51.男の意地
読んでくれてどうもです!
ネット大賞一次落ちました!笑
恐怖に彩られた俺たちが行動に移すのは早かった。最初に動き始めたのはグレンだった。
「うわぁぁぁぁ!!」
グレンは鬼……ゴブリンキングを見るや否や大声を上げてゴブリンキングがいる方と反対側に向けて走り出した。
「みんな逃げるよ!」
次はサリアだった。サリアが声を上げるとサリアとリリア、フォウルもグレンを追って逃げ出す。一拍遅れて俺もゴブリンキングから逃げ出す。
しかしそう簡単に逃げ出せるはずもなかった。木の根や蔓にひっかかりうまく走れない俺たちとは違い、ゴブリンキングはその巨体を感じさせないほどの身軽さで根を、蔓を飛び越え、木を蹴ったりと3次元的な機動力を見せつけ加速する。さらにそれだけではなく、ゴブリンキングの後ろからは大量のゴブリンが奇声をあげながら走ってくる。
「拙者が足止めするでござる!
皆はできるだけ遠くに逃げるでござるよ!」
「えっ……でもそんな……」
「議論してる暇はないよリリアちゃん!
ごめんフォウル君、任せた!」
フォウルは追ってくるゴブリンキングに蹴りを叩き込む。あまりダメージは与えられていない様だがゴブリンキングは立ち止まっている。ゴブリンキングは獲物をターゲットに定めた様でサリア達を追うのを辞めた。
それでなんで俺がこんなに冷静に戦局を解説できるかというと……
「しょ……ショウタ殿!?
早く逃げるでござるよ!」
「うっせぇばーか!
もう今更間に合わねえわボケェ!」
ほんとなんでこんなことをしたのかわからない。俺はフォウルの隣に立って剣を構えている。暴力的なまでの存在感を放つゴブリンキングに対峙し足止めをしようとする。ゴブリン一匹倒すのに苦戦する俺がなんの役に立つんだって感じではあるが。……罪滅ぼし、なのか?
ゴブリンキングが立ち止まるとすぐに、後ろから追って来ていたゴブリン達も追いついたようで視界一面を緑が覆う。中には数匹普通のゴブリンよりかは大きい個体がいることからそいつらがゴブリンリーダー、ゴブリンロードなのだろう。ははっ、無理ゲー。
「くっ……とにかく下がるでござるよ! 《フレイムウォール》《フレイムランス・WS》!」
フォウルがそう唱えるとゴブリンキングの前に巨大な炎の壁が現れる。
炎の壁は俺たちとゴブリン達を分断し、隔離した。
フォウルは炎の壁を作成したすぐ後に3メートルほどの炎の槍を2本作り出し、炎の壁越しにゴブリン達をなぎ払おうとする。
しかしゴブリンキングはそんなに甘くはなかった。フォウルが炎の槍を作成している隙に全身が焼けるのを厭わず炎の壁を駆け抜ける。その巨体でありえないほどの速度でフォウルとの距離を詰め、ハンマーを振り下ろす。
「しまっ……」
「おるぁぁぁぁ!!」
俺はフォウルとゴブリンキングの間に割って入り、ハンマーの柄の部分を剣で受け止めた。フォウルのフレイムランスはフォウルの集中が切れたためか、霧散し消え去ってしまった。
「GYAAAAAAAAAAAA!!」
「ああああああああ!!」
一瞬で全身の力が削ぎ落とされる。ハンマーの打突部分でもないのにすさまじい力で剣に力が伝わってくる。
剣が少しずつ曲がってくる。筋肉がさらに裂け、骨がミシミシと悲鳴をあげる。なんつう腕力だ! こっちは全身の力使って防いでんだぞ!
「……っ! 申し訳ないでござるショウタ殿!」
その一瞬でフォウルはゴブリンキングと距離を取った。フォウルが離れたのを見て、剣を傾けハンマーを受け流す。剣によって逸らされたハンマーは勢いを殺したにもかかわらず、地面に叩きつけられ小規模なクレーターを作り出した。危ねぇ! 本当どんな腕力してやがんだ!
危険を感じた俺はそのまま横に飛び、ゴブリンキングから距離を取る。するとゴブリンキングは口の端を釣り上げ顔を歪ませた。体が発光しだし、地面から土の棘が現れ……無防備な俺の脇腹を貫いた。
「ぐぁっ!?」
「ショウタ殿!?」
焦っている言葉とはうらはらに思考は極めて冷静だった。あまりの痛みにかえって冷静になる。脇腹だけ異様に熱く、全身が冷たい。だが死ぬほどじゃない。死ぬほどの痛みを俺は知っている。これじゃない。こんなものでは死なない!
俺は土の棘を剣で地面から切り離し、腹から無造作に引き抜く。
痛い! 脇腹の感覚が鋭敏になり新たにより強い痛みを感じる。立ち上がれ! しっかりしろ! ここで倒れたら本当に死ぬぞ!
「ショウタ殿! はやく手当を…」
フォウルが言い終わるより先にゴブリンキングが動いた。俺が土の棘を引き抜いていた隙に距離を詰めていたらしくもうハンマーを振り下ろすモーションに入っているところだった。
咄嗟に立ち上がることを諦め、芋虫のように地面を転がって回避する。
穴が空いている脇腹の傷口を砂利や小石がさらに削り取り、ほんの数センチ横をハンマーが直撃し、地面に大規模なクレーターができる。その反動により、俺の体もまるでボールのように浮かび上がる。
『それ』はほぼ無意識の行動であった。浮かび上がった俺は左手に持っていた土の棘をゴブリンキングの腹に押し当てた。決して攻撃するためではなかったその行為は、鉄でできた剣すら通さない肉体を貫いた。
「なっ!?」
「ショウタ殿! もう限界でござる!
逃げるでござるよ!」
土の棘によってゴブリンキングが一瞬ひるんだ隙に、フォウルがゴブリンキングを蹴り飛ばし炎の壁の奥に吹き飛ばした。炎の壁を抜けようとしていたゴブリン達を巻き込み吹き飛んだゴブリンキングをみて、フォウルが撤退の指示を出す。
俺たちは必死に逃げ出した。
とくに書くこと! ありません!




