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28.冒険者ってフリーターをカッコよく言っただけ

 騒がしかったギルド内がしんと静まりかえる。

 先ほどまでこのハゲが俺に絡むのをニヤニヤして見ていただけの連中も驚いたような、また値踏みするような表情でこちらを見ている。


 そりゃそうだろう。連中は俺が無謀にもおっさんに挑んで負けるところを想像していたんだろうけど実際は真逆の結果となったんだから。


 小柄なガキが熟練の冒険者? を圧倒する。実際は奇襲に近い形だったけどそんなことは関係ない。これが刃のついた剣だったのならハゲは即死だったのだから。



「なーんて、冗談です。わざわざ受けてくれて有難うございます先輩。」



 木剣を引き、腰に戻してからハゲに頭を下げる。こういうのは引き際が重要だ。あまり調子に乗りすぎるてもっと強いのに目をつけられたら厄介なことになる……っておっさんが言ってた。デート前ガラの悪い奴らに絡まれた時用にって教えてくれたやつだ。

 あくまで自分は『剣を受けてもらった』立場であると周囲に知らしめる。



「お……おう、まあ悪くはねぇな……頑張んな。」



 そう言いハゲはすごすごと退散して行く。周りの人達からは「へぇ…」といった感じの目で見られている。チート系主人公にでもなった気分だ。ちょっと楽しい。

 あー……でもこれ登録しないといけない流れなんだろうなぁ……

 まあこれからも金が必要だしここで金を稼いでおくのも一つの手だ。そう自分に言い聞かせて受付へと向かう。


 受付は眼鏡をかけた50歳くらいの女性だった。女性は先ほどの騒ぎは日常茶飯事だと言わんばかりに無視して事務的に話しかけてくる。



「冒険者ギルドグリモリア王都支部へようこそ

本日は冒険者への登録でよろしいですか?」



 しかし騒ぎの内容は聞いていたようで冒険者登録を前提として話しかけてくる。



「あ、はい。それでお願いします」


「ではこちらに必要事項を記入してください。代筆は必要ですか?」


「いえ、自分で書けます。」



 そう、俺は冒険者ギルドの文字が読めたようにこの世界の文字が何故かわかる。話し言葉だけでなく読み言葉も理解できるようになっているのは助かった。これで字も読めなかったら大変だったろう。なんでかはわからないけど多分世界を渡った時の超パワーとかなんかそんな感じだと思ってる。


 俺が自分で書けると答えると受付嬢(婆?)は一枚の紙とペンを差し出してくる。そこには名前、年齢

、出身地、ステータス、適正魔法と固有魔法の有無の欄がある。

 名前と年齢しか書けない……

でもあまり何も書かないと疑われるかもだし……



「記入していただくのは名前だけでも構いません。自分の手の内を知られたくないといった方もいらっしゃいますので」


「あ、はい。」



 俺が受付用紙を見つめながら悩んでいると、何を考えているのか理解したのか受付婆は俺にそう教えてくれた。

 すごいなこの人エスパーか!

 ってよく考えたら俺さっき魔法苦手って言ったしそれ聞かれてたのかな。

 だとしたらわりかし恥ずかしい。


 ……まあいいや、とりあえず必要事項を記入していく。名前は……ショウタで、年齢は17。それ以外に書くことはない。名字を書かなかったのは目立たないようにするためだ。

 オオミヤショウタなんて長いし目立ちそう……



「はい、ではこれであなたも今日から冒険者となります。説明は必要ですか?」


「お願いします」



 何せ右も左も分からない素人だ

 知らないうちにタブーを犯して指名手配とかされたらシャレにならない



「ではまず冒険者ギルドの規約から説明させていただきます

『犯罪行為、又はそれに類する行為を行ったものは除籍処分とする』

『依頼者、もしくはその他一般人への恐喝、殺傷行為は除籍処分、もしくは討伐処分とする』

『殺人依頼は依頼者、受注者問わず犯罪行為とする』

この三つが絶対遵守のいわばギルドの法です。これ以外にもありますが最も重要なのはこれです」



 なるほど……まあこれなら俺が引っかかることはないだろうな。

ってか討伐処分って……恐ろしいな



「また、ギルドで依頼を受ける場合はあちらのギルドボードに貼り付けてある依頼書をこちらにお持ちください。依頼書にギルド側の判と受注者のサインが記入されることで依頼成立となります。依頼を途中で破棄する場合は指定された報酬の1/10の金額を罰則としてギルドに収めていただくことになります。また失敗した場合も同様の処置となります。」



 なるほどなるほど、1/10は結構きついな…最初は無難なのを狙っていこう



「また、冒険者ギルドにはランク制度が存在します。ランクはS、A、B、C、D、Eの6つ存在し自身のランク以下のランクの依頼しか受けることはできません。加入したばかりのショウタさんですとEランクですね。Eランクですと街の手伝い、ゴブリンの討伐などの依頼が受けられますね。」



 この辺はファンタジーだな

 Sランクだと有名人って感じなんだろう



「また、Eランクの場合は依頼破棄は3回まで無料となります。これは無謀な依頼を受けた冒険者を救済するための制度となっております。」



 へー……結構良心的だな

 まあいきなり冒険者に死なれるよりかはいいのか?



「最後にランクアップに関してですが、ランクアップは達成した依頼の数が一定数に達すると発生します。

自身と同ランクの依頼を連続して10回成功させるとランクアップします。」


「とりあえずこちらからの説明は以上となります。何か質問などはございますか?」



 一通り必要なことは言い終えたのか受付婆さんはこちらに質問を促してくる。そうだな……



「さっき冒険者の方と喧嘩になりそうになったんですけど、そういうのって何かペナルティとかあったりしないんですか?」


「特に何もありませんね。命を奪ってしまったとかならギルドの法に則って処理しますがそれ以外ですと問題とはなりません。評判は落ちるかもしれませんがね。」



 うわぁ……こっわ……また喧嘩売られたりしたら逃げよう。後ろ盾ないし。



「ではこちらがショウタ様の冒険者カードです。このギルドカードは他国でも冒険者ギルドであれば使用は可能です。あなたのご活躍をお祈りします。」



 そう言われ俺は受付婆に木の板でできたカードを渡される。

 それは『Eランク ショウタ』と書かれた簡素なものだった。


まあとりあえず無職は脱した……のかな?





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