にわざと負けるとか世界の事とか考えてる場合じゃない。
余計な事は全部忘れろ!決めたはずだ明日の自分が恥ずかしくないように生きると!
覚悟を決め俺は目の前の魔王を見据える。
「行くぞ!魔王×××!」
「それでこそ!救世主だ!」
お互いに叫びながら拳を交えた。
この戦争で人間と魔族は戦いで人間は救世主を失い、魔族は魔王を失った。
この大きな犠牲を払い人間と魔族の間で和平が結ばれた。
その5年後和平の象徴として作られたあらゆる種族が通う学校その異端児教室から物語はスタートする。