35.秘密だらけの自己紹介
毎日って……無理ですね(諦め)
「では次は私ですね」
そう言うとリリアが立ち上がり、ゆっくりと自分について語り始める。
「私の名前はリリア。家名は捨てました。固有魔法として音魔法を使えます。適正魔法はありません。
とある理由で魔王を追ってます」
随分とまあ……短いな。
言えることがないのかもしれないけど。
「そのとある理由ってのはなんでござるか?」
「……言いたくありません。」
フォウルの問いかけにリリアは顔を背け口を閉ざしてしまう。言いたくないんだろう。
「そういえば前にくれたポーションってもう持ってないの? あれすっげぇよく効いたんだけど。」
空気が重くなってしまったので咄嗟に思いついた質問をぶつける。多少無理矢理な話題転換だけどまあいいだろ。
「あれは……貰い物みたいなものなのでもう持ってないんですよ」
「ええ!? そんな大切なもん貰っちゃってよかったの?」
「……別に構いませんよ」
なんかテンション低いな……
これも聞かれたくないことだったのか?
「というか二人は仲間ではなかったのでござるか? 自己紹介を今更するとは……」
「なりたてだよなりたて。
名前は知ってたし時間なかったから省いただけ」
「恐ろしいほど適当でござるな」
実際そこまで深入りするつもりなかったしな。
「じゃあ最後は俺だな。
俺の名前はショウタ。家名なし、固有適正魔法共になし。MPもなし、金なし家なし力なし。あと武器も木剣だけという絶望的な状況だけど目的があって魔王の城に向かってる。一応魔王を倒すつもりではいる。以上。」
「ちょっと絶望の質がおかしいでござるよ。MPなしとかなんの冗談でござるか」
「それな」
「それなじゃないでござるが……」
「ショウタさんはなんで魔王のところへ? そんな状況で戦いに行くなんて……」
おっと聞かれちゃったか
「まー俺の方も深い深ーい事情があんだけど今んところは秘密ってことで」
「秘密が多いでござるな……」
「仕方ないだろ。言いたくないんだから。」
「まあ初対面でいきなり重い話されるよりかはいいでござるな」
「お……おう。
フォウルも結構いい性格してるな」
「いちいち全部相手してられないでござるからな。これも慣れでござるよ」
……本当苦労忍者だな。
「んじゃそろそろ寝ようぜ。
明日は日が昇ったらすぐに出る予定だからな。フォウルはどうする? 北の町までついてくるか?」
邪険に扱ってたけどぶっちゃけ戦力として加わってもらうのはアリだ。なんか強そうだし。
「ふーむ……拙者の旅には目的はない故、お主らについていくのもよいかもしれんでござるな。」
「うちとしても戦力が増えるのは歓迎だ。リリアもそれでいいか?」
「私も構いませんよ。誰かさんが全く戦えないらしいですからね」
「誰なんでしょうかねそいつは」
リリアさんや、あまり俺を見つめないでおくれ。照れるじゃないか。
「ちなみに二人のレベルは幾つでござるか?」
「わたしは1です」
「同じく」
「よく町の外に出ようと思ったでござるな……」
実際はレベル表記などないのだが言うとややこしくなりそうなので1ということにしておいた。どのみちレベル1みたいなもんだし。
それから俺たちは交代で見張りを行い、休むことにした。
リリアは別に一つのテントでも気にしないらしいが、俺が気にする。
嫁入り前の女が無闇に男と寝るんじゃありません! と怒って俺はずっと外で寝ていた。
あれ?……なんか俺貧乏くじばっかり引いてる気がする……
幸いなことに、この日は魔物に襲われることなく日を明かすことができた。
ショウタさんは嘘つきですね。




