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80.ギルドと焦り

「んじゃまた明日くらいにここに来な。

それまでに仕上げておいてやる。」



 ポキューズさんがフォウルを連れてテントに消えてゆく。するとハッと何かを思い出したかのような表情をしたニッタさんがテントに向かって叫んだ。



「ポキューズーーー!!!

できればその爪一本くらい余らせてやーーー!! 頼むでーーー!!!」


「おい」



 故意に余らせようとするんじゃねぇよ。



「じょ……冗談やないの……

もうほんまショウタ君怖いわぁ……」


「あんたのは冗談に聞こえないんだよ。」


「キッツイなぁショウタ君は……それよりも1日空いたけどどうする?」


「修行」



 そう言った俺の足は自然とギルドの方へと向かっていた。ギルドは建物が半壊したものの、もう営業を再開している。……まあ依頼のほとんどが町の復興とかだけど。ランク不問で受けられる依頼で報酬額も結構高い。が、拘束時間が2〜3日と結構長いから俺は受けてない。



「ストイックやねぇ……ちょっとくらい休んでもええんやないの?」


「休んだら強くなれねぇだろ。俺には時間がないんだ。」


「……何をそんなに焦ってんのん?」



 俺の言葉を聞いたニッタさんが不思議そうな顔でそう問いかけた。



「……焦ってる?」



 焦ってる……? 俺が?



「初対面のワシから見てもショウタ君はなんか……めっちゃ焦ってるって感じするよ。余裕がないって言うんかな?」


「余裕……とかないよ。そりゃあ。

急がなきゃ間に合わなくなる。」



 ゆきがいつまでも生きてる確証はないんだ。



「……何に焦ってんのかは知らんけど休むことも大切やと思うで? 休みなしに戦い続けとったらしまいには体壊すで?」


「そんなこと言ったって……」


「まあどーしてもやるってんなら止めはしやんけどな? たまには自分の体のことも考えや

? 死んでもうたらどないもならんねんからな。」


「……わかったよ。今日は修行を少なめにする。ただリザードマンの依頼達成だけ報告してきていいか?」


「おう! してきたらええしてきたらええ。わしはちょっと寄るとこあるからな、終わったらそっち来ぃ。あっちの方にある町外れのぼろっちい建物や。」



 そう言ってニッタさんはギルドと反対方向を指差す。町中の建物が焼けてしまっているせいか、かなりの距離があるにもかかわらずここからでもニッタさんの言う建物がうっすらと見えた。



「ほなな〜」


「ああ、また後で」



 ニッタさんと別れてすぐに冒険者ギルドに辿り着いた。冒険者ギルドには冒険者がほとんどおらず、閑散としている。皆町の復興に尽力しているのだろう。まあかなり報酬良いし、受けない人はこの街から出てるから人がいないのも当然だろう。

 踏むたびに嫌な音がなる床を踏みしめ、奥へと進む。そこには前に来た時よりも数の減った職員さんがカウンター越しに立っていた。



「ようこそ冒険者ギルドへ!

本日はどう言った御用ですか?」



 屈託のない笑顔で、テンプレ通りの言葉を吐く。受付さんは前の女性とは違い15〜6歳ほどの若い子だった。



「前に受けた依頼を達成したんだ。手続きお願いできるかな?」



 そう言ってリザードマンの牙と依頼書を提出する。……もしかしたらこの牙も売れるのかな? あとでもらえないかな……



「はい! お預かりしますね!」



 受付の子は牙と依頼書を交互に眺め、少しして驚愕したような顔を見せる。



「……え? リザードマン?」


「あ、うん。リザードマン」



 軽く聞かれたので思わず素で返す。



「えっと……誰かの代理ですか?」


「いや、俺がやりました」



 だいぶ失礼だなこの子。俺はリザードマンに勝てないように見えるってか。その通りですが?



「えっ……あ……失礼しました! 少し待っててもらえますか?」



 そう言って受付さんは奥へと走って行く。戻って来たその手にはジャラジャラと音のする皮袋を持っていた。



「これがリザードマン討伐の報酬、金貨15枚です。その中から金貨2枚を返却していただければリザードマンの牙をお渡しできますがどうしますか?」


「あー……だったら牙は要りません。」


「そうですか。わかりました。」



 受付さんが俺に金貨袋を手渡す。俺はそれを受け取ろうとするが、受付さんが手を離さない。



「……あの。」



 なにこれ。金やらんぞってこと?



「……それでですね。リザードマンを倒せるほどの冒険者であるあなたに頼みがあるんですが……」


「頼み?」


「このあいだの戦いで周囲の魔族が活性化してるんです。街にいる高ランク冒険者さん達が編隊を組んで大規模討伐を行うんですが……今はあまり高ランク冒険者さんがいなくて……」



 ……確かにあんまりいないだろう。魔王討伐隊に合流した人、襲撃で命を落とした人、この街から出て言った人とたくさんいる。この街に残っているのは再興の依頼を受ける低ランク冒険者ばかりだ。



「依頼難易度はBです。リザードマンも、ゴブリンロードも討伐された今そんなに強いモンスターはいないはずなんですが……」


「そう言われても……Bランクなんて受けれないよ。ランク的な意味で。」


「大丈夫です! この依頼は複数人で受けるクエストですので2段階下のランク……Dランク冒険者でも受けられます」


「いやごめん。そのランクにすら足りないわ」



 そう言ってFランクの木板(冒険者カード)を見せる。それを見ると受付さんはより驚いたような顔でこちらを見た。



「え……ええぇ!!? なんで? リザードマンの依頼って……Cランクですよね?!」


「あ……あー。それはですね。」



 忘れてたわ。俺リザードマンの依頼も受けちゃいけなかったんじゃん。ベルナールさんめ……



「っていうかこれあのベルナール様が受けた依頼になってるじゃないですか! それをなんであなたが?」

「あー……えっと。それはあの人名義で受けて俺がやったんですよ。」



 あっさりゲロ(白状す)る。

 こういうのは隠してもろくなことがない気がする。俺がやりました。反省してまっす。



「あぁ……そういうことですか。でも依頼の代理って違反なんですよ? 」


「ほんとごめんなさい……」



 くっそ……あの人のせいで……



「まあ私は別にそういうのもいいと思うんですけどね。そもそも今のギルドの体制に私不満があるんですよ。ギルドもあなたみたいな人を低ランクにいさせるくらいなら一気にランクが上がるシステムでも作ればいいのに。確かにそんなことは難しいことかもしれないけど……」



 ……なんか理想のギルド論みたいなことを語りだしたぞこの子。とりあえず話させておこう。蒸し返されたりしたらたまんないし。





「……であるから今のギルドが成立しているんです。それを否定するわけではないんですが……」


「あの、もう行っていいかな?」



 適当に相槌を打っていたら止まんねえよこの子。10分くらいずっと話し続けてたぞ。



「ん……? ああ、どうぞ。

私がどう考えようと今回の依頼にはFランクでは今回参加できませんからね。残念ですが……」


「助かる。それじゃあ」


「はい、それじゃあ」



 簡単な挨拶と共に俺はギルドを後にする。

 それを受付さんは笑顔で見送った。




感想とか感想とか感想とか他にも感想とかも待ってます


ただ設定的な伏線とかを見破られたら泣きます。

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