39.理不尽
なんでしょうねこの更新の遅さ
小説書くのは嫌いじゃないんですがなぜかこの速度になります。
遅筆ですが温かく見守っていただけると幸いです。
「もういいでしょ。おばあさんは無事だった、そちらのお兄さんも怪我はない、ならもう終わり!」
俺は少年と男の間に入って事を収めにかかる。あーあ……なんでこんなことしちゃったかな……無視しようと思ってたのに。
俺が動いたのを見てリリアは怯えながらもおばあさんを介抱にかかる。
しかし大男はそんなリリアの方を見ることなく俺を睨みつけている。
「そういうわけにはいかねぇだろ?
このまま引き下がっちまったら言いがかりつけられた俺のこの怒りはどこにぶつけりゃいいんだ? あぁん!?」
知らんがな。
少年は大男の言葉を聞き、俺に向かって必死に訴えかけてくる。涙目で声がまともに出せないようだが、嘘じゃない。僕本当に見たんだと彼の目が語っている。そんな目されてもなぁ……
「ならその感情、思う存分ぶつけたらどうかな?」
すると剣闘士……サリアが会話に参加してくる。
「別に我慢する必要なんてないだろう? 思う存分ぶつけたらいい、好きなだけ発散すればいい」
「ちょ……おま、馬鹿か! そんなことしたらーー」
「こっちの彼にね」
そう言いサリアは俺の背後に周り、肩を掴んで大男の方に押し出した。
「……え?」
「ちょうどいい具合にそこに闘技場があるんだ、そこで決闘というのはどうだろうか?」
「ちょ……」
「ルールは共通の闘技場ルールで、武器は何を使っても良し、HPハーフの30分勝負ってのはどうかな?」
「まっ……」
「いいぜ、やってやる
その代わり俺が勝ったらーーー」
…………どうしてこうなったのか。
気づけば俺は闘技場の控え室で頭を抱えて座り込んでいた。本当どうしてこうなった……。
あれからあれよあれよという間に話が進み、逃げる間も無く決闘することとなってしまった。なんでこんなにも決闘に縁があるんですかね。2回目やぞ。
ちなみにこの国では決闘というものは合法らしい。
互いの意見が噛み合わない、雌雄を決する、なんとなく気にくわないなどの理由で決闘が起こることも珍しくない。……言葉で決着つけろよ……
この間の瀬川との決闘では王家の勅命のため制約の強制力が絶対となっていたが、ほとんどの場合はそこまでの強制力はなく、制約を守らなかった場合は周囲から卑怯者のレッテルを貼られる程度に収まるという。
もちろんそんな不名誉なレッテルを貼られた冒険者にはロクな仕事が回されず、商人などの信用第一の人間にとっては致命傷ともなる。
さらに冒険者である人間にとっては決闘の敗北はさらなる致命傷が発生する。『負け犬』のレッテルだ。
冒険者が決闘に負けたらそいつの冒険者としての名声や仕事は大打撃を受ける。冒険者とは強さ第一の世界である故、よほどの強者相手でない限り敗北は『負け犬』として世間に知れ渡ってしまうのだ。
実際に決闘に敗北し、引退してしまった冒険者も少なくないとか。
汚名を被ること自体は大した問題ではないのだがそのせいでリリアとフォウルがパーティーから抜けることになったら……………
そう考えるとこの勝負、負けるわけにはいかない。
「やあやあ調子はどうだい?」
すると俺の気持ちを知ってか楽しげな声で話しかけてくるやつがいる。サリアだ。この野郎……野郎じゃないけど。いやむしろ野郎だったらぶん殴ってるけど。
「君がいい場面で割り込んでくれたおかげでいいパフォーマンスになったよ、おかげでお客さんも大漁さ」
「……やっぱりそれが目当てだったか。
そりゃお前にとっちゃ俺が勝とうが負けようが大した問題じゃないだろうけどよ……」
「ん? 君もそういうのを気にするタイプなのかい? 君は我が道を行くタイプだろう?」
「お前が俺の何を知って……」
さも当然かのように、まるで最初からわかっていたようにそんなことを言い出すサリア。俺がそういう人間だと信じて疑わない目だ。
「……俺だって周囲の目は気にする
そのせいで仲間を失うかもと思うとなおさらな」
「仲間想いなんだね
いいじゃないかそういうの。」
「『戦力として』な。
俺をいいやつみたいに言うのはやめろ」
勝ち目のほとんどない戦いに巻き込んでる時点で仲間思いも何もないだろう。人の命を勝手に賭けておいていい人であろうなんて思わない。
「ふふっ、そういうことにしておこうか。」
まるで微笑ましいものを見るかのように、どこか嬉しそうにニヤニヤと笑みを浮かべながらサリアは俺に話し続ける。
そんなに闘技場に人が入っているのが嬉しいのか。俺はそう思い込んだ。思い込むようにした。
「準備が整いました。ショウタ様。
入場をお願いいたします。」
すると舞台から闘技場スタッフと思われる男が俺を呼びに来る。
スーツを着、長方形のメガネをかけいかにも仕事ができそうな様相だ。
胸には「STAFF」と書かれたネームプレートが……ってスタッフと思われるじゃねぇや。スタッフだ。
「ハァ……嫌だ嫌だ。
なんであんな決闘受けなきゃいけねぇんだよ……」
そう言いながらも舞台に向かう俺の元へとサリアが駆け寄って来る。
そして耳元に口を近づけ……
「あの金髪の女の子のためにも、頑張るんだね」
その言葉の意味を確かめようと振り返るも、それ以上会話することは叶わず、俺は舞台へと引きずり出されてしまった。……ってかお前も金髪の女の子だろ……




