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番外編.エイプリルフール

本編ではございませんが今日がエイプリルフールということに気づいて本編の始まる前の翔太達のエイプリルフールの話を書き上げました。ギリセーフ!

「翔太ー! 翔太ー! 駅前に今大神君来てるらしいよ! 一緒に見に行こー!」



 春休みのある朝、自室にてパンを食べていると、外から大声で叫ぶ天使(ゆき)の声が聞こえる。大神君というのはゆきお気に入りの俳優で最近ではドラマに映画にひっぱりだこのイケメン俳優さんだ。イケメン爆ぜればいいのに。

 俺は半分ほど齧ったパンを皿に置き、玄関まで歩き扉を開ける。

 扉を開けるとそこには目をキラキラさせてこちらを見ている天使(ゆき)が立っていた。



「翔太! 大神君だよ大神君! 行こう!」


「いやあのな、そんな大声で言ったらご近所さんが……」


「大神君ですって!」「なんですって! 大神君!?」「40秒で支度なさい! すぐ行くわよ!」



 隣やその隣の家の奥様方が我先にと家から飛び出してくる。あまりの急ぎっぷりに出勤前の旦那さん達ドン引きだ。お隣さん、さすがに朝食作ってる途中に出て行くのはどうかと思います。せめてエプロンくらい脱ごう。



「……ほらな?」


「あ……あわわわ……ち……違うんです! 嘘! 嘘なんです! 大神君はいません!」



 わたわたと慌てながら周囲に必死に頭を下げて謝るゆき。巻き込まれただけのはずの俺までご近所さんに頭を下げなければならなくなった。ご近所さんは呆れたり、怒ったりしながらも一応許してくれた。あ、必死に謝るゆきは可愛かったです。



「ううう……ごめんね翔太ぁ……」


「いや……うん、まあいいけどさ。

わざわざ嘘つくためにこんな朝から来たのか……」


「だってエイプリルフールなんだもん……」


「朝飯は食ったのか?」


「ううん、まだ」


「……待てよ?

お前今8時だぞ? 弟たちの朝飯はどうしたんだよ」


「そこはもう……お姉ちゃんのために我慢してもらいましたよ」


「やべーじゃねぇか!

お前院長先生に怒られねぇの!?」


「せ……先生にはバレないように抜け出して来たもん!」


「何その嘘にかける情熱!?

いいから戻るぞ!」


「うぇー……はーい」



 自宅から歩くこと10分、俺とゆきは児童養護施設、通称「ぬくもりハウス」にたどり着いた。かなり古い木造の建物だが、庭付きな上に隅々まで手入れがされているためかなり綺麗に見えるが、実際は結構ボロボロだ。雨漏りとか、4箇所目開通したらしい。


 ここがゆきの家だ。物心ついた頃からこの施設で育ったらしく、自身の出生については知らないらしい。施設の経営者で、子供達の母親でもある院長先生に自分の出生を聞いたこともあるらしいが、答えてくれなかったらしくまあ多分捨てられてたんだろうと笑って話してくれた。

 心強すぎない?



「すいませーん。俺です。翔太です。

ゆき連れて来ましたー」



 建物の扉をノックして要件を話す。

 するとドタドタと建物が揺れるほどの足音が響き、勢いよく扉が開けられる。そこには小学生ほどの子供達が4人、ゆきによく似た笑顔で俺に飛びついてくる



「翔太兄だー!」

「いらっしゃいー」

「翔太兄遊びに来たのー?」

「ご飯ー!」


「ああひっつくな! あこら小太郎! 膝蹴るな!」


「やだー!」

「あははは!」

「翔太兄久しぶりー」



 子供達が服を引っ張ったり足を蹴ったりしながらきゃいきゃいとはしゃぎまくる。ひっつく子供達を振り回してやったりすると楽しそうに笑う。



「ゆき姉おかえりー」

「ゆき姉ご愁傷さまー」

「先生ブチギレー」



 一通り俺で遊ぶと、今度はゆきの方へ駆け寄る。



「え……ちょ……それ本当?」


「ほんとー」

「今台所にいるー」

「多分もうすぐここに来るー」


「翔太逃げよう! ここにいたら殺される!」


「いや殺されやしねーって。

せいぜいゲンコツくらいだろ」


「薄情者ー!」



 いやほんと、うん。運が良ければゲンコツくらいで済むんじゃないか? あの人のお仕置きはめっちゃ痛いけどうまい具合に傷は残らないように配慮はしてくれる。



「あらあら……翔太君、よく来てくれたわねぇ」



 すると家の中から一人の女性が現れる。それと同時に群がっていた子供達はわーわーと叫びながら四方に散っていってしまった。まあそりゃそうだわな、目が笑ってねぇもん。

 この女性こそがぬくもりハウスの先生こと神城優花だ。黒い髪を短く切り揃え、おっとりした目の美人なのだが、この人俺が子供の頃から見た目が全く変わっていない。美魔女だ。妖怪と言ったら殺される。



「せ……せせせせ先生……」


「ゆき、こっちへいらっしゃい」


「ああの違うんですこれは……」


「ゆき、こっちへいらっしゃい」



 あダメだ。先生めっちゃ怒ってる。

ゆきが何言ってもやる気だこれ。



「ゆき、諦めろ。大人しく従っておくべきだ。あの目見てみろ」


「ううう……先生、い、痛くしないでくださいね」


「努力はします」






「ううぅ……痛いよう……」


「すげぇ音したもんな」



 一応院長先生の名誉のために言っておくが院長先生は『基本』優しい人だ。悪いことをした時だけ優しい人ではなくなる。


 ゆきの頭に天罰(ゲンコツ)が下った後、俺はぬくもりハウスで少し遅めの朝食を頂いていた。古びた長机の上座に院長先生が座り、10人ほどの子供達と俺とゆきは下座に座る。今日の朝ごはんは茶碗一杯のご飯と味噌汁、焼き魚と漬物が一人一食ずつ並べられている。ゆきがサボったためか具が少なかったりと簡素なものになっている。飛び入りの俺の分の魚がないことを院長先生は気にしていたが家でパンを食べて来たので魚は遠慮した。



「朝の仕事をすっぽかして遊びに行くからです。働かざる者食うべからずですよ」


「ごめんなさい……」


「まあゆきもこう言ってるわけですし許してやってください。こいつも悪気があったわけではないでしょうし」


「それはもちろんわかっています。

ですがゆきは子供達の中では最年長なんですよ。弟や妹が真似したら困るじゃないですか」


「……まああんだけ派手にぶん殴られるってわかっててやるのはゆきくらいだと思いますよ」


「当たりまえー」

「僕たちそんなことしないー」

「ゆき姉ほどバカじゃないー」


「私バカじゃないよ!?」



 いやバカだ。学校の成績はかなりいいけどバカだ。そのバカさがかわいいんだけど。ぶっちゃけ家にまで来てくれて超嬉しかった。



「……はぁ、次やったらその倍の痛さで叩きますからね」


「倍!? 頭取れちゃう!」


「い、い、で、す、ね?」


「は……はひ」


 なんだよはひって




「翔太君、ちょっといいですか?」



 食事が終わってから子供達と遊んでいると院長先生から呼び出された。

 真面目な顔をしているのできっと何か大切な話なんだろう。俺は渋る子供達を置いて院長先生について行く。

 ちなみにゆきはサボった罰として午前中の家事を一人でやらされている。嘘はダメってことだね、うん。


 院長先生は俺を院長室へと招き入れ、ソファーに座らせた。



「で、あの子とはもう付き合ってるんですか?」


「いや真面目な顔して何言ってるんですか」



 これから世界の命運について話そうかと言うほどの壮大な顔して何話し出すんだこのおば……お姉さん。



「いやだって気になるじゃないですか。なんだかんだで16年育て上げた自慢の娘ですよ? その子が誰かと付き合うだなんて……ねぇ」


「いや付き合ってないですよ。」


「えええ!!? まだ付き合ってないんですか!? なんで!?」


「いやその……」

「もう高校生ですよ!? ゆきみたいな超可愛い子モタモタしてたら他のクソガキに取られちゃいますよ!」


「でもその……」


「もしゆきが突然真っ黒で全身に穴開けてピアスとかつけまくったチャラ男連れて来て「わたしぃ、カレとの子供できちゃったぁ☆きゃは☆」とか言いだしたらどうするつもりですか!」


「待って! 落ち着いて院長先生!」


「これが落ち着いてられますか!

我が子の幸せが懸かってるんですよ!

それともゆきのことが可愛くないとでも言うんですか!?」


「可愛い、可愛いです! はい!」


「じゃあさっさと告白してくださいよ!

あの子が変な男連れてこないか気が気じゃないんですよ! あんな可愛い子男が放っておくわけないじゃないですか! なんならこれから毎日私があの子のこと尾け回して……」


「わかりました! 告白します! しますから!」


「……言いましたね?」


「は……?」



 俺が告白すると言う言葉を言うと院長先生がニヤリと笑った。眼鏡をかけていたらクイッとしてそうな顔だ。

 


『なんならこれから毎日あの子のこと尾け回して……』

『わかりました! 告白します! しますから!』



 院長先生はポケットに入れていた小さな機械を机に置き、操作する。するとノイズ混じりの先ほどの会話が再生される。



「は? え? ちょ……」


「言いましたからね、告白するって言いましたからね。」


「ちょ……汚……」



 すると院長先生はにっこりと微笑み



「あの子のこと、よろしくお願いいたします」



 俺に向かって頭を下げた。

 やべぇ……この人本気だ……

 このままだとここで告白させられる……



「あ……あの……そうだ! エイプリルフール……というわけには……」


「は?」


「すいませんなんでもございません」



 目が笑ってないとかじゃなかった……無表情だよ……怖え……



「じゃあ行ってきてください。すぐ告白してきてください」


「ちょ……ちょっと待ってください!

せめて! せめて高2になってから! それから良い雰囲気で必ず告白しますから!」



 少なくともここでは嫌だ。

 ここでというか院長先生がいる場所では絶対に。



「ふむ……ですがその間にゆきに変な男がついてしまっては……」


「絶対につけないようにします!

だからもう少し待ってください!」



 土下座だ。プライドなどもうない。あったとしても今は役に立たない。



「……仕方ありませんね

それでいいです。でももしゆきに変な虫がつこうものなら翔太君、君とその虫けらを八つ裂きにしますからね」



「は……はひ……」


 

 この2ヶ月後に翔太はゆきに告白しました。

 院長先生に後押しされて坂本に後押しされてと大分ヘタレな彼ですが院長先生達に言われる前から告白はするつもりだったようです。ただ将来の年収が……やらゆきを養っていく金が……とか考えてました。高校生からの彼女と結婚を考えるという翔太君かなりこじらせてたようです。


 ちなみに2ヶ月間、翔太君はゆきに彼氏ができないようにストーカーまがいのことをしてました。告白が成功したから良かったものの失敗してたらアウトでした。ヤバし

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