41.非才の意地
なんと!!!
連日投稿です!!!
試合開始の合図と共にザハードの懐へと駆け出す。前傾姿勢で、体の中心を地面と平行に置くように低空で相手の懐へと飛び込む。おっさんに何度も打たれて体で覚えた技だ。
「おおっと! ショウタ選手が先に仕掛ける! ……が!」
「待ってた……ぜぇ!」
すると完全に読みきっていたのかザハードの木槌が俺の頭に振り下ろされる。しまっ……
「ザハードが決めたぁぁぁ!!」
ザハードにより振り下ろされた木槌は俺を圧し潰……さなかった。
「あ……あぶなっ……」
俺は咄嗟に木剣でハンマーの柄の部分を受け止めていた。
危な……もう少し後ろにいたら受け止められないところだった……
「ほう……なかなかやるじゃねぇ……かっ!」
すると突然木槌を止めていた木剣への負荷が消える。
そしてそれと同時に俺の腹部に鋭い痛みが走り、後方に吹き飛ばされる。
「さすがザハードだぁぁぁぁ!!
ショウタ選手に木槌を止められるとすぐさま武器を放棄しショウタ選手を蹴り飛ばした! これは決まったかぁ!?」
痛ぇ……こんな蹴りありかよ……
強化なしの身体能力でここまで蹴り飛ばされるとか……筋肉ダルマめ……
ここは一旦退いて……
「《フォトン》!」
するとザハードが怒号とも言えるような叫び声をあげる。すると突然光の塊が発生する。その強烈な光は俺の目の前で収縮し……破裂した。
「出たぁぁぁぁぁ!!! ザハードをCランクにまで押し上げた彼の切り札! 100人に1人しか発現しないといわれる『光』属性の魔法だぁぁぁぁぁ!!!」
「「「うぉぉぉぉぉ!!!!」」」
爆発により地面の砂がまきあがり、砂煙が発生する。闘技場の舞台の約半分は砂塵に包まれており、先ほどの爆発の威力の高さを物語っている。
観客席から大きな歓声が上がると共に観客達はショウタの敗北を確信した
しかし……
砂煙の中から『それ』は現れた
砂煙が晴れるのを待つことなく『それ』は飛び出し、観客達の、そしてザハードの意識の隙をかいくぐり距離を詰める。
「なっ……!」
砂煙から飛び出した少年……翔太は持っていた木剣でザハードの脛を打ち付ける。そして命中するとそのまま力を加え続け、脛を支点にザハードの背後に転がり込む。と同時に相手の膝の裏を打ち付け、相手を転ばせにかかる。
この試みは見事成功し、ザハードはこの試合で初めて地面に膝をついた。
「なんとぉぉぉぉ!!! ショウタ選手! ザハードに膝をつかせたぞぉぉぉぉ!!!」
「や……やってくれるじゃねぇか……
てめぇどうやって俺の魔法に耐えやがった?」
「誰が教えるか」
何事もないような顔でハッタリを言う。実際はマグレみたいなものだ。
たまたまバックステップをするのと同時に爆発が起こった。爆発の衝撃と同じタイミングでバックステップを行うことで衝撃をギリギリまで殺すことができたのだ。周りに爆発によるコンクリ片などの物理的要因が少なかったことも運が良かった。
っていうか魔法ってアリなのかよ……
魔法は無しだと思ってたからこれは完全に予想外だった。運が悪ければ……爆発をその身に受けて死んでいただろう。
「なら……これも耐えてみやがれ!」
体制を立て直し、互いに向き合った状態でザハードが左手を俺の方に向けてくる。
「《クアドラプル・フォトン》!」
俺の前後左右に光の塊が発生する。
一つのみの時よりかは遅いが、逃げ場がない。
「これなら……避けれねえぞ!」
俺の四方を囲んだ光の塊は収縮する……すると俺の足は無意識のうちに動いていた。
前方の光を突っ切りザハードの元へと駆け寄る。光が発している熱で体が焼けていく。
熱い。
でも進むんだ。
痛い。
でも戦うんだ。
苦しい。
でももう負けたくない
光の塊を通り過ぎるとほぼ同時に、四つの光が破裂する。もう熱さは感じない。爆風で吹き飛ばされた俺の体は加速し……ザハードへと突っ込んだ。




