82.群がる子供
「おじさーん、おかえりー!」
セティ教会の中には外よりも多くの子供達が遊んでいた。4〜50人ほどだろうか。その子達の多くはまだ小さく、ニッタさんを見ると嬉しそうな笑顔で駆け寄っていく。
「おうおう、ええ子にしとったか? あんまエリスに迷惑かけたらあかんで?」
「めいわくなんてかけてないよー」
「ぼくたちいい子だもんね!」
「それよりとなりのお兄ちゃんだれー?」
おおう……この1話したら10返ってくる感じはどこでも同じなんだな。ってか数多いな……そらこんだけいりゃ金足らんわ。
「俺は翔太って言うんだ、よろしくな!」
「しょうた?」
「しょうたお兄ちゃーん!」
「しょうたお兄ちゃーん!」
「そうそう。翔太お兄ちゃんだ。ってこらひっつくな。よじ登るな。」
「しょうたー」
「遊んでー」
「遊んで遊んでー」
「ようしやってやろうじゃねーか!
おぅらっ!」
よじ登ろうとしていた子供達を両手に抱えて全力で振り回す。昔はこれやるのも一度に一人が限界だったけど今は両手で二人まとめて振り回せる。余裕余裕ぅ!
「きゃぁぁぁっはっはっはっ」
「僕も僕もー」
「しょうたー私もやってー!」
「よっしゃ! 全員並べ! お前らが嫌って言うまでぶん回してやる!」
「なんやショウタ君えらい子供の扱い慣れとるなぁ……子持ちかいな?」
「んなわけねぇだろ。俺まだ17だぞ。
昔ちょっとこういった施設に入ってたことがあるだけだよ。」
子供達を振り回しながらニッタさんと会話する余裕すらある。やばいわ余裕すぎる。
「そらぁまぁ……まあこんな世の中やったら珍しくもないんやろうけどなぁ。」
「そうなん? こんな感じの境遇のやつって多いの?」
「多い多い。そら魔王が復活してからというもの、小刻みに街が壊されていっとるんや。この街もそう。そうやってあぶれた子供達が孤児院に入ってくってのは珍しい話やない。」
「小刻みに……ってなんでまたそんなめんどくさいことを? 壊すなら一気に壊すもんじゃねぇの?」
「さあ? そないなこと言うたら王城に一気に攻め込めばええ話やしな。戦力を削っとるんちゃうか? ほんまいつ王城に攻め込まれてもおかしないでぇ」
そういってニッタさんは自嘲気味に笑った。確かに……そういえばもう王城は落とされたようなもんだ。ニッタさんは知らなかったとしても、国王が殺され勇者がさらわれた。それだけを考えればもう王国は負けたも同然なんじゃないだろうか……今やっているのは、魔族達にとって消化試合みたいなもんなのか……なんで坂本は魔王に着いたのか…………
「しょうたー……こわいぃ……」
「ん? ああ、悪い悪い。そら、行くぞ!」
色々考えていたら顔に出ていたらしく、子供達は泣きそうな顔になっていた。それを忘れさせるかのように両腕に子供達を抱えて振り回す。
「きゃぁぁぁっはっはっはつ!!」
「もっとー! もっと回してー!」
「ちょ……ちょっと待ってくんない……?」
子供達元気すぎる……もう2周はしたぞ!?
それでまだやれって……いくら鍛えてても限界というものがね……
「えー」
「もーいっかいー」
「ぼくももーいっかいやってほしいー」
「ねーやってやってーしょうたお兄ちゃんやってー」
「待って……ちょ……重い……」
「重いわけあるかいな。」
確かに子供にしては軽いかもしれませんけどね! それでも片手で持ち上げるには重すぎるんです! といった感じの主張を目線に乗せて訴えかける。
「そんな目えしてもあかんで。責任持ってうちの子らが満足するまで振り回しい」
「こんっ……のぉぉ!!!」
子供達を気合いで振り回すも普段とは違うところの筋肉が痛む。剣振るのと子供振るのは違うってことだ。……わかっとるわ
「しょうたーもっともっとー」
……さしあたってはこの無限にも思える地獄をどう乗り切るかだな。
短え




