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151.決死の常中

1ヶ月も放置してすんませんでした!

めっちゃブクマ減ってるやろなと思って見ても大して変わってなくてありがたかったです。

時間かかると思いますが少しずつでも早く書けるようになっていけたらと思います。

これからもどうぞよろしくお願いします。


「《フォトン》!」



 香川の放った光弾が熊のような魔物に命中し、その巨体を沈める。



[違う! さっきから何度も言っているであろう! もっと面白く倒さぬか!]


「このっ……もういい加減にしなさいよ! ワガママばっか言ってんじゃないわよ!」


[なんじゃと貴様ぁ!]



 香川とシャルロッテがさっきから何度目かの言い争いを始めるも、周りはもはや完全に静観を決め込んでいた。というかシュヴァインは仮にも主人にあんな口の利き方をしてるの無視していいのか。



[全く言葉が通じてないはずなのに喧嘩できるってすげえよな。御者の人引いてんぞ。]


[そりゃクルニードの家の人間だって知ってて喧嘩売ってるようなやつ御者も関わりたくねぇんじゃねぇの? あの人外部から雇った人間だからな。]


[いや俺はお前が無視してんのにもひいてんだけど……]

[もうよい! 次はそこの男! お主がやれ! この女のようなつまらん戦いを晒すではないぞ!]



 そう言ってシャルロッテが今度は翔太に向き直る。


「あっ! あんた今私のことまた馬鹿にしただろ! 言葉わかんなくても態度でわかるんだからね!」


[あー……了解お嬢様、それと俺の名前翔太ね。さっきも名乗ったと思うけど。]


[そんなことはどうでも良い! やれ! それとこの女を黙らせよ! うるさいんじゃ!]


「香川、ストップストップ。一応こいつ偉い人だから。雇用主だから。もう少し落ち着いて。」


「でもこいつムカつくんだよ! 魔物見つけたらそいつのとこまでわざわざ馬車走らせて戦わせるんだよ!? 怪我しても構わずだよ!?」



 そう言って香川は二の腕を翔太の方に向けて訴えかける。その二の腕をよく見ると何かで擦ったのか少し切れて血が霞んでいた。



「それ怪我ってか……「なによ!?」なんでもありません……」



 香川超怖い。もう魔物と戦ってたほうがマシだわ。馬車から飛び降り目の前に現れた魔物数体の元へ飛び降りる。四足歩行の犬みたいだけど犬じゃないような魔物だ。それが6体。



「はぁっ!!」



 翔太は魔物との距離を詰め、最も近い魔物の脳天に一閃を叩き落とす。振り落とした剣は頭蓋骨から顎まで通り抜けその面を二つに分断する。


 そして翔太は剣の勢いをそのまま殺すことなく、思い切り地面に突き刺す。そして地面に突き刺さって尚腕を前に振ることで自らの体を前に飛ばし、次の魔物を蹴り飛ばす。



「うわぁ……当たり前のように蹴りで魔物吹き飛ばすとかどうなってんのよあれ……」


[ほう! ほう! 良いぞ! あの男なかなかやるのう! シュウ! お主の目から見てあやつはどうじゃ?]



 魔物達相手に剣と蹴り、時々拳で戦う翔太の姿を見てシャルロッテは面白そうに手を叩く。



[なかなかのものですね。剣術もそうですが何よりすごいのはあの度胸。一歩間違えたら死ぬようなギリギリで最小限の回避や立ち回り……一体どんな生き方をしたらあんな戦い方するようになるのか……]


[いや……ショウタかわせてないぞ。結構食らってる。]


[それでも致命傷にならないように動いてる。多少の傷は構わないってことなんじゃないか。]


[良い! 妾はああ言うのが好みじゃ! ギリギリで刹那的な戦い……ここから先も全てあやつに戦わせろ!]


「ああっ……また傷が……危ない……」



 翔太の突きが最後の魔物の口から喉を串刺しに貫く。ビクビクと痙攣したのち、動かなくなったことを確認してからゆっくりと剣を引き抜く。



「勝った」


[なかなか面白い見世物であった。ここから先もお主が……]

「勝ったじゃないよ! あんな危ない戦い方……もう……あの……ダメだよ!!?」


 戦いが終わり翔太が馬車に戻るとその戦いを見たシャルロッテが嬉しそうに声をかける。しかしその言葉は神城の涙声によって遮られた。


「でもちょっと血が出てる程度でさほど痛くはないし……」


「痛いに決まってるでしょ!? 血が出てたらそれはもう痛いんだよ! 血が出てなくても痛いんだよ!」



 泣いて翔太に怒りながら回復魔法をかける神城。神城の固有魔法である治癒魔法の光が翔太を包み込み、急速に傷を癒していく。



「本当に……こんなこと続けてたら死んじゃうよ……せっかく仲良くなったのに死んじゃ嫌だよ……」



 神城の言葉を聞いた翔太はハッとしたように気がつく。いつからか自分の命の価値が低くなっていたことに。自分が命を懸けてまで戦うようになった理由を。

 そんな翔太の後頭部を強い衝撃が走る。



「神城さん泣かせてんじゃないわよ。あんた神城さんにここまで言わせてんのよ、死んでも死ぬんじゃないわよ。」


「……おう、そうだな。死んでも死ねなくなった。もうあんな戦い方はしない。」


「本当に本当だからね! 約束……だからねぇ!?」


「ああ、約束だ。」



 翔太が神城の手を取り、小指同士を結び合せる。神城は一瞬戸惑うものの、翔太の意図に気がつくとそれに従い、約束を交わす。



[ぐぬぬ……妾を無視しおって……」


[……お嬢様、この空気でまだあいつに戦わせるのは酷じゃないですかね?]


[妾もそのくらいわかっておるわ! もういい! シュウ! お前が行け! 妾を楽しませる戦いを見せろ!]


[いや俺腕折ってるんっすけど……お嬢様にもあの子の1/10くらいでいいから優しさが欲しい……]


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