26.王都
サボり、ダメ、ゼッタイ
「とはいえどうしたもんかな」
城を出て、城下町に辿り着いてから俺はいきなり大きな壁にぶち当たっていた。
どこに行けばいいのか全くわからない。
魔王がどこにいるのかもわからないしゆき達がどこへ連れていかれたのかもわからない。
おまけに街灯整備がされている日本とは違いこの世界の夜は真っ暗だ。
こんな夜中に一人で外に出るなど自殺行為と思えるほどに。
宿に泊まろうと思ったのだがさすが王都、安いところでも1泊銀貨七枚とかなりのお値段だ。いやまあ日本円にして七千円って考えると普通なんだけどさ、手持ちのお金が金貨一枚の俺には少し、いやかなり痛い出費となってくる。
「まさか野宿するわけにもいかないしなぁ…」
これ以上街中をうろついていると衛兵とかに捕まるかもしれない。そう思った俺はとりあえず表通りから外れた治安が悪そうな所へと行くことにした。
光が強ければ闇もまた強い。
煌びやかな王都にこそ貧民街のような寂れた場所も存在するだろうと思った結果だ。
案の定表通りから外れると綺麗に整えられた表通りとは違い、整備の行き届いていないスラムのような場所を見つける。
スラムとはいえ宿は存在する
俺はその中で一泊銀貨一枚の宿を見つけそこに泊まることにした。大通りの1/7って……部屋は汚いけどこの際気にしない。…………いや気になるわ。さすがに気になる。なんで埃とか放置されてんのさ。なんでベットじゃなくて藁なのさ。…………まあ日本円で千円の宿って考えたらこんなもんなのかな? カプセルホテルより安いし。
こういった宿は安い分セキュリティ面が悪かったりするもんだ。酷い時は宿の人までグルである可能性もある。
そう考えた俺は少し対策を立てることとした。部屋に併設されている机を扉の前を塞ぐように移動させる。さらにその机の上にギリギリ落ちないように銀貨九枚を重ねて置いておく。これで外側から扉を開けようとした場合銀貨が机から落下し、大きな音が鳴り響く仕組みだ。これなら誰かが入ってこようとしたら気がつくはずだ。安宿で窓もないので作戦に死角はない。
準備を済ませ寝ようとするが昼間寝ていた(気絶していた)せいか全く眠くならない。せっかくだから今後のことについて考えてみる。魔人たちはゆき達を魔王に献上すると言っていた。何の目的でそうなったのかはわからないけど自称神曰くすぐ殺されることはないらしい。じゃあ利用するってことだろう。そうすると目的は魔力だろうか。
魔王も最強とはいえ限界があるということか。確かにこの世界では魔力はいくらあっても困らないだろう。
だったら勇者の魔力というものは魅力的だったということか。レベル1で一般人4〜5人分もの魔力なんだから。その上自分の天敵となる勇者という存在を手元におけると考えたら一石二鳥だ。
かなり希望的観測が強いだろうけどゆき達がすぐに殺されることはまずないだろう。自称神の言葉を信じるわけではないが、殺すつもりだったのならわざわざ連れて帰らずその場で仕留めるはずだ。とはいえ急がなければならないのは明白。いつ気が変わって殺されるかはわからない。まず明日から馬車が何か足を探さなくては……
そんなことを考えていると自然と眠りについていたようで、木造の部屋の隙間から暖かな光が差し込める。藁からから起き上り、体をほぐす。めっちゃ体痛い……
幸いなことに部屋には誰も入ってきていないようで、銀貨と荷物は無事だった。
荷物といってもあるものは木剣だけだけど。
スラムから出て表通りへと移動する
なんか変な奴らに絡まれたりするかもしれないと思っていたが、全く絡まれることなくスラムを脱出できた。素手のやつらなら何とかなるだろうけどこの世界だと魔法とか普通にあるしな、簡単にあしらえる気がしない。 俺があしらえる魔法はラビッツの火の玉辺りが限界だ。……やべ、泣けてきた
そんなことを考えながら歩いているとある建物を見つけた。その建物は辺りにある酒場と同じような建物だが、掲げられている看板に書かれている文字は酒場とは違った。
『冒険者ギルド』
急がなければならないと思いつつも好奇心につられ、俺の足は自然と建物へと向かっていた。
頑張って書きます
だから殺さないで!




