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59.大陸北部

 照りつける太陽。爽やかな春? 風。そして無邪気に涎を垂らしで襲いかかってくる狼みたいな魔物達。



「これおかしいよな。絶対」


「言うな……でござるよ……」


「よし、これで……終わりだ!」



 おっさんが狼のような魔物(ガルムという名前らしい)に縦一閃の斬撃を放ちそう呟く。俺を背負ったままだというのに、おっさんの放った斬撃はガルムを一刀の元に斬り伏せ、両断してしまう。

 真宵の森を抜けた俺たちは陽の光を楽しむ間も無くガルムの群れに襲われていた。しかしおっさんは全く慌てる様子もなく俺を背負ったまま器用に剣を抜き、片手持ちのままガルム達を斬り伏せて行った。ガルムがいくら束になろうが元勇者とかいうチート持ちのおっさんに傷一つつけるどころか触れることすら叶わず、あっという間におっさんの側にはガルムの死体の山が作り出された。



「おう、ショウタとフォウル、怪我ねえか?」


「全くの無傷でござるよ……」


「あるけどここでの怪我じゃない」


「まあそりゃそうか。ガルム程度俺の敵じゃねぇしな!」



 おっさんが得意げに笑いながら剣を鞘に収めキン、という小気味のいい音が周囲に響く。……いや、程度って言っても50体くらいいましたけど? いくらガルムの個体が弱かったとしても50を一人で倒すってどうなのさ



「流石おっさん……魔法も使わずにここまでやれるんだな……」


「この程度はな。これでも一応俺魔王を倒した勇者だぜ?」


「……まあこの剣のおかげってのもあるが。」



 そう言いおっさんは鞘からもう一度剣を引き抜く。鞘から抜かれた鈍色の刃は使い込まれた鋼のような美しさを誇っていた。



「『神剣スピリトゥス』

アルギュロ遺跡で発掘された古代の剣を刀匠バーヌス氏に鍛えなおしてもらったものだ。魔族の強力な皮膚を易々と切り裂き破壊する。

こいつには何度助けられたかわかんねぇよ」



 おっさんが剣をくるくると手で回しながらそう言う。一通り見せて満足したのか剣を再び鞘に収める。


 ……ぶっちゃけ神剣とかだいぶ恥ずかしいがこっちの世界だとそんなになのか? 向こうの世界だと神剣とか黒歴史確定ものなんだけど……こっちの世界だと俺の中学生の頃の黒歴史ノートも受け入れてもらえんのかな? 「くらえ! 炎龍真獄滅殺剣」って叫びながら攻撃するのもありなのか? …………一回やってみ……ねぇよ!



「その手にゃ乗んねぇからな!」


「いきなりなんの話だ!?」


「くそっ! 俺の忘れかけてた厨二マインドを刺激しやがって! 何が神剣だ! ちょっとかっこいいと思っちまったじゃねぇかちくしょう!」


「そ……そうか? やっぱりかっこいいか?」


「確かにかっこいいでござるな。」


「かっこいいけど! かっこいいけど!

もしゆきに会った時に炎龍真獄滅殺剣! とか叫んでたら白い目で見られるじゃねぇか!」


「いやお前それかっけぇじゃねぇか。」


「いいでござるな! 拙者は剣使わないでござるがかっこいいと思うでござるよ」


「やめろぉぉぉぉ!! これ以上黒歴史を俺に作らせるなぁぁ!!」



 この世界で厨二が流行ったら目も当てられない。ある意味凶悪なテロだ。厨二怖い。



「自分で言ったくせに……まあ次の街まで急ぐでござるよ。サリア殿達も待っているかもしれんでござるし。」


「サリア殿って誰だ?」



 おっさんが不思議そうな顔をする。

そうか、そういやおっさんには話してなかったな。



「魔王を倒すための仲間だよ

ゴブリンキングとの戦いでフォウルが逃したんだ。」


「拙者だけの手柄ではないでござるがな」


「ほー……お前にも仲間できたんだな。

城ではほとんど一人だったくせに」


「うるせぇな! 人をぼっちみたいに……」


「あーはいはい、まあなんだ……仲間は大切にしろよ」


「な……なんだよ急に……」


「……いや、別に大したことじゃねぇよ。

それよりほら、街が見えてきたぞ。」



 そう言ったおっさんが顎で指し示す先には2メートルほどの壁に囲まれた街が見えた。

 俺たちの目指していた街……レドの街だ。




 この街……レドの街はグリンや王都と比べてあまり活気のない街だった。街行く人々に村人と思しき人物は少なく、荘厳な杖を持った明らかに高レベルと思われる人や、剣や槍、ハンマーを持って歩く人が多く見られる。



「なあおっさん、この街やたらと強そうな奴らがいるけどなんか理由あんの?」


「ん? あー……真宵の森を超えたからだな。」


「? それがなんか関係あんの?」


「ショウタ殿、そもそも真宵の森は大陸中心部を二つに割る森なのでござるよ。」


「うん、それは知ってっけど……」


「つまり真宵の森を境界に大陸北部と大陸南部に分けられるでござる。そして大陸北部には……」


「魔王の城がある……ってわけか。」


「その通り。魔王の城がある大陸北部は大陸南部と比べて強い魔物が多いのでござる。」


「そうそう。さっき戦ったガルムだって大陸南部では比較的強い部類の魔物だぜ? こっちじゃ雑魚だけど。」


「なるほどね……じゃあこっちは大陸南部よりも冒険者の質が高いってこと?」


「ところが一概にそうとも言えない。

南部には王都があるからな。騎士を目指す奴らなんかは南部にいるんだよ。だから北部にいるのは名誉よりも戦うことのが好きって奴らが多い。王都から離れてる分治安も悪くて話が通じない奴らも多いしな。実際こっちにゃ人間専門を狩る傭兵ギルドや暗殺ギルドなんてのもあったりする。」



 うへぇ……おっかねぇ……

 そういうのとは関わらないようにしたいもんだ。……ってなんかフラグっぽくね?


大陸北部編

スタートです

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