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隠しキャラ転生物語  作者: 瀬田 彰
四章
100/122

滞在城にて その1

閲覧ありがとうございます。

本日二回目の投稿となります。

今回はずっとほったらかしにしていた滞在城です。



 場所は変わってここはスピティカル国内にあるジャイル国専用の滞在城。

 今、そこに滞在している第二王子であるアルフィード様が離れようとしていた。

 

「それではアルフィード様、行ってらっしゃいませ」

「ああ……」


 メイドのアンリに見送られ、アルフィード様は馬車に乗り込む。

 そしてお供も付けずに滞在城を後にした。


「アルフィード様!」


 駆けてくるのはアルフィード様の側近、サーガ。

 つまり私の事である。


「おい!アンリ、これはどういうことだ!アルフィード様は何処に行かれた!」

「存じません。私はただ、ご命令のまま馬車を手配しただけでございます」

「何だと?」


 私はアンリに手を上げそうになるが、抑える。

 ここで何かすればアルフィード様の顔に泥を塗ることになる。


「本当に行き先は言われなかったのだな?」

「はい。恐らく、あの令嬢様が問題なのでしょう。私、知りませんでした。あんな大人しそうな方が実はとんでもなく我が儘で、自分勝手な人だなんて……」


 そう言ってアンリは涙を流す。

 異変に気がついた他のメイド達が出て来て、アンリを慰める。


「サーガ様、何をされているんですか!」


 リーダー的な存在なメイドがズカズカとこちらにやってくる。

 リリィが居なくなってメイド達のカーストが大きく変わって、今はこのメイドが上に立っているようだ。


「アルフィード様の行き先を聞いただけです。貴女にとやかく言われる筋合いはありません」

「あら?ですが明らかに手を上げようとされていたように見えましたけど?」

「見えただけでしていませんよ。ほら、この通り」


 私が鼻で笑って見せるとメイドは分かりやすいくらいムッとした顔をしてアンリの手を取り「行きましょ」と連れていってしまった。

 メイド達が離れながら「顔はいいのに何あの態度!」「最低!」「全部あの令嬢のせいよ!」と声が聞こえてきた。

 女性特有の嫌味の言い方だ。

 本人を目の前には言えないくせに、本人がいないところでああして堂々と悪口を言う。

 問いただせば言い訳をし、他人へと罪を擦り付ける。


「下衆が……」

  

 私はため息を付きながら呟いた。

 そしてオロオロしている執事達を睨んだ。


「貴方達、さっさと自分の持ち場に戻りなさい。見世物じゃないんですよ」


 私の低い声で執事達は「ひいっ!」と声を上げ、バタバタと散っていく。

 この程度の威圧で怯えるとは情けない。

 シルヴィア様が来たときのあの態度は執事長あってのことか……。

 私は舌打ちをし、頭を抱えながらある部屋へと早足で向かった。


「シルヴィア様、少々よろしいでしょうか?」


 ノックをして返事を待つ。

 すると中から「どうぞ」とマリエッタの声がした。

 私は部屋に入いろうとする。

 ふと、視線に気がついた。

 誰かいる。

 けれど私は気がつかないフリをしてそのまま部屋へと足を踏み入れた。

 扉を閉めてそっと鍵をかける。

 そして魔法札を取り出し、扉に張り付けた。

 バリバリと音を発して魔法札は消える。


「これでこちらの動きは見られまい」


 笑みを浮かべながら私は扉に背を向けた。

 これはアルフィード様がもしも(・・・)の為に残してくださったアイテム。


「本当完璧過ぎて逆に疑いたくなるお方だ」


 私はそう呟いてシルヴィア様の寝ている寝室へと進む。

 部屋に入ると人影が見えた。

 私は念のため構える。

 すると、パチパチと拍手をされた。


「流石です。どこからどう見ても『私』そのものですね。ただ、女性に対して敵意を見せるのは少々頂けませんが……」


 姿を現したのは『サーガ』だった。

 私は鼻で笑う。


「あら?あのメイド達を惹き付けたかったの?貴方ってそういう子がタイプだったんだ?それは悪いことをしたわね」


 私はそう言って頭のカツラを取り、サーガに投げつけた。


読んで頂きありがとうございます。

何故か思っていた以上に字数が増えてしまいました。

少しでもお楽しみいただけたらと思います。



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