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隠しキャラ転生物語  作者: 瀬田 彰
二章
51/122

作戦内容

閲覧ありがとうございます。

今回は早めに更新できました。

楽しんで頂ければと思います。


アルフィード様の作戦はこうだった。


「まずはマリエッタとアンリを転送魔法陣にて人気のない所に転送する」

「そんな顔をなさらなくても、行き先は既に用意しております。危険な場所ではないのでご安心ください」


サーガさんに言われ、私は自分の顔に手を当てた。

そんなに心配そうな顔をしていたかしら?

 

「二人を転送したのちサーガは捜索隊に加わり、少し間を空けてから二人を見つけてくれ」

「御意」

「マリエッタは『いつの間にかここにいた。何があったのかよくわからない』と答える様に」

「かしこまりました」

「アンリはどんな事があっても声を出すな。どうしても出さないといけない時は扇子で口を隠せばマリエッタが動いてくれる」

「オッケー。ヴィーちゃんが来たときにしてたアレだね。いいよ」

「いいですか、どうしても体調不良の演技ができなければその手袋を取りなさい。そうすれば後は私が運びます」

「この年で男に運ばれるとか嫌すぎだよ」

「アンリ様、お嬢様はそんな態度に出したりしません」


マリエッタとサーガさんに色々注文を言われるアンリ様。

何だか気の毒かもしれない。


「マリエッタ、最後は折を見てアンリを縛り上げろ。そしてこいつを発動させてその中にアンリを放り込め」


そう言いながらアルフィード様はマリエッタに一枚の紙を渡した。マリエッタは紙を受け取り少し複雑そうな顔になる。

いくら気に入らない相手でも相手はアルフィード様の友人。『はいわかりました』とこたえられないのだろう。


「アンリをいつまでもシルヴィア嬢のフリをさせるわけにはいかない」

「アンリが身動き取れないと我々も動きづらいんですよ」


アルフィード様とサーガさんに言われマリエッタは小さく頷く。

 

「シルヴィア嬢のことも心配だとは思うが、しばらく一人で持ちこたえてほしい」

「かしこまりました」


マリエッタは今度は頭を深く下げた。


「アンリは改めて救出された後『突然後ろから襲われて気がついたらここにいた。だから犯人の顔は見ていない』と言うことで貫き通せ。後はサーガが上手く動いてくれる」

「了解。期待してるよサーガ」


アンリ様がサーガさんの肩に手を置く。


「あまり期待しないでください。貴方には一度容疑を被って頂きますので」

「へいへい」


何だか物騒な会話を横に私はどうすべきなのだろうかとアルフィード様を見た。


「シルヴィア嬢はとりあえず俺の寝室で待機していてくれ」

「え?」

「心配しなくても俺は部屋に入らない。何なら鍵をかけてくれていい。寝室が怖いなら別の部屋でもいい」

「いえ、そう言う心配はしていませんわ。ただ……」

「ただ?」

(わたくし)は何もしなくていいのですか?」


私の質問にアルフィード様は一瞬眉を動かした。

けれどすぐに微笑む。

 

「ああ、何もせず呼ぶまで部屋にいてくれたらいい」

「そう……、ですか……」


あからさまにがっかりし過ぎたからかもしれない。

マリエッタが心配そうに私に近づいてきた。


「お嬢様、やっぱり止めますか?お嬢様が望むのであればわたくしはお嬢様に従います。幸い今ならここを出ることも可能だと思います」


マリエッタの言葉にアルフィード様は「確かにそれは可能だ」と呟いた。

サーガさんもアンリ様も頷く。

そして私に視線が注がれた。

私は頭の中で考える。このタイミングでこの台詞ということは、ここが最後の分岐点なのかもしれない。

ここで『出ていく』を選択すれば全て終わる。安全な場所を手に入れ、それなりに過ごすし、人生を全うできるに違いない。

そして乙女ゲームの設定など気にする必要はなくなるのだ。何故ならば途中離脱をすると言うことはゲームオーバーと同じはずだから。

だからこれが最後のチャンス。


「シルヴィア嬢……」


アルフィード様と目が合った。

胸がズキンと痛くなる。

わかっている。ここで離脱をするということはアルフィード様との関係も断つということになる。

アルフィード様が攻略対象という記憶はないけれど、やっぱりこの人が非対象なんてあり得ない。

だからこのままアルフィード様の側にいたら本当に悪役令嬢となってしまうかもしれない。

それは最悪の結果であり、一番なりたくないエンディング。

でも、それならば私はあの時にアルフィード様の手を取ったの?

こんな風に思うなら初めから手を取らなければ良かったのよ。

それでも私がアルフィード様の手を取った理由。それは……。


(わたくし)はアルフィード様のお力になりたいのです」

「お嬢様……」

「シルヴィア様……」

「ヴィーちゃん……」


皆が感動したかのような目で私を見た。

アルフィード様は何も言わないで私を見ている。


「そもそもクラリス様の件はまだ片付いておりません。リリィのことも執事長のことも騎士団長のリューク様のことだって何一つ解決していません」


まるで自分に言い聞かせるかのように私は言葉を発した。


「だから(わたくし)はこのまま帰えることなどできません」


それが全てだ。

だから残る。

アルフィード様の手を取った時に覚悟したのだ。

この人の為なら落ちるところまで落ちてもいいと。


「それでこそ私のお嬢様ですわ」


マリエッタがにっこりと笑う。

そしてそっと私の耳元へと顔を寄せた。


「何かありましたら絶対に私の名前をお呼びください。どんな場所に居ようともお嬢様の元に駆けつけます」


それを聞いた私は胸がざわついた。

慌てて顔を離しマリエッタを見る。

いつもと変わらないマリエッタ。でも心臓が激しく胸を打つ。


「マリエッタ、お願いだから無茶しないでね」

「当然でございます。お嬢様を残してどこかにいくなど、絶対にしませんわ」

「昨日鼻血で貧血になって倒れていたのはどこの誰だ?」

「お黙りドS」


サーガさんとのやり取りを見て私はホッとする。

この胸騒ぎは違う。きっと別の何かのものだ。

私は言い聞かせる様に胸元で手に、力を入れた。


「お喋りはここまでだ。用意ができた。マリエッタとアンリはここへ」


いつの間にかアルフィード様が魔法陣を出していた。

アンリ様は大きく息を吸ってベールを被る。

うん、どっからどう見ても私そっくりだ。

こうしてみると私って成り済ましに適しているのかしら?と考えてみる。

だとしたら入れ替わりを子供の頃からしていれば良かったと若干後悔した。

まあ今は『シル』があるからいいか。

気持ちを入れ換えてマリエッタ達を見送る。


「では、私も捜索隊と合流して参ります」

「ああ、後は頼んだ」


サーガさんもそそくさと部屋を出ていってしまった。

残された私とアルフィード様。

アルフィード様はテーブルに置かれたカードをまとめ机の引き出しに直した。


「緊張する?」


アルフィード様に突然話しかけられて私はビクッと体を震わせた。


「そんなに俺は怖い?」


クスクス笑うアルフィード様はさっきまでのような気迫はない。


「怖くなんてありませんわ。驚いただけです」

「どうして?」

「どうしてって……」


じっと見つめられて私は顔が熱くなり、目を反らした。


「可愛いな」

「はあ!?」


思わず声が裏返ってしまった。


「ありがとう」

「え?」

「俺の側に居てくれるんだろう?」

「え、ああ。はい」

「もし、さっきシルヴィア嬢が帰ると言い出したらどうやって引き留めようか必死に考えていた」


笑うアルフィード様。でも目は笑っていない。


「覚えておいて」


そう言ってアルフィード様は私の手を取る。


「俺は独占欲が強い。特にずっと手に入れたかった君を簡単に手放すほど俺は優しくないから」


そう言って頬にキスをしてきた。

恥ずかしくて腰が砕けそうになったけど、必死に耐えていたのは私だけの秘密だったりする。


読んで頂きありがとうございます。

台詞が多い回はスピードが早い気がします。

まだ書き方に若干迷いがありますが、大目に見ていただけたらと思います。

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