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隠しキャラ転生物語  作者: 瀬田 彰
四章
98/122

抗う気持ち

閲覧ありがとうございます。

更新遅れてすみません。


 ありったけの魔力を込めてアッシュ様目掛けて魔法陣を放った。

 けれどその魔法陣はゆっくりとしか形成されていかない。

 何これ、思った以上に時間がかかりすぎじゃない?

 いくらシルの魔力が小さくても、もう少し早く発動してよ!

 間に合わなくなっちゃうじゃない!

 焦りが余計に魔法陣のスピードを遅くする。


「お前、無詠唱魔法が使えるのか?この魔法は一体……」


 クラウド様が驚きの声を出すけど、今は説明などしてられない。

 

「なっ!これは何だ!?」


 アッシュ様がやっと魔法陣に気がつき動きが止まる。


「シル、やめろ!無茶だ!」 


 アルが縛られたまま私にかけよろうと動いた。


「おのれ!逃がさんぞ!」


 アッシュ様がアルを掴み引き寄せた。

 どうしよう。このままじゃ繰り返してしまう。

 またアルが死んでしまう。  


「成る程、ここは俺の出番ってわけだな」

「え?」


 私が見るよりも早くクラウド様がアッシュ様の方へ向かってかけていく。

 その手にはどこから取ったのか剣があった。


「嘘、まさかクラウド様はアッシュ様を?」


 ダメだ。

 そんな事をさせてはいけない。

 それなのに私は動けない。

 動いたら魔法陣が消えてしまう。

 どうすればいいの?

 そんな中、アッシュ様が剣を振り下ろそうとした。


「ダメ!やめて!!」


 クラウド様は剣を抜いた。

 私は思わず目をつぶる。 

  

 キイイイイン


 金属と金属がぶつかる音が響いた。

 恐る恐る目を開けると、クラウド様がアッシュ様の剣を受け止めていた。

 二人とも無傷だ。

 

「アッシュ、この俺に剣を抜かせたこと。後悔するがいい」


 その声はとても余裕があり、狙って受け止めた事を示した。

 

「うおおお!殿下あ!!」


 兵士達が歓喜の声を上げる。

 狭いこの部屋で何とも騒がしい。

 でもさっきとは違う展開。

 もしかしたら大丈夫かもしれない。

 私の中に希望が生まれ始めた。

 しかし、次の瞬間足が崩れ倒れそうになる。

 いけない、魔力切れだ。

 このままでは魔法陣は完成するどころか全く無意味なものになる。

 そして待つものはあの繰り返し……。


「シル、大丈夫だよ。落ち着いて呼吸をして」


 誰かが私を支え、声をかけた。

 この声は……。


「アル?」

「うん、もう大丈夫だから、落ち着いて」


 私は思わず涙ぐみ、何とか踏みとどまる。

 そしてもう一度彼の顔を見た。

 間違いなくアルだ。

 私が好きになってしまった人。

 

「アル……っ」

「ごめん、油断して動けなかったんだ。あのロープ、シルヴィア嬢のベール……いや、それの何十倍も強い力が施されてて魔力を流されてた」


 そっか……。

 だからアルは抵抗できなかったんだ……。

 いくらアルの魔力は強くても流されては動けない。

 

「クラウドに貸しを返されたな……」

「え?」

「アッシュの剣を受け止めるその一瞬に俺のロープを切ってくれた」

「そうだったんだ……」

「心配いらない。クラウドの剣の腕はこの国では一番だ」 


 そうなんだ……。

 私が感心していると「シル、集中して。魔法が消えかかっている」と注意される。


浄化魔法(ピュリフィ)の類いか。これはまた大がかりな魔法を使うことにしたね」


 アルが感心した感じで話す。

 余裕そうに見えるけど、冷や汗が浮かんでいる。

 本当はかなりつらいのだろう。

  

「あそこにいるアッシュ様は昨日の男だと思うの。だから……」

「確かに浄化魔法(ピュリフィ)なら変装でも乗っ取られててもどちらも効果はあるね」

 

 そう肯定的に言いながらもアルは「うーん……」と悩ましげに眉を寄せる。

 

「でも浄化魔法(ピュリフィ)は魔力を消費しすぎる。シルが修道院のシスターならともかく、一般的にはあまりお勧めはしないな」

「ならどうすればいいの?」

解除魔法(ディスペル)で十分だと思う。このままでいいから変換して、後はクラウドに任せたらいい」

「でも……」


 それだとクラウド様はアッシュ様を刺してしまうかも……。

  

「大丈夫。アイツは熱いがバカじゃない。俺の魔力を流すから、今から変換して。それなら魔力は半分でも足りる」

「う、うん」


 私は言われるがまま魔法陣を変換し始める。

 今度こそ、終わらせる。

 同じことは繰り返さない。

 そのためならなんだってするべきだ。

 私は強く思い、アルに言われるがまま魔法陣を変換し始めた。

 それを見たアルは満足そうに頷き、私の耳元で囁く。


「え?」


 私の顔は驚きの表情へと変わる。  

 残念ながらそれは甘い言葉ではなく、次の一手の指示だった。


「大丈夫。シルならできるよ」

  

 そう言われてしまったら頷くしかない。

 そっと視線をクラウド様達へ動かす。

 相変わらず二人は剣を交えている。

 失敗は許されない。

 私はゴクリと唾を飲み込んだ。

読んで頂きありがとうございます。

少しドタバタしてきました。

そろそろ落ち着かせたいところです。

ではまた次回も良ければお付き合いください。


そして、いつも読んで頂きありがとうございます。

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