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135.vsエレメントベア


 サリアが呆れた声でそう言うと、エレメントベアの追撃が男子生徒を襲う。しかし横から割り込んだ人がエレメントベアの爪の振り下ろしを受け止めた。



「ぐぅっ……重っ……早く逃げろっ! 多田ッ!」



 攻撃を受け止めた男子生徒……若本が時間を稼ぎ多田は後方に退く。



「速度と軌道……よくわかんねぇなっ! オラァッ!」



 若本が受け止めるのを見て樋口が炎弾を撃ち込む。先程より少し威力を落とした炎弾は、若本とエレメントベアに数発被弾する。



「あっつぅぁっ!! 樋口お前っ! 俺に当てんなよっ!」


「ごめん! もっかい……うぁっ!?」



 樋口は再度炎弾を生みだすも、上空に気配を感じ見上げる。するとそこからはもう一体のエレメントベアが踏みつけるように落ちてきていた。

 


「全く……どいつもこいつもデタラメな身体能力ね。『盾』」



 それを見た一人の女子生徒が静かに魔法を唱える。するとエレメントベアと樋口の間に氷の足場が生成され、エレメントベアはそこへ着地する。



「あ……ありがとな美紅。」


「構わないわ。それよりそこ、退いた方がいいわよ。」


「え?」



 頭上の氷壁がひび割れる。エレメントベアの足元が赤く燃え上がり、ガラスを割るような音と共に氷壁が砕け散る。そして重力に従い再度樋口目掛けて落下する。



「うわぁっ!? 結局落ちてきたじゃねーか!」


「だから退いた方がいいって言ったじゃない。『矛』」



 落下する樋口を後ろに送り、美紅と呼ばれた女子生徒……尾崎美紅は前へ出る。そして空中から降り注ぐ氷のカケラを鋭い刃の形へと作り変え、剣の雨を降らせる。



「ダメね。相性が悪すぎる。」



 しかし降り注いだ氷の刃はエレメントベアの体にあたると同時に水と化し、そして蒸発する。足だけだった炎は今やエレメントベアの全身を包み込んでいた。



「樋口さん、あなたは若本君の方へ行って。この熊は私が相手するわ。」


「えっ……でも今相性が悪いって言ってたじゃねえか!」


「それはあなたとこの熊がと言う話よ。私とこの熊は相性が良い方ね。『矛』」



 再度放たれた氷の刃は、またしてもエレメントベアの炎によって阻まれる。しかし次第にその熱量が下がってきているように感じた。



「むしろあなたはあっちの熊との相性が良いんじゃないかしら。それに若本君達だけに任せるのもそろそろ厳しそうよ?」



 そう言われて二人は若本の方へと視線を向ける。するとそちらにはエレメントベアの攻撃を受け止め盾となる若本、そしてその後ろで攻撃を放つ多田ともう一人の女子生徒の戦う姿が見て取れた。



「でもそれじゃ美紅ちゃんは……」


「私の方は大丈夫よ。福田君も小林さんもいるもの。」



 そう言うと後ろから福田と小林が前に出る。二人ともすでに魔法を構築済みだった。



「氷の盾はダメみたいだね。ならこれでどう?」



 そう言うと小林がタワーシールドと呼べる大きさの盾を二つ生み出す。

 そしてその盾を持ってエレメントベアへと突進して行く。



「いくよっ! どりゃぁっ……ぁっつぁっ!」



 タックルするものの鉄でできた盾が熱を帯び、小林は盾を放棄して後ろに飛び退いた。



「バカかお前……一回押し込んだら全力で叩き込めよ。」



 小林が退いた後、福田は瞬時に距離を詰める。目視すらできないその移動は、瞬時にエレメントベアの目線の高さまで移動していた。そして彼は接したままの盾を全力で蹴りつける。蹴りそのものは完全に素人のそれだがエレメントベアの頭の上から蹴りつけることでその巨体をゆっくりと地面に倒した。



「尾崎ッ!」


「もうやってるわ。『棺』」



 そしてエレメントベアの倒れる先に大きな氷の棺が生成される。その箱はエレメントベアの体を収め、その上からさらに氷で作られた蓋が落とされる。即座にエレメントベアは棺を溶かすが、それを上回る速度で尾崎が棺を生成し直す。溶かされて、作り直す。そうしたいたちごっこの末にやがて氷は溶けなくなり、その場を冷たい空気が包み込む。それを見た尾崎は嗜虐的な笑みを浮かべた。



「ふふっ、魔力勝負は私の勝ちみたいね。」




尾崎だけ魔法の詠唱というか技名を言ってるのはその方が魔力伝導効率がいいからです。無詠唱だとどうしても威力等々弱くなってしまいますが他のクラスメイト達は詠唱をしません。


まあ理由はお察しですね。

高校二年生ですもんね

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