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4.勇者

「ではまず僕から

僕のステータスはこれです。」



瀬川 悠 勇者 レベル1

HP55/55

MP400/400

筋力15

素早さ13

魅力18

知力15

固有魔法 神聖魔法

適正魔法 火、水、風、地、光



 どこか誇らしげな表情で自分のステータスを開示した瀬川のステータスは凄まじいものだった。

 えぇ……ツッコミどころ多すぎる

 まずMP400とか……多すぎない?

 俺のMPの何倍さ、あ、俺0だから倍数では測れないわ。泣きたい

 それに勇者。ゆきもそうだったけどさ、俺違うんだけど。王様が「勇者よ〜」とか言われてた気がするけど俺勇者じゃないんだけど。罪悪感ぱねぇよ。召喚された被害者側なのに罪悪感を感じるってなにさ。斬新すぎるだろ。

 そして明らかに特別な神聖魔法と適正魔法の多さ。


 さらに他の能力値も全て俺より高い。

もうお腹いっぱいだわ。どこを取っても強く何をやらせてもできる。THE・勇者だわ



「おぉ…これは…やはり素晴らしい。

さすが勇者様じゃ。この国の平均魔力量を大きく上回っておる。」



 王様の絶賛の声に、クラスメイト達から「おおっ!」だとか「さすが瀬川君!」といった歓声が上がる。


 どうやら王様が言うには、この国のレベル1での平均魔力量は50〜60程度で、瀬川ほどの魔力の持ち主は記録に残されている過去の勇者くらいしか確認されていないらしい。

 これからレベルが上がるとさらに魔力も増えるそうだ。……俺も増えんのかなぁ?



「はい、必ずしや僕たちが魔王を倒して見せます!」



 平静を装って瀬川は話すが、嬉しさが隠しきれないように頬がヒクヒクしている。

 くっそ……腹立つ顔しやがって。


 それからクラスメイト達のステータスは続々と公開されていった。みんな多種多様な魔法を持っており、固有魔法、適正魔法なしなんてのはただの一人もいなかった。みんな必ず固有魔法を持っており、適正魔法も2個以上のやつらばかりだ。

 そして自分のステータスをどうするか対策が立てられない間についに俺の番が来てしまった。



「いや素晴らしい。皆が皆勇者としてやっていけるだけの強者である。では最後のお主もステータスを見せてくれぬか?」



 嬉しそうな表情をした王様が期待を込めた目で俺の方を見る。まずいな……一番ステータスがしょぼいやつの後に発表して印象を和らげようと思ってたのにみんな強すぎんよ。

 なかなか発表しない俺を変に思ったのか王様が再度促す。どうしようもないと観念した俺は渋々ステータスを開示した。



大宮翔太 レベル1

HP50/50

MP0/0

筋力10

素早さ10

魅力10

知力10

固有魔法なし

適正魔法なし



 変わりばえのしないあまりにも弱すぎる数値。他のみんなのステータスを見た後だからわかる。俺のステータスはどうしようもなく弱い。



「これは……」



 王様は驚いたような顔でこちらを見る。

俺は申し訳ないような気分となり、俯いてしまう。帰りたい。



「適正も固有もなし……じゃと?

そんなはずは……いや……」


「あの……ステータスがこれから伸びていくっていうことはないんですか?」



 俺のことを心配したゆきが王様に質問してくれる。しかし王様はバツが悪そうに無情な現実を叩きつける。



「いや……レベルが上がればどのステータスも伸びるはずじゃが…適正魔法がなしとなると魔法は使えぬ……」


「えっと……魔法がないと戦えないんですか?」


「いや……うむ……その……」



 あ、戦えねぇなこれ



「……俺も魔法が使えるよう精一杯努力します」


「う……うむ、そうじゃな、精進するがよい」



 瀬川とは別の意味で視線を集めてしまった俺は内心落ち込んでるのを気付かれないように平然と振る舞う



「と……ともかく、今日は皆部屋にて休むといい。部屋とメイドは用意してある」



 王様が気を利かせたのか場の空気を断ち切りこの場を解散させようとする。

その目論見はどうやら成功したようでほとんどの男子はメイドという言葉に心を躍らせている。

 その空気の中俺もなんとか心を持ち直させていくように努める。そうさ。大した問題じゃない。もしかしたらレベルが上がれば強くなるかもしれない。


 そんなことを考えているとゆきが小走りで俺の方へと駆け寄ってくる。



「大丈夫だよ翔太! 私が翔太を守るから!」



 ……ゆきの天然の一撃で、俺の心は完全にへし折られてしまった。



ステータス平均

HP40/40

MP50/50

筋力10

素早さ10

魅力10

知力10

固有魔法なし

適正魔法1種類

です

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