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47.不器用ですから

お久しぶりです

そうです

おれさまです

「ぼ……僕の名前はグレンって言います! これからよろしくお願いします!」


 正式に仲間として旅を共にすることとなった少年と自己紹介を交わす。

 彼の名前はグレンというらしく、これからの日々に希望を持っているのか嬉しそうな笑顔を浮かべている。

 ……その笑顔が崩れるのにそう時間はかからなかった。




「……もう休むか?」


「いっ……いえ、まだ……だい……大丈夫ですっ……!」



 歩き始めて小一時間ほど経ち、グレンに休憩の提案をする。

 ……別にこれは俺が過保護すぎるわけではない。顔を真っ赤にして過呼吸寸前のような状態の少年を見れば誰だって休憩を勧めるだろう。


 その後すぐに無理矢理にでも休ませようということで道中少し開けた場所に腰を下ろす。少しながらも太陽の光が差し込んでいて森の中では比較的過ごしやすい場所だった。



「翔太、ここは少し変だ」



 グレンがフォウルとリリアに介抱されている中、サリアが俺に向けて話しかけてきた。変……と言われてもどこが変なのかわからない俺は首をかしげる。



「やっぱり気づいてないみたいだね。

この森……ゴブリンが多すぎるんだよ。」



 言われてみれば……

 確かに途中何匹もゴブリンを見た。

 フォウルが即座に索敵し、回避していたため戦いにはならなかったが。

 ……何気にあいつスペック高いな。



「ゴブリンが多く発生する……

大体の場合原因は一つなんだ。」



 そこまで言われてあることを思い出す。ここに来る前、フォウルに教えてもらったことだ。



「……ゴブリンリーダー」


「そう、もしかしたらゴブリンロードまで進化してるかもしれない。」


「それってやばいのか?」


「かなりやばい。

ゴブリンロードはゴブリンを数百体ほど従えているんだ。その上ロード本体も並みの数倍近い強さを誇る……冒険者が最も嫌っているといっても過言ではない魔物さ」



 大丈夫だ……と何の根拠もない自信を吐き出そうとしたが、サリアの目がそれを語ることを許さなかった。彼女が求めているのは言葉ではないのだろう。俺は両手で頬を軽く二度叩き、気合いを入れ直す。



「そうか……悪い。気ぃ抜けてたな。」


「気をつけてよね、リーダー。」


「おう……って俺リーダーなの!?」


「あれ? 違うのかい?」


「違ぇよ。リーダーだったらフォウルじゃね?」



 あいつなんでもできるし。知識も技術もあいつの方が上だ。



「いやいや……リーダーはショウタ殿でござるよ。」


「そうですね、リーダーはショウタさんしか考えられません。」


「だってさ、頑張ってね。リーダー」


「えぇ……」



 嫌そうな声を出したけど自分が認められるのは正直少し嬉しかった。




 それからも幾度となくゴブリンを見かけた。途中こちらに気づいたゴブリンもいたが、サリアが一瞬で距離を詰め、剣で喉を貫いていた……ゴブリンってあんなに簡単に倒せるものじゃないと思うんだけど……


 さっさと進んで森を抜けてしまいたいところだが、道中、休憩を多く挟みながらの進行となっていた。

 グレンのせいといえばそうなのだが、迷惑をかけまいと必死に歩いている姿を見るとそのようなことを口に出すのもはばかられる。結局今日1日で森を抜ける予定だったのが森の中で夜を明かすこととなってしまった。フォウルに教えてもらいながらテントを張り、リリアとサリアには枯れ木を拾いに行ってもらう。



「ショウタ殿! そこもっと深く釘を差し込まないと抜けるでござるよ!」


「んぇ!? ちょ、抜けたぁ!」


「ぬぁぁぁ!! 崩れたでござるよ!」


「あぁぁぁぁ……。

ドンマイ!」


「ショウタ殿が言うな!

……でござるよ!」


「お前今ござる忘れてただろ!?

そのキャラ作ってんの!?」


「ち……ちがうでござる!

あーござるござる」


「無理やりすぎんだろ!

なんだござるござるって!?」


「こ……この話はここまででござるよ!

さあ、テントを張り直すでござるよ!」


「わかったでござる!」



 蹴られた。


 

 なんとかテントを張り終え、火を起こし、体を休める。

 今更ながらこの世界では野宿のやり方も元いた世界とは全然違った。

 俺も向こうで野宿をしたことがあるわけではないが向こうでは普通テントの中で寝袋か何かを使って寝ていたはずだ。でもここではテントの中で掛け布団のみで寝ている。一応テントの下に小石などが入らないように気をつけてはいたがやはり寝づらい。

 それに火に関してもだいぶ違っていた。火を起こすにもライターなんかを使わずに魔法で ポンッ だ。

 めちゃ便利。



「さて、じゃあそろそろ飯にしようぜ。今日は俺が作るわ」



 そろそろお腹が空いてきたので食事の準備をしようと立ち上がる。

 ちなみにここでは昼ごはんを食べるという文化があまりないらしい。おかげでものすごくお腹が空くのだ。

 あ、王城では1日3食デザート付きでした。今思うと相当に快適だった。



「何を作るんですか?」


「ふっふっふっ……肉を焼きます!」


「あの……私やりましょうか?」


「いいや任せろ!」


「あっ……はい。」


「君テンション変わりすぎてない?」



 当然でしょう!


 さて、肉を焼くに当たってみんなには焚き火から離れてもらった。いきなりうまい肉を出してやって驚かせてやろうじゃないか!


 まず肉をいい感じの大きさに切り分けなくてはならない。俺が買った肉はなんかよくわかんない塊肉を5キロだ。

めっちゃ重かった。

 塊肉を新しく買った剣で2㎝ほどの厚さに5枚カットする。……初めて買った剣の使い方がこれって……まあ多分大丈夫だろ。


 カットし終えたら焼く! 焼きます! フライパンを焚き火で熱する。

 ちょ……熱い! 焚き火の威力が高すぎる! 手も焼けそうになってるって!

 ギリギリフライパンの端っこを握ってステーキ用に切った肉を投入する。


 フライパンへ、ポーン!

 おお! 焼けてる!

すっげぇ焼けてる! いい感じ!

 30秒ほど肉を焼くと焦げてきたような匂いがしてきたので急いでひっくり返す。ひっくり……あれ? 取れない……

 なんか肉が全然フライパンから取れないんですけど……へばりついてひっくり返そうと思っても全く剥がれないんですけど……なんで?



「ショウタ殿ー、そろそろできたでござるかー?」


「ちょ……ちょっと待って! あと少し!」



 急いでひっくり返……あっ、ちぎれた……

 ま、まあいいや。ちぎれても肉だ。とりあえず一枚目の焼けた肉を街で購入した大きな木皿に取り分ける。そして肉に塩をかけて……うん、完成。

 同じようにニ枚目……三枚目と肉を焼いていく。毎回へばりついたがそこはもう気合でなんとかした。


 そして最後に皿の上に出来上がったのは真っ黒な焼死体達だった……

 



 


料理初心者ってフライパンに油ひかずに肉焼きますよね。

おれさまも昔鉄鍋に油ひかずに肉を焼いてぐっちゃぐちゃになった覚えがあります。……おれさまだけじゃないですよね?

みんなやりますよね?

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