56.勇者
ケータイ買い換えました
まずおっさんはゴブリンロードの頭に剣を振り下ろす。頭部から真っ直ぐに振り下ろされた剣はなんの抵抗もなくゴブリンロードの肉を、骨を切り裂き股下を抜けてゴブリンロードを両断する。
「す……すげぇ……」
ゴブリンロードを一瞬にして殺されたことによりゴブリン達がざわめき出す。中には逃げ出すゴブリンもいたが、ほとんどのゴブリンはまだ戦うつもりのようで手に持った棒切れや拳を振り上げておっさんに襲いかかる。
おっさんは逃げ出すゴブリンには目も向けず向かって来るゴブリンを狙って首を、胴を切り裂いて行く。
おっさんの目にもとまらぬ剣戟により、ゴブリン達は手に持った武器や拳を振り下ろす暇もなく殺されてゆく。
一振りで2〜3体のゴブリンを切り裂き、確実に命を奪ってゆき、目に見えてゴブリンの死体が増えてゆく。全体から見るとわずかな数なのだろうが、まるでこのままゴブリンが全滅するかのように思えた。
しかしそう簡単にはいかなかった。そう、まだ奴がいる。
ゴブリン達を斬るためにがら空きになったおっさんの背中めがけてゴブリンキングが勢いをつけてハンマーを振り下ろしにかかる。
「おっさん! 後ろ!」
「《ストーンウォール》!」
しかしおっさんは後ろを振り返ることもなく地面から壁を作り出しゴブリンキングの攻撃を防ぐ。ゴブリンキングの激しい一撃は土壁に衝突すると激しい衝撃と共に土壁に亀裂を生み出すが、その攻撃はおっさんに届くことはなかった。
「弟子が見てるんでな、ちょっと派手にいかせてもらうぜ! 《メテオストレート》!」
おっさんの2度目の魔法は土壁を岩石へと作り変え超加速にてゴブリンキングへとその岩石を発射する。
岩石は炎を纏い弾丸のような軌道でゴブリンキングの右肩へと命中する。
肩を貫かれることはなかったものの骨が砕けるような音が響き、ゴブリンキングは顔を歪める。
「GYAAAAAAAAAA!!」
周りのゴブリンをあらかた片付けるとおっさんとゴブリンキングは向かい合う。するとゴブリン達はおっさんに近づくのを辞め、囲っておっさんとゴブリンキングの対峙をじっと見ている。大将対決ということなのだろうか。激しく叫ぶゴブリンキングとは対照的におっさんは静かにただ剣を構えて静止している。
動かないおっさんを見てゴブリンキングが魔法を放つ。するとゴブリンキングの周囲に数千もの土針が生み出されおっさんに向かって一斉に発射される。土針は地面を抉り、土煙を巻き上げる。その乱撃を喰らって生きていられる生物は存在しないだろう
「遅せぇよ」
しかしおっさんは無傷だった。
なぜか? それはおっさんがいつの間にかゴブリンキングの背後に移動していたからだ。側から見ても視認できない速度でゴブリンキングの背後に回ったおっさんはゴブリンキングが振り返るより早く幾筋もの剣筋を刻み込む。
「GYAAAAAAAAA!!」
痛みからかゴブリンキングは強く叫ぶ。すると周りに群がっていたゴブリン達は突然方向転換し、四方へと散り散りに逃げてゆく。
ゴブリン達が全て逃げ去ったことを確認してからゴブリンキングはその異常な跳躍力を用いてその場から飛び去って行く。
「ふう……ショウタ、それにそこのお前、無事か?」
ゴブリン達が逃げ去ると、おっさんは先ほどまでゴブリン達を虐殺していたとは思えない優しい顔でこちらに振り向く。
「無事なわきゃねえだろ。満身創痍だよチキショウ」
「ははは! ゴブリンキングと相対したらそりゃそうなるわな。生きてるのが不思議なくらいだ。《ファストヒール》」
おっさんが魔法を発動する……がしかし俺の傷は全くと言っていいほど回復しない。おそらくポーションの時と同じくこの魔法もステータス上のHPを回復させるものなのだろう。
「……は? なんで回復しねぇんだ?」
「あー……後で説明すっからとりあえずそれフォウルにかけてやってくんね?」
「お……おう。《ファストヒール》」
「す……すまないでござる。
ところでお主は誰でござるか?」
「なんだお前えらく特徴的な喋り方してやがんな……俺はガイラスってんだ。よろしくな」
「ガイラス……勇者ガイラスでござるか!? 魔王を討伐したと言われる!」
フォウルの全身を青い光が包み込む。おそらくおっさんが魔法で治しているのだろう。その途中フォウルがおかしなことをのたまい出す。勇者って……そりゃゆき達だろ。
「おう、よく知ってんな。
最近じゃもう名前出してもわかってもらえなくて寂しかったんだよ」
「は……はぁぁぁぁぁ!?
勇者!? 魔王を討伐!? ってなんだよそれ!」
「あー……そういやお前には言ってなかったか。俺はお前らが来る前にこの国で勇者をやってたんだ。神速剣のガイラス。それが俺の二つ名だ」
「マジかよ……ってか二つ名恥っじぃ……」
「な……! かっこいいだろ!?
言っちゃなんだが俺この二つ名気に入ってんだぞ!?」
「いやだいぶ恥ずかしい。中学生感丸出しだわ。」
「中学生……? なんだそりゃ?」
「中学生というのはバカという意味でござるよ!」
「違ぇ! 違くないけど違ぇよ!
お前それまだ覚えてたのな!」
「……お前が俺をどう思ってんのかよーくわかったよ、この馬鹿野郎が」
するとフォウルを包んでいた光が消え、全身の傷が塞がり血が止まる
「お前さんはもう大丈夫だ。
傷は完全に治ったわけじゃないがHPは少し回復しているはずだ。」
「助かったでござる。このご恩はいずれ必ず……」
「あーいいよいいよ。あ、やっぱなんでショウタがここにいるか聞かせてくれ。ってか聞かせろ」
「あー……長くなるから向こうに張ってるテントに着いてからでいいか?」
「わかった。
んじゃ行くぞ」
特に書くことありません




