15.主人公補正
もいっちょ
「よーしそれじゃあ帰るぞ。
バレたらやばいしな。」
おっさんが今更そんなことを言い出す。
バレたらやばいようなことをするなしさせるなし。
「正規の手続きで出ないからだろ……」
「しゃーねーだろ。お前の遠征での醜態を聞いて国王がお前を外出禁止にしたんだから」
「え!? 何それ俺知らねぇんだけど!」
「そりゃそうだろ、お前外に出たがらねぇし。他の勇者たちはもう皆外出てレベル上げだとかショッピングだとか楽しんでるぞ」
何それずりぃ!
ってかショッピングて!
その面してショッピングって!
「お前今変なこと考えたろ?」
「いいえ、微塵も考えておりません。」
勘のいいおっさんめ……
「確かに出ようと思ってなかったけど……
ってかショッピング! その手があったじゃねぇか! こうしちゃいられねぇ!」
ゆき連れてショッピングだ!
「いやだからおめぇは外出れねぇっつうの」
「そうだった!くそぅ!」
こんなに悔しい思いをするなんて……嵌められた!
思えば告白してすぐにこの世界に来たからデートらしいデートしてねぇじゃんか。
ありえねぇ……なんで俺はそんなことも忘れてんだ…… 彼女を守るも何もまず彼女として大切にできていなかったとか頭おかしいだろ……最悪このおっさんの後頭部を殴って……首に手刀って俺でもできるかな?
「ハァ……、今日の午後の門番は俺の親友なんだ。俺の名前を出せば通してくれる。」
頭を抱えている俺を見ておっさんは俺が何を考えているのか察したらしい。
「おっさん! それって!」
「ただし、バレても俺の名前を出すんじゃねぇぞ。共倒れはごめんだからな」
「ありがとうおっさん! 愛してるぜ!」
「やめろ気持ちわりい
さっさと帰るぞ。」
「了解!」
城に帰ると、すぐにゆきの部屋に向かった。
ちなみに門番は気絶したままだったので簡単にスルーできた。それでいいのか王城警備。
この時間ならまだゆき達は訓練じゃないはずだ。俺はゆきの部屋の前に駆けつけると、勢いよくその扉を開ける。
「ゆき!今日の午後からなんだけど一緒に……」
扉を開けるとゆきがいた。
それはいい、予想通りなんだから。
しかしゆきが上着を脱いでいる最中であるなど誰が予想できただろうか?
両手を挙げて服をまくり、その身を隠していたであろう布が意味をなしていない状態で手に纏わり付いていることで逆にエロさが増している。
そして俺が扉を開けたことに気づいたゆきは、その状態のまま固まっている。
そう、ゆきは今下着姿だ。
そのゆきの美しさたるや5時間は語れる。が、この美しさを誰とも知らぬ奴らに見せるわけにはいかない、想像すら許さない。というわけで詳しい描写は控える。
教えてやるもんか!
「失礼しました」
もっと見ていたいがやはりあまりジロジロ見るのもよくないだろう。非常に名残惜しいが扉を閉めた。
扉を閉めた数秒後にゆきの甲高い悲鳴が周囲に響き渡った。
どうしてこうなったんでしょうか…