34.まさか北斗神……
前書きって何書いたらいいんですか
真っ白は嫌です。
「いやほんと近づかないでください。もう無理です。」
「だとしても遠すぎると思うんだよ。」
俺とござるさんが二度目のリバースをした結果、リリアから10メートルくらい距離を離されていた。もはや目を見て話すとかできるレベルじゃない。ちょっとした視力検査レベルだ。
「いいえ妥当な距離です。臭いのが二人になったんですから。それに服にも付いてるじゃないですか。」
「なんでござるかこの女子は……
恐ろしいほど辛辣でござるよ。拙者泣きそうになってきたでござる。」
わかるよその気持ち。強く生きて。
俺たち3人はあのあと緑猿達から一心不乱に逃げ出した。リバースをしながら走ったせいかかなり体調が悪くなったが、お陰で次の街までの道のりをかなり進むことができた。この調子だと夜が明ける前に北の町に着けそうだ。
うん、だいぶいい感じだ。好感度以外は。
「よし、じゃあ夜が明ける前に北の町まで突っ切ろう。ござるさんはどうする?」
「ござるさん!? ひどいでござるよ! 拙者はフォウルでござるよ!」
「はいはい、じゃあ行こうか」
名前は聞いたけど別に呼ぶつもりはない。ござるさんの方が呼びやすいし。
「ちょ……ちょっと待ってください
今日はもう休みませんか? 足がガクガクで……」
そう言ったリリアの足は少し震えている……ように見える。いや断言はできないけどね。俺そんなに目良くないし。
「拙者もゴブリンに受けた傷を治したいでござるよ」
「いやでも夜が明ける前に進んどきたいし……」
「そうだ自己紹介! 自己紹介もまだじゃないですか! 私まだあなたの名前知りませんし!」
「いや、だからフォウルで…」
「貴方じゃないです」
「涙ってどうやって止めるんでござるか?」
涙の数だけ強くなれるさ、きっと。
ってかそういや俺はリリアに名前も教えてなかったか。でも……
「自己紹介? この距離で?」
「うっ……仕方ありませんね……3メートルまでなら近づいても構いません。」
「でもなぁ……時間もないしなぁ…」
「拙者も休みたいでござる!
どの道このままじゃ町に着くのは夜中になるでござるよ!」
「……仕方ないな。その代わり明日の朝すぐに町まで行くからな」
そうして俺たちはテントの準備をし、野営の準備を進めた。
あれ? なんでしれっとござるさんも混ざってんの?
そう思っていたがござるさんは意外と役に立った。
俺はアウトドアの経験とかないし、リリアもできないっぽかったのでテント張りは全てフォウル一人でやってくれました。こいついなかったら終わってたな。
「よーし、お疲れさん。」
服を着替え、口を洗いにおいを落とした後テントを張ってくれたフォウルをねぎらう。傷の手当て代とお助け料でこのくらいやってもらってもいいはずだ。
うん、いいはずだ。
「お主達テントも張れないでよく野営しようなんて言い出したでござるな……頭おかしいでござるよ。」
「それな」
「それなじゃないでござるが……」
「まあまあ、冒険者初心者なんでその辺はしゃーない」
冒険者どころかこんな本格的な旅も初心者みたいなもんだ。ところどころ無茶が生じるのも仕方がない。
「ぬ? お主達冒険者だったでござるか。拙者もでござるよ!」
「ふーん」
「もう少し拙者に興味持って欲しいでござるよ! 自己紹介するんじゃなかったでござるか!」
チッ……うるさい忍者め……って
「え!? ござるも参加すんの?」
「なんで心底驚いた顔してるんでござるか! そりゃ参加するでござるよ!」
ひとしきりござ……流石にもう可哀想だな。フォウルをからかった後、自己紹介を開始する。
この世界の男っていじられ体質多いな
「では僭越ながら拙者から、拙者の名はフォウル。
家名はないでござる。 魔闘流の正統伝承者で武者修行の旅をしていたでござるよ。」
「魔闘流? 聞いたことない流派ですね……どんな流派なんですか?」
リリアがそこまで聞くとファウルは嬉しそうに立ち上がり決めポーズを取る。……そのポーズいる?
「よくぞ聞いてくれたでござる!
わが魔闘流はグリモリア王国成立以前から存在する由緒正しき流派で、拳に魔力を纏わせて闘う流派でござる。これで魔族とも素手で渡り合うことが可能となるのでござるよ!」
「へー! すげーじゃん。なんでそんな便利な流派が広まってないわけ? それがあれば魔法至上主義なんてならなかったと思うけど」
まあ魔法至上主義から魔力至上主義に変わるだけだろうけど 。意味ねー。
「魔闘流はそのあまりに厳しい修行故に体得できるものはごく僅かなのでござる。それ故今代の魔闘流継承者は拙者一人しかいなかったでござる」
「北○神拳みたいな感じ?」
「よくわからんが絶対に違うでござる」
よくわからんのに違うって断言できるのか……
「そして修業中にゴブリンに囲まれていたところを助けられ今に至るという感じでござる。ちなみにレベル8のランクE冒険者でござる!」
「そんなすごい武術身につけておいてEランクなんですか?」
リリアの言い分も最もだ。強さがわかりにくい。
「拙者の師匠が頑固な人だった故、拙者には魔力を身に纏う術しか教えてもらえなかったのでござる。師匠曰く技術は盗んで覚えろと……しかし拙者が魔闘流を伝承してすぐに師匠が旅に出てしまったのでござるよ……それ故拙者に武術の心得はないのでござる。」
拳に魔力は纏えるけど武術の心得はないってことか、なんというか……
「随分と自由人な師匠だな。」
「もう慣れたでござるよ……」
どうやらこの忍者、思っていたより苦労しているようだ。
フォウル 18歳 男 魔闘流正当継承者
レベル8
HP80/80
MP90/90
筋力21
素早さ20
魅力13
知力11
固有魔法なし
適正魔法 火
特殊能力 魔闘流
武器なし




