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1-2ハニートラップ(後半)
ノリは現在進行形で困っていた。メルヘンワールドに転生したものの、ミラとは別の所に着いたためはぐれてしまったのである。案内役として、どうかと思う。
お腹も空いたが食べるもの等は持っているはずもない。装備として、崖から飛び降りる時に着ていた「怪力!」と書かれた少しダサいTシャツと楽そうなズボンがあるだけ。
そんな時である。クマの人形のようなのがこちらに歩いてきて
「この街のブロック塀とか壁とかは、全部チョコだから食べれるの。」
ノリは驚いた。このメルヘンワールドのキャラは、人形なんだと。じゃあ、ミラは…?
「深く考えてはいけませんよ。」
嫌な予感がした。後ろからミラの声がした。だが少し声が怖かった。
「この世界では死んだら終わりです。じゃあね…」
ミラを見る隙もなく、背中に激痛がはしる。倒れながら見えたミラの顔は笑っていた。