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152.神城とシャルロッテ

 馬車と並走し、立ちふさがる魔物を鎧袖一触の勢いで吹き飛ばす。彼の周囲に展開された4色の魔法がその場その場に応じて攻防全てを補い彼の周囲に鮮やかな閃光が飛び交う。



「ええ……あいついればもう俺たちいらなかったんじゃねぇの……」


「うーん……素の状態は普通だけど戦ってるところはなかなかイケメンね……」


「……まあ確かにイケメンではあるな、私の好みとは違うが。」



 そんな中、一体の魔物が馬車の方に向けて炎弾を放つ。その炎弾はまっすぐとまるで矢のように神城の元へと放たれた。



「危ない! ゆきっ!」

「えっ……」



 とっさに神城をかばうべく翔太が駆け寄る……が、完全に油断していたせいかギリギリ追いつかない。



[《黄・砂塵の城壁》]



 しかしその炎弾は命中することなくシュヴァインの魔法により防がれる。彼の魔法の弾が馬車と炎弾の間に滑り込み、多量の砂塵を巻き上げその全てを圧殺した。



「あ……ありがとうございます……」


[シュウ! 砂が飛んできた! もっと綺麗に防げ!]


[申し訳ありませんお嬢様。思ったより馬車が近くにいたもので魔力操作が雑になりました。]



 神城の言葉をかき消すようにシャルロッテが騒ぎ立てる。しかしそんな中神城は頬を赤く染めていた。



「ゆき! 大丈夫……顔赤いぞ! 熱かったのか!? 」


「う……ううん、大丈夫……そんなんじゃないから……」


「……良かった……」



 二人が話しているとその間に戦闘が終わったようで、走っているシュヴァインの付近には魔物はもういなくなっていた。



[カミシロ様も、危険な目に合わせて申し訳ありま[せんでした。]


[いっ……いえ! そんな……助けてくれてありがとうございます! シュヴァイン……さん……]


[さすがクルニードの護衛の方ですね。素晴らしい魔力操作でした。]


[お褒めに預かり光栄です。あれは我が家の秘伝の術式でして……]


[おい! シュウ! もうよい! さっさと馬車に戻って学園まで全速力で走らせろ!]



 シュヴァインが話し出そうとするとそれをシャルロッテが遮る。するとシュヴァインも話すことをやめすぐさま馬車へと戻る。



[かしこまりました。お嬢様。そのように御者に伝えて参ります。]



 そう言ってシュヴァインは馬車内から御者台へと消える。すると中継役を失ったシャルロッテと4人の間に沈黙の時間が流れる。



[…………そっ、そういえばこれから行く学園ってどんなところなんだ……ですか?]


[……それは妾に聞いているのか?]



 その空気に耐えかねた翔太が話題をひねり出すも、どこか不機嫌なシャルロッテはつまらなそうに答える。



[いやまあそりゃそうですけど……]

 

[……ふん! つまらん場所じゃ! 妾と釣り合う者も誰一人としておらん上に汚らしい獣人なども溢れかえっておる! あんな場所大嫌いじゃ!]



 翔太の言葉に吐き捨てるようにシャルロッテが言葉をこぼす。しかしそれだけじゃ終わらないようで次々と彼女の口から汚い感情が溢れ出す。



[なによりも気に入らんのは妾が平民共と同じクラスということじゃ! なぜ高貴な存在である妾があのような……]

[さっ……流石に言い過ぎじゃ……]


[言い過ぎであるものか! 妾を誰と心得る! お主らのような平民と妾を同じ扱いをするなど考えられぬ! シュウも! 学校の教師共も! 皆……]



 シャルロッテがそこまで言うと神城がシャルロッテの両肩を掴み、しっかりと目を合わせる。神城の突然の行動にその場にいた全員あっけにとられたようでその場に一瞬静寂が生まれる。



[シャルロッテちゃんは私たちに構われるのが嫌?]


[なっ……いきなり何を……]


[私はね、シャルロッテちゃんと仲良くなりたい。でもそれはクルニード家のシャルロッテちゃんとしてじゃなくて、今私の目の前にいるシャルロッテちゃんと仲良くなりたいんだ。]


[ふ……ふん! 当然じゃな! 妾は魅力的じゃから……]


[だけどシャルロッテちゃんが本気で……本当に私と話すのが迷惑だったらもう無理に話しかけないようにする。でもね、私にはどうやってもシャルロッテちゃんが本気でそう思ってるようには見えないんだ。]



 神城がそう言いながらシャルロッテから目を逸らさず見つめあったかと思うと、両手を肩から外してそのまま体を預け抱きつく。



[友達になろう。シャルロッテちゃん。私は……私たちはシャルロッテちゃんの味方だよ。]


まだまだ終わりそうもないですけどまあゆっくり待ったってください

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