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隠しキャラ転生物語  作者: 瀬田 彰
一章
4/122

どうなる第二の人生!

今回はシルが一人で悶々としている話です


「どうしよう、乙女ゲームに転生しちゃった……」


 転生したのが親友だったら泣いて喜ぶんだろう。

 勿論私も泣く。確実に泣く。

 泣く……。


「って、泣いてる場合じゃないでしょ!何で転生した先がよりにもよって乙女ゲームなのよ!私が前世で何したって言うの?乙女ゲームに転生するくらいなら冒険の世界の方がまだマシだったわ!ううん、それ以前に前世なんて思い出したくもなかった!」


 泣く前よりも怒りが勝利した。

 私は乱れた息を整える。

 ふと、一階に聞こえてしまったのではないかと少し焦ったけれど、ありがたいことに聞こえてないようだった。


「もし、私がテンプレのように悪役令嬢のキャラクターだったらどうしよう……」


 そう。そこは非常に重要である。

 冗談抜きで悪役令嬢のキャラクターなどであれば呑気に第二の人生楽しもうどころではない。

 私が知る悪役令嬢の末路は国外追放か死刑だ。

 この乙女ゲームを夢中でやっていた親友も確かそう言っていた覚えがある。


「こんな事になるなら親友の言うことをもっと真面目に聞いておけばよかった……」


 人の話はちゃんと聞きましょう。

 当たり前だけど今はその言葉が胸に刺さる。

 何を隠そう。前世で私の親友は乙女ゲームの類いが大好きだった。

 どのくらい好きだったかと言うと、全部のキャラクターを制覇し、ハーレム化も実現、シークレットステージなるものも見事にやっているくらい好きだった。

 持病で入院暮らしの彼女にとってそれが唯一の楽しみであり、生き甲斐だったのだ。

 でも親友はひとつだけ文句を言っていた。


『病院の中だからスマホの乙女ゲームができない!』


 ……と。

 いや、あの状態でスマホの乙女ゲームに手を出していたら絶対に課金していたに違いない。

 そうなると親友のお母さん達が逆に卒倒してしまっていただろう。

 考えただけでも恐ろしい……。


「お見舞いに行くとヘッドフォンをつけて、夢中でやってたっけ……」


 親友のその姿を思い出し、笑みが溢れる。

 しかしその姿はもう見れないのだ。


「ちょっと寂しいな……」


 私は小さく呟いた。  

 彼女は口は悪かったけど、このゲームのシナリオを話していた時だけは目が輝き生き生きとしていた。

 私はその姿を微笑ましく見ていたけれど、乙女ゲームの内容だけは右から左へ聞き流していた。

 興味がなかったから?

 うん、それもある。

 でも、それ以外のも理由はあった。

 

「前世で乙女ゲームと相性が悪い人間って世界中のどこを探したって私以外いないと思うわ」


 私は頭を抱えた。 

 そう、私は乙女ゲームと相性が悪かった。

 嫌いだったわけじゃない。

 好きか嫌いかと聞かれたら好きだ。

 でもプレイはできなかった。

 何故なら壊滅的に相性が悪かったのだ。

 ここで注意しておく。

 前世で彼氏持ちだったとか、乙女ゲームのような美男子に囲まれた暮らしをしていたとか、そんな理由じゃない。

 自慢じゃないけど前世の私は年齢(イコール)彼氏なし歴だったし……。

 まあ、それは今もそうだけど……。

 とにかく、プレイする以前の問題なのだ。


「乙女ゲームに名前を入れて、スタートした時点でゲームオーバーになる展開。しかも画面に『bad end』しかでないとかあり得ないし……」


 そう、私がこの乙女ゲームを何回しようと何故か強制的にバッドエンドになってしまうという怪奇現象が起こっていた。

 始めはコントローラの持ち方かボタンの押し方が悪いのかとも考えた。

 けれど、そうじゃなかった。

 何度やろうともうまくいかず、結局私の力ではプロローグすら見れなかったのだ。

 あまりにも不思議だったのでこの手の小説を読んでみたけれど、そこは問題なかった。

 試しに他の乙女ゲームも触ってみたけれど、このゲーム程ではないものの、それも駄目だった。

 お陰で乙女ゲームが怖くなり、乙女ゲーム関係は全くしなくなったのだ。

 だから親友が熱く語っていた内容は殆ど記憶にない。

 よく出てきた単語や国名がかろうじて記憶にあるくらいだ。

 親友の楽しそうに語る顔ははっきりと思い出せるのに……。

 私はフラフラとベッドに倒れた。


「国名くらいなら今の私でも知ってるわよ……」


 私は「はあ……」と大きなため息をつき天井を見た。

 この先私はどうやってこの世界で生きていけばいいんだろう。

 とりあえず今の私は今婚約者も好きな相手もいない。


「転生しても年齢(イコール)恋人なし継続中か……」 


 そう呟いた時だった。

 私はハッと何かに気がつきベッドから飛び出した。


「まだ諦めるには早いわ!」


 ここがもし本当に乙女ゲームの世界だとしたら、今の私のポジションはモブキャラに違いない。

 だって悪役令嬢とは主人公をいじめる……もとい、恋のライバルキャラクターなのだから。

 つまり婚約者もいない独り身の私はライバルにすらなり得ない。

 要するに今現在の私の立ち位置は悪役令嬢じゃなくてモブキャラ。

 いくら前世の時にこの乙女ゲームと相性が壊滅的だったと言っても、相手もいないただのモブキャラならばバッドエンドになりようがないし、そんなストーリーは存在しない。

 しかも私が目指すのは主人公でもない。

 私の望みはこのまま平穏に第二の人生を過ごすことなのだ。


「それに、前世を思い出しちゃったから、あの人(・・・)以外にこんな気持ちにもならないだろうし……」


 そう前世で彼氏いない歴(イコール)年齢だとしても恋はしたことがある。

 でもそれは叶わない恋だった。

 もっと早く気がついていれば違ったのかもしれない。でも私があの人を好きだと気がついた時には全てが遅すぎたのだ。

 あんな気持ちはもう体験したくない。

 前世の記憶を思い出した以上これから先そんな人が現れることはないし、あの人以外愛せないに決まっている。

 そう考えるとやっぱり私はこの乙女ゲームと相性最悪なのかもしれない。

 初めから恋を求めないのだから……。


「でもこれなら悪役令嬢は避けられそうだし、何とかなりそう!」

 

 私がガッツポーズをしていると、ジェニーが息を切らしながら部屋に入ってきた。

 

「シル、ごめん!お客さんが多すぎて手が回らないの。手伝って!」

「うん、わかった。すぐ行くわ」

 

 私は鼻歌混じりに包帯を外しお店を手伝う為に一階へと降りていった。

 その数時間後、私が乙女ゲームを甘く見すぎていたと後悔するとも知らずに……――。

読んで頂きありがとうございます!


追記

文章の変更、改行、加筆等をしました。

楽しんでいただければ幸いです。

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