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1-2ハニートラップ(前半)
異世界のマスターはノリのアホさにため息をついた。
メルヘンワールド。名前だけを聞けば愉快で楽しそうな世界だが、中は全然メルヘンでは無い。なぜなら、メルヘンワールドには、復活という物が無いのだ。死んだら時空の狭間に閉じ込められGAME OVER。
ノリはそんなことも知らずに、長い直線の道を走っていた。かれこれ2km程走ったのだが、全然ゴールが見えない。
「本当に異世界なんかあるのかよ?」
呟いた直後である。目の前に突然人影が現れた。
「楽しい楽しいメルヘンワールドへようこそ!私は案内役のミラ。」
銀髪の長く髪を伸ばした女の子が喋りかけてきた。
「君があの異世界の入り口の子?」
「いいえ、あの方は異世界のマスター。この世界では神的存在なのです!!」
「へー、で、メルヘンワールドはどんな所なの?」
「それは…」
ミラは少し言葉に詰まっていた。
「ま、行ってから説明しましょう!」
「それもそうだな。」
「じゃあ、レッツゴーです!」
「おう!」
愉快にスキップしながら進むノリを後ろから見つめ、ミラは奇妙に笑うのだった。