後悔
閲覧ありがとうございます。
今回は短いです。
わかりにくいかもしれませんが、マックス視点となっております。
シルは俺を置いて行ってしまった。
あれからどのくらい時間が立ったか正直わからない。
俺はズルズルと壁にもたれた。
「そんなにアイツがいいのか……」
シルの隣にいたあの男の顔を思い出し俺は唇を噛む。
確かに見た目はいいし、シルを愛しているのが一目でわかった。
アイツの頭の中はシルしかない。
男の俺だからこそわかったことだ。
だからこそ余計に彼女を、シルを渡したくなかった。
俺だって彼女を愛してる。
負けないくらい愛してる。
彼女との未来も何度も夢見た。
けれどシルが選んだのはアイツだった。
それが許せなかった。
だからアイツを信じたくなかった。
シルとの仲に入り、引き裂きたかった。
「でもバレてたな……」
俺は真っ暗な牢の天井を見上げる。
「きっとシルは俺に愛想を尽かしたかな……」
そう思った時、アイツに無理矢理渡されたボタンが光った気がした。
「こんな暗闇で光とか不気味だな」
捨ててやろうかと思いながら俺は何とか押しとどまる。
ここでこれを捨てたら本当にシルと縁が切れそうで怖くなったのだ。
『好きにしろ』
アイツの言葉を思い出す。
そこまで言うなら止めないと。
俺はそこまで甘くないと。
そう言われた気がした。
「もしかしたら本当に俺の味方をしてくれているのかもしれない……」
そう思うと俺はどんなに器の小さな男だろう。
シルに選ばれなかったからといってその男に八つ当たりをし、変な意地で拒絶し、見ようともしなかった。
アイツは俺がシルに抱く想いに気がついて、それでも俺を助けようとしてくれたのに……。
「こんなの、選ばれなくて当然だな」
無性に悲しくなり涙が溢れる。
悔しい。俺は俺の無実さえ証明できない。
それなのに俺は意地になった。
心にも思っていないことを言ってしまった。
『そいつの回りには黒いものが影がある!』
あれは咄嗟に言ってしまった嘘だった。
そうすればシルがアイツから離れると思ったのだ。
でもシルはアイツについていった。
「完全に俺のせいだ。自業自得だ」
昔からそうだった。
店長からもなんとも注意されていた。
『気を付けないとその内痛い目に合うよ』
店長の言葉が甦る。
「店長、生きてますよね?店長……」
俺はここに来てから店長の安否は聞かされていない。
今どこにいるのか、どんな状態なのか……。
「喧嘩を吹っ掛けるんじゃなくて、ちゃんと聞けばよかった……」
自分が情けなくなる。
情けなくて情けなくて、恥ずかしい。
もしもう一度チャンスがあるなら今度はちゃんと話したい。
話してそして、シルとの事を皆と祝福してやりたい。
俺はそう思った。
ふと、皆を思い描いた際にロジュアを思い出した。
「ロジュア……。お前は本当に闇の魔法使いだったのか?」
本当はわかっている。
ロジュアは怪しいと。
店長が気にかけていたから敢えて見てみぬフリをしていただけ……。
もし、本当にロジュアが闇の魔法使いだったとしたら、あの時俺の目の前に現れた『俺』は『ロジュア』なのかもしれない。
そう思ったら何故か扉が開く音がした。
「誰だ?」
もうここに来るものはいないはずだ。
「マックス……」
その声に俺は反応する。
知ってる声だ。
俺が絶対に忘れない人の声。
だから動けない。
だからあり得ない。
そう思いながら俺は悔しいと思いながらアイツからもらったボタンを握りしめた――。
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