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隠しキャラ転生物語  作者: 瀬田 彰
三章
63/122

協会の事件

閲覧ありがとうございます。

第一章の編集が終わりました。


 次の日、私とアルは協会に急ぎ足で向かっていた。

 朝市に朝食をアルと買いに行った時、嫌な話を聞いたからだ。


「ねえ、あの話本当かな」

「わからない。だが普通に考えて冗談であんな話は出ないだろ」

「そう、だよね……」 

「前代未聞だよ。協会、しかも葬儀中に毒ガスが投げ込まれるなんて……」


 アルは舌打ちをした。そして私の手を握る。大丈夫だと。


「ジェニーとジェフリーは無事かしら」

「大丈夫だ。きっと……」


 私達は協会の話を聞いて驚いた。そしてもっと驚いたのがジェニーとジェフリーが参加してたと別の人に聞いたのだ。

 慌てて私とアルはパン屋に走ったけれどお店には人の気配はなかった。

 だから急いで協会へと向かうことにしたのだ。

 協会に着くと話を聞き付けた人達だろう。野次馬だらけだった。

 私とアルは人をかき分け前へと進む。

 そして最前列まで来た時目を疑いたくなるような光景が広がっていた。


「何これ、酷い……」

「神への冒涜(ぼうとく)だな。神聖な協会が穢れている」

 

 流石のアルも余裕なく険しい顔でそれを見ていた。


「ほらお前達下がりな。毒に当てられるぞ」

  

 スピティカルの兵士が私とアルを後ろへと押した。

 アルがハンカチを取り出し私に渡してくれる。口に当てろということだろう。


「騎士団だ!騎士団がきたぞー!」


 誰かが声をあげる。

 声がする方へ目をやると、スピティカル国の騎士団が馬に乗ってやってきた。


「何しにやってきたんだ?」


 アルが難しい顔で呟くとさっきの兵士が「何だ、あんたスピティカルの人間じゃないのか」と声をかけてきた。

 するとアルはパッと態度を変える。


「ええ。実は俺達他国の人間なんですけど、もうすぐ結婚するです。ここには知り合いが住んでるからその報告にきてたんです。そしたらすごい騒ぎになってて……」


 そう言って私の肩を抱く。

 兵士はアルの言葉を信じたようで「そうなのか」と頷いた。


「おめでたいのにそりゃあ災難だったな。あの騎士団様は今からあの協会を浄化しに来られたんだ」

「へえ、ここの騎士団は優秀ですね!」


 アルがおだてると兵士は自分の事こように「そうだろう、そうだろう」と喜んだ。


「でも毒ガスって昨日お葬式の最中に投げられたって聞きましたけど、遅すぎません?」


 アルがそう言うと、兵士が「しょうがないだろ」と肩をすくめる。


「それが起こったのはこの町だけじゃないんだ。王宮近辺の町の協会に手当たり次第放り込まれたんだよ」


 そして兵士がコソッとアルに耳打ちをする。

  

「あんたは他国の人間だから言うけどな。ここだけの話ここは方角的に王宮の裏に当たるから後回しにされたんだよ」

「へえ、成る程ね」


 アルは感心したように頷いた。

 アルが何かを企むような悪い顔になっているのを私だけが気がついた。でも敢えて見て見ぬフリをする。

  

「お話ついでに中にいた人々はどこにいるか教えていただけませんか?もしかしたら知り合いが巻き込まれたかもしれないので」

「ああ、それならこの先のテントに運ばれたよ」


 そう言って指をさした。

 

「ありがとうございます」


 アルはお辞儀をしてそこに向かう。勿論私もその後に続いた。

 けれどテントには何故か私はいれてもらえず、アルだけが入れてもらえた。


「ジェニー、ジェフリー。どうか無事でいて……」


 私は祈るしかなかった。

 しばらくするとアルが難しい顔をして出てきた。


「とりあえず、ジェニーとジェフリーはいなかったよ」


 その言葉に安心してその場にへたり込んだ。


「でもあまり喜んでもいられない」

「え?」

「昨日話した帽子屋のおじさんは死んだそうだよ」


 それを聞いた私の血の気が一気に引いた。


「でもシルは会わない方がいい」

「どういうこと?」


 聞き返すとアルは凄く嫌な顔をした。

  

「毒のせいだろうな。とても見れる姿じゃなかった。あれはもう人じゃない。ただの肉の塊だ」 

「そんな……」


 昨日あんなに元気だったケニーさんが死んだななんて信じられない。

 でもアルがこんな時に嘘を言う理由もない。


「シル、行こう。何の防護もせずにここにいたら毒に当てられてしまう」


 アルに言われて私はゆっくりと立ち上がった。

 ふと、視線を感じてその先を見た。

 見覚えがあるメガネに、髪。あれは……。


「ロジュア……」

「!」


 私はアルが反応する前に走り出していた。

 アルが私を呼ぶのが聞こえたけれどそれに答える余裕は私にはなかった。

読んで頂きありがとうございます。

少しでも楽しんで頂けるようにこれからも頑張ります。

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